記事提供:カラパイア

地震大国とも言われている日本。海外では日本の地震対策は進んでいると見ているようだ。2011年3月、東北地方沿岸部を襲った大地震は記憶に新しいが、もしこれが日本じゃない国で起きたなら、被害はさらに甚大になったはずだと言われている。

地震が多い国は他にもあるが準備万全とは言い難い。今年初め、アメリカ北西部の太平洋沿岸において、マグニチュード9.0という破局的な大地震が今後50年間におきる可能性はおよそ10%であることが判明した。

そこで海外サイトでは、日本から地震対策と題して特集記事が組まれたようだ。

自国にいるからわかりにくいこともある。我々は海外で報じられている日本の地震対策とやらを見ることで、新たに気を引き締めていこうではないか。

日本の地震対策

毎年2,000回近くもの地震が起きている日本において、地震は日常の風景だ。こうして母なる自然の気難しさを良く知る社会が誕生し、政府は本格的な地震対策を推進するようになった。

東京大学の研究者たちは、来年にでも巨大地震が起きる可能性は70%と推定している。しかも、あろうことか今回の地震に見舞われるのは首都かもしれないのだ。

世界で2番目に自然災害のリスクが高い都市とも評される東京だが、その備えは抜かりない。例えば、東京では87%の建物が耐震/免震構造だと言われている。

建設された高層ビルはどれも厳しい建築基準を満たしたもので、中にはテフロン製の基礎を地震の最中にスライドさせて揺れを軽減するビルもある。他にもゴムや液体充填式の基礎で揺れの衝撃を吸収するものも一般的だ。

2012年にオープンした東京スカイツリーは地球で最高の高さを誇る塔だ。634mの塔には100名ものエンジニア、建築家、プランナーらによる耐震/免震技術の粋が詰め込まれている。

例えば、鉄筋コンクリートの支柱は地中50m近くまで打ち込まれている。また、内部構造は数百年も地震と嵐に耐えてきた伝統的な木造塔の形状を模したものだ。

日本の企業は古い建物への革新にも与念がない。鹿島と三井不動産は高層ビルの屋上に重さ300tもの巨大な振り子を取り付けて、大地震の揺れを半減する技術を実用化した。アメリカはもっとこうした耐震インフラへの投資を行ったほうがいいだろう。

地震対策は耐震/免震構造のビル群以外にもある。東京のような沿岸部に住むからには、揺れだけでなく、その後に続く津波の脅威にも備えなければならない。

つい先日もカリフォルニアとハワイで、チリ沿岸部で起きたマグニチュード8.3の地震による津波の警報が発せられた。津波は遠く離れた日本にすら到達している。

東京郊外の50m地下には首都圏外郭放水路という延長6.3kmの巨大な水路が流れている。この世界最大級の地下河川は津波や台風による水を受け止め、江戸川に排水するための施設だ。

建設費は2,300億円で12年間の歳月をかけて完成された。巨費ではあるが、それに見合った市民の安全が確保されただろう。

出典 YouTube

そして、新幹線に代表される日本の高度な公共交通機関も当然耐震構造を有する。東日本大震災発生当時、日本列島には27本の新幹線が走っていた。

しかし、巨大な地震センサーのネットワークが初期微動を検出したおかげで、本震が来る前に緊急ブレーキがかけられ、死者はおろか、怪我人すら出なかった。

これは日本人だけでなく、2014年に過去最高を記録した日本を訪れる海外の観光客にとっても朗報だろう。また、カリフォルニア高速鉄道に日本の新幹線技術が採用されれば、アメリカの住人も恩恵を受けられる。

つい最近アメリカのベンチャー企業が中国と提携し、ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ高速地下鉄を建設すると発表したばかりだ。地震多発地域でこの類のテクノロジーを追求するなら安全であるに越したことはない。

アメリカはより厳しい建築基準が必要

日本の建築物には一定の耐震基準が設けられている。アメリカもその心構えを見習うべきだ。

サンフランシスコ東部は非常に大きな液状化リスクに晒されている。幸いにもスタンフォード大学の研究者によって、住宅の安価な改良法が発明された。これを用いれば、1989年に起きたロマ・プリータ地震の3倍の震度でも耐えられるらしい。

だが、問題はアメリカ人が地震の危険性をあまり意識していないことだろう。人々が声に出さなければ、政府が地震対策に乗り出すこともない。

今年『ザ・ニューヨーカー』誌に、太平洋側北西部に迫る地震のリスクに触れ、人々の地震への意識向上を目指す記事が掲載されていた。それによれば、シアトルの建物のほとんどは、アメリカ人が地震のリスクに気がつく前に建設されたものだという。

アメリカの建築基準の主要な目的は人命損失防止であるが、現行基準では最低限の地震対策しか盛り込まれていない。太平洋沿いの他の国々では、人命損失防止以外にも、事後の利用可能性にまで配慮されている。

例えば、チリでは、所有者に保守的な工事を行い、最高のエンジニアを雇用することが義務付けられている。

そこで緩い建築基準のもとで建設された建物に手を加え、今後建物を建設する際はそれに従うという工夫が必要かもしれない。

シアトルのマクドナルドは、「顧客が耐震構造の建物に価値を見出し、それに対してプレミアムを払ってくれることを期待しています。それに前向きなら、地震対策工事の市場が生まれるでしょう」と発言している。

出典 YouTube

(米建材メーカー、シンプソン・ストロング=タイ社による耐震テスト)

地震警報システムの構築

住人に即座に危険を知らせる信頼性の高いシステムも必要だろう。この点でも日本は世界のパイオニアだ。一方、アメリカにはこうしたシステムが現在1,000局存在しているが、専門家によれば2,000局か、3,000局は必要だそうだ。

地震後の津波発生時には通信システムが特に重要となる。なぜなら、津波への最高の対策は基本的に高台に逃げることだからだ。警報サービスに登録して携帯電話から通知を受けられるようにしておくといいだろう。

現在、アメリカで利用可能なサービスとしては、ShakeAlert.orgがある。ここはアメリカ地質調査所のデータに基づいた地震警報を発してくれる。また、CWarnというアメリカ地質調査所や日本の気象庁など、国際機関のデータを利用する非営利団体もある。

カリフォルニアと日本の地下地震センサーの数

だが、何よりも初期微動を検出できるシステムの構築が最優先だろう。日本では、2007年から早期警報システムを稼働しており、この小さい島国は文字通りセンサーで覆われている。

これらは、すべて費用の問題だ。

地震に備えた文化

こうしたインフラが完備されたとしても、それだけでは不完全だ。技術の背後にある人間にも準備が必要だからだ。つまり、個人のレベルでどのように対応するのかという問題である。

日本人の生活の要にあるのは脆弱さの概念である。日本では火山活動が活発で、毎年台風にも見舞われる。4枚のプレート上に位置しており、世界の大地震の20%は日本で起きている。その結果、日本人は小学校に入った頃から防災訓練を受けるようになった。

自然災害対策で厄介なことは、滅多に起きないにもかかからわず、影響が大きく、巨額の対策費用が必要になることだ。しかし、人はしばしば短期的な利益にのみ捕われてしまう。

繰り返すが、問題はすべて費用に関するものなのだ。いつかアメリカ西海岸を巨大地震が襲うのは間違いない。だから、今払って備えるのか、ケチって後で苦しむのか、選ばなければならない。

日本でこうした費用を負担するのは政府だ。無論、必要に迫られてではあるが、政府は初期警報システムを構築するために、1,000億円以上の資金を投じた。これによって確保された80秒を使えば、ガスの元栓を閉め、窓から避難したりといったことができる。

ネパールへ救助へ向かうため、バンコクの空港に到着した日本の救援隊

こうした事例は、人間はここまできちんと事前に備えられるということを教えてくれる。どれほど建物に手を加え、地震センサーを設置しようと、結局は地震への心構えが物を言うことになるだろう。

地震が起きたら、慌てず騒がず、頑丈な家具の下に隠れて、落ちてくる物から身を守るといい。日本やカリフォルニアのような地震の多い地域に住むことになったら、地球に飲み込まれる恐怖に怯えながら暮らすのは止めよう。

代わりに、防災グッズを手元に準備しておくのだ。旅行に行くなら、大使館に登録しておくのもいい。

だが、それ以上にアメリカの政治家には危機意識を持ってもらいたい。自然災害に対する考え方を根本から変えておく必要があるだろう。なぜなら、こうしたことは一朝一夕でできるものではないからだ。

そして、これは日本のような先駆者と協力し合うことも意味する。ある学者は地震学は共同作業の科学だと述べている。私たちは同じ惑星を共有しているのだ。

出典:gizmodo

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス