愛らしい赤ちゃんや幼児の笑顔。見る方も身内でなくても、思わず微笑んでしまいますね。ましてや、家族にとっては宝物でしょう。

出典 https://www.photolibrary.jp

写真はイメージです。本文とは関係ありません。

しかし、それも度が過ぎると、傍迷惑になる可能性も!?

この出来事に遭遇したのは今年の春のことです。我が家の二女が小学校を卒業し、中学に進むというので、子ども写真館に記念写真を撮りにいったときのことでした。お子様をお持ちの方はご存じかと思いますが、子ども写真館というのは祝祭日、休日の混みようは半端ではありません。やはり、子どもの成長の節目となるべき記念撮影のため、家族、時には両親だけでなく祖父母まで一族うち揃っての撮影になるので、仕事を持つ人が休みの日に予約を取る人が多いのです。

我が家も四人の子どもたちの入園入学、卒業には、この写真館を何度も利用してきました。祝日に予約すると大変なことは判っているので、このときも二女が学校から帰宅するのを待ち、平日に撮影をお願いしました。「事件」は、その撮影が三時間かけて終わり、プリントして貰う画像を選ぶために私たち親子が待機しているときに起こりました。

幼児の泣き声と感情的に怒鳴り散らす祖母の姿に言葉を失う

私たちが座って待っていた場所は、撮影場所からは少し離れていましたが、それでも全景は見渡せました。三時間の撮影で正直、親娘ともにぐったりしていたのです。ところが、突如としてドスッという音がして、幼児の甲高い泣き声が響き渡りました。私はハッとして音のした方を見ました。2歳くらいの女の子が撮影用の高い椅子から転がり落ちて派手に泣いていました。更に、そのすぐ傍で女の子の祖母が叫んでいました。「どうしてくれるの! ○○ちゃんが怪我をしたじゃないの!」。

すぐに撮影スタッフが駆け寄り、子どもの具合を確認しました。どうやら、たいした怪我ではないらしいことが判り、私も安心しました。しかし、祖母の怒りはそれでは収まらないようでした。しかも、時が経つにつれて感情的になってゆくようです。彼女の怒りは、事故が起きた当時、主に撮影を担当していた(カメラマン)女性に向けられているようてした。「あなた、どういうつもりなの? ウチの大切な孫をこんな目に遭わせて、どしてくれるのよっ」、部外者の私ですら、怒鳴られている女性スタッフが気の毒に思えるほどの激しい罵り様でした。

本当に責任を問われるべきなのは誰なのか?

祖母の怒りは収まるどころか、ますますエスカレートしていきます。子どもの怪我はたいしたことはないのですが、運の悪いことにアザになってしまったようでした。「まあ、アザになったじゃないの、○○ちゃん、可哀想に」、祖母はいささか芝居がかったようにも見えるオーバーな口調で孫を抱いて呟いていました。「こんなことをしでかしておいて、どう責任を取ってくれるの?」。彼女は女性カメラマンに迫っています。ですが、ここで私が疑問に思ったのは、本当に責任を追及されるべきなのが、この女性カメラマンなのかということでした。

実は孫のいちばん近くにいたのは祖母張本人だった!

実を言うと、私は女の子が椅子から落ちる場面を見ているのです。その時、いちばん近くにいたのは、怒鳴り散らしている祖母自身でした。写真館スタッフは当然、カメラマンも含めて数人が周囲に控えていましたが、どのスタッフも祖母の位置よりは離れていました。祖母はスタッフに「あなたたちの不注意で事故が起きた」と繰り返し抗議していましたが、私から見れば、いちばん不注意だったのは孫の最も近くにいた祖母その人ではないかと思えてなりませんでした。

もちろん、写真館内で撮影時に起きた事故ですから、スタッフにも子どもの安全を確保できなかった責任はあるかとは思います。しかし、状況から考えると、どうしても落下事故の責任をスタッフ側だけに問うのは筋違いではと思えました。その女の子は人見知りが激しいらしく、スタッフがあやしても余計に泣くばかりで、最も近くにいたのが祖母でした。お母さんは生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしていました。そういう状況であれば、スタッフではなく身近にいた祖母こそが「落下防止」のための予防策を講じるべきではなかったのではないでしょうか。

でも、祖母は自分にも責任の一端があるとは思いもしないようでした。

「こんなところ、二度と来ないわ」。捨て台詞を残して去った祖母と一家。

結局、それからすぐ一家は病院に子どもを連れてゆくということで、スタジオを去りました。若い両親は祖母のように感情的にはなっていませんでしたが、それでも、祖母の横暴を止めることはありませんでした。「○○ちゃん、可哀想に、ああ、アザがどんどん酷くなっていくわ」、彼女は最後まで聞こえよがしに喚きながら、孫を抱いて出てゆきました。「本当に申し訳ございませんでした」、他のスタッフが数人が深々と頭を下げて見送りました。帰り際、一人が「またご都合の良い日に予約して頂ければ、撮影をさせて頂きますので」と丁重に話しかけると、祖母は「とんでもない! こんな店には二度と来ないわ」と捨て台詞を残して足跡も荒く出て行きました。

写真館スタッフに同情的な声が多いのは何故か?

傍で一部始終を見ていた私も娘も言葉がありませんでした。落ちた女の子の怪我がたいしたことがないのを願う気持ちと共に、一方的にスタッフを罵り去っていった祖母の剣幕に圧倒されていました。その間、スタッフ全員がその一家との対応に追われており、私たち親子は当然ながら待ちぼうけでした。やっと一家が去った後、戻ってきたスタッフの顔には濃い疲労が滲んでいました。当事者のカメラマンが上位の管理職に報告の電話をしているらしく、受け付けの電話で話していました。彼女は泣きながら上司に報告していました。

帰宅後、私はどうにも気になって、ネットで関連した出来事について調べてみました。すると、似たような―子ども写真館で撮影中にちょっとした事故が起こり、親が憤慨して書き込んだと思われる記事が幾つも見つかりました。ただ、当事者の親は写真館側に責任があると主張し、時には損害賠償まで求めたいと書き込んでいるのですが、それに対して寄せられた不特定多数のコメントは、意外に冷たいものでした。

殆どの人が責任を写真館側だけに追及するのは間違っているという意見だったのです。例えば撮影スタジオの装置や機材が壊れて、それが原因で事故が起こったのなら写真館側の手落ちになるけれども、子どもが一人で椅子や台から落ちたという事故の場合はスタッフだけではなく、むしろ、傍についていた身内にも安全に対する配慮が足りなかったのではというコメントが多く見られました。ましてや、「損害賠償なんて論外だ」と親の方を非難する声さえありました。

判断の難しい子ども写真館での「安全性」についての問題。

確かに難しい問題であると思いますし、人によって―というより、その子どもの身内であるか、写真館側のスタッフであるかという立場の相違によっても意見が分かれるころだと思います。ただ、私はこの件に関しては、まったくスタジオ側、スタッフに非がないとはいえないと考えています。そこはプロですから、やはり偶発的な事故、特にまだ足下がおぼつかないような幼児に対してはスタッフがすぐ傍に待機するなど、配慮が必要であったかと思います。ただ、身内である祖母もすぐ傍に控えていたわけですから、祖母自身の注意も足りなかったことは明らかです。

それから半月後、私は出来上がった写真を受け取りに写真館に行ったところ、例の怒鳴られて泣いていた女性カメラマンが受付にいました。もちろん、そのときのことを思い出しても口にするはずもありません。ただ、彼女の屈託ない笑顔と態度から、半月前のあの出来事はたいしたことはなかったのだろうと推察できました。もしかしたら、スタジオ側、家族側、どちらもがもう少し配慮していれば、未然に防げたかもしれない出来事であったかもしれません。いちばん可哀想なのは晴れの記念日になるべき日に痛い思いをした子どもであったかもれません。

また、利用する客側も客だからといってスタッフに任せきりにするのではなく、我が子や孫の安全は自分で守るといった認識が必要ではないのでしょうか。これを書いた私自身、どちらが良い悪いと結論づけることはできない、考えさせられる問題でした。

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フリーライター。ウェブ小説を書いています。2013年、「歴史浪漫文学賞」において最終選考通過。入賞候補作品「雪中花~とりかえばや異聞」書籍化。洋の東西を問わず、歴史が大好き。自称【歴女】です。韓流時代劇に夢中。そのほかにも美容・天然石アクセサリー作りなどに興味があります。
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