もし、今、あなたが肉体的に大きなハンディキャップを背負わされたとして、これからの未来を昨日までと同じように生きて行けますか?弱い私には到底無理でしょう。その場で命を絶つかも知れません。しかし、世の中には、どれほど大きなハンディを背負って生まれて来ても、それを克服してなお飛躍を遂げる人がいます。2015年度エミー助演男優賞獲得者、ピーター・ディンクリッジ氏こそは、まさに称賛しても余りある素晴らしい人間でありまた俳優です。

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エミー賞受賞のステージで。壇上に上がるなり彼はこう言いました。「全く取れるなんて思ってなかったから、ついさっきまでチューインガムを噛んでいたんだ」と。このスピーチですらユーモアが溢れていました。

ピーター・ディンクリッジ(Peter H Dinklage)

アメリカの俳優。1969年ニュージャージー州生まれ。小学校の五年生で演技に目覚め、1991年にカレッジを卒業するまでに、既にいくつかの作品に出演していた。2011年からは、ファンタジー大河小説『氷と炎の歌』を原作としたHBO制作のテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』で王の末っ子、三人いる王子の一人を演じている。2011年にエミー賞助演男優賞とゴールデングローブ賞助演男優賞のダブル受賞。【ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛】ではトランプキン役を、現在上映中の【ピクセル】ではエディ・プラント役を演じている。2015年度のエミー賞では、二度目となる助演男優賞を獲得した。

コンプレックスの先にあるもの

日本人の20歳男性の平均身長は、2012年の時点で170.9cmでした。では、ディンクリッジ氏の身長はと言えば、実に135㎝しかありません。彼は、生まれながらの小人症であり、新春期の頃から身長が止まったままです。運命を受け入れるのは簡単ではありませんでした。特に、外見を重視するショウビジネスにおいては。

When I was younger, I definitely let it get to me. As an adolescent, I was bitter and angry, and I definitely put up these walls. But the older you get, you realize you just have to have a sense of humor. You just know that it's not your problem. It's theirs.

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2003年、身長についてインタビューされた時の彼のコメントです。「若い頃は勿論気に病んださ。思春期には、苦り切って怒っていたし、当然壁(周囲の人と)を作っていたよ。でも、年齢を重ねると、ユーモアのセンスを持たなくちゃって気付くのさ。それが問題じゃないってことを知っちゃうんだね。それは彼らの問題だってね」ほぼ直訳ですが、ニュアンスを解して頂ければ幸いです。

しかし、小学校5年の時でした。学芸会で主役を演じたときの観衆からの喝采が、彼の人生を演技者へと駆り立てたのです。映画では既に20本以上、テレビドラマに至っては5年に渡りメガヒット作(ゲーム・オブ・スローンズ)のメインキャラクターを演じています。いくつもの演技賞に輝き、ともすれば順風満帆に見えるキャリアですが、道は平坦ではありませんでした。

常に偏見との戦い 武器はユーモアのセンス

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賞の発表を待つディンクリッジ氏。右は彼の奥さん。

決して変わることのない外見。ディンクリッジ氏の前には、常に偏見との戦いがありました。小人症だと分かったときは、その運命を呪ったそうです。ゲーム・オブ・スローンズの中でこんな台詞があります。

— Tyrion at his trial, falsely accused of killing King Joffrey
キングジョフリー殺害のあらぬ嫌疑をかけられるティリオン・ラニスター(ディンクリッジ役)

Tyrion Lannister: "I'm guilty of a far more monstrous crime: I'm guilty of being a dwarf!"
俺は極悪非道の犯罪よりもさらに有罪なんだ。小人であることが罪なんだ!
Tywin Lannister: "You are not on trial for being a dwarf."
お前が裁かれるのは小人だからじゃない。
Tyrion Lannister: "Oh, yes I am! I've been on trial for that my entire life!"
ああ、そうさ!俺は生れてこの方ずっと裁かれてきたじゃないか!

まるで、彼の人生そのものを脚本としたようなシーンでした。しかし、ハンディキャップをものともせずに、コンプレックスをアドバンテージ(長所)に変えた彼だからこそ、他のどんな役者にも演じられない彼独自の世界を生み出すことができたのです。

華やかな部分だけを書き綴れば、人生はさも幸せに満ちているような気がします。ですが、これは飽くまでも挑戦した者が得る見返りであり、不幸を嘆いてばかりでは決して手にすることのない栄光です。マイノリティーだからと特別扱いをするのが正しいとは限りませんが、同じ視点に立って考えたとき、彼らの努力は十分に認められるべきなのではないでしょうか。もし、あなたが何かのコンプレックスで落胆しているのであれば、この135㎝しかない偉大な役者ピーター・ディンクリッジ氏を思い出して下さい。例えそれが泥の球でも、しっかりと握って磨き続ければ、必ず光沢が生まれます。外見の美しさなど年齢と共に朽ちて行きます。それよりも、年を重ねるごとに光り輝く、内なる力を磨いてみてはいかがでしょうか?

エミー賞(エミー・アウォード、Emmy Award)は、米国テレビ芸術科学アカデミー(The Academy of Television Arts & Sciences)の主催で、アメリカのテレビドラマを始めとする番組のほか、テレビに関連する様々な業績に与えられる賞である。知名度が非常に高く、単に「エミー」と略されることが多い。似た賞でピーボディ賞が存在するが、エミー賞はそれに比べるとより娯楽性を重視した賞である。第1回のエミー賞は1949年1月25日に開催された。
エミー賞の対象部門は様々に分類されており、放送時間による分類(プライムタイムに放送される娯楽番組、デイタイムに放送される番組)やスポーツ、ニュース、ドキュメンタリー番組など、海外制作の番組などのほか、制作技術や放送機器・技術に対しても表彰が行われている。

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ピータ・ディンクリッジ2015年度エミー助演男優賞受賞

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今季おススメのアニメは「うしおととら」。海外ドラマでは「ブラックリスト」。これまでに見た映画の中では、個人的トップ10の常連である、「フィッシャー・キング」です。

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