日本のみなさん、シルバーウィークはいかがお過ごしですか?あっという間に9月も半ばを過ぎ、少し秋の気配が漂う季節になってきたのではないでしょうか。そして秋といえば、食べる秋、読書の秋、といろいろ。今回、秋の夜長にぴったりのおススメの5冊を筆者の独断と偏見でご紹介したいと思います!

1.90年代初期の宮本輝氏の作品

出典 http://www.amazon.co.jp

城田家にハンガリーからの留学生がやってきた。総勢十三人と犬一匹。ただでさえ騒動続きの大家族に、あらたな波瀾が巻きおこる。異文化へのとまどい、肉親ゆえの愛憎。泣き、笑い、時に激しく衝突しながら、家族一人ひとりは、それぞれの生の新しい手がかりを得る。そして別れ―。人と人の絆とはなにかを問う長篇小説。

出典 http://www.amazon.co.jp

筆者の大好きな本です。今から約20年も前というと、日本での留学生の受け入れ方も今とは少し違いました。まだグローバル化が進んでいない日本にやってきたハンガリー青年が、日本人のホームスティ先で過ごし、やがて国に帰って行くというストーリーです。

慣れない海外で暮らす留学生とその外国人を受け入れる家族の戸惑いの描写が実に繊細に描かれている作品です。そして、家族の絆とはなにか、人間とはどうあるべきかという私達に一番必要なことを、時にコメディタッチで描く宮本輝氏。

笑いあり、涙ありの後には、清々しいほどの達成感が湧きあがるそんな作品です。筆者はこの本を友人に薦められて読んだのが実に20年前。これまでたくさんの本を読んできて、好きな本もたくさんあるけれど、いつもこの作品は筆者の好きな本ベスト3に入っています。

宮本輝氏の作品をまだ読んだことがないという人にも是非おススメです。彼の作品の中では実に読みやすい1冊なので、秋の夜長のお共にどうぞ。

2.1999年出版の奥田英朗氏の作品

出典 http://www.amazon.co.jp

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説。

出典 http://www.amazon.co.jp

また90年代に出版された小説ですが、読み出したら止まらないという感覚をまさに味わって頂ける作品です。奥田英朗氏の作品はどれも夜更かし覚悟と言われるように、読み出すとスピードが加速し一気に読み終えてしまうことも。

一人の主人公に焦点を当てているのではなく、中小企業の男性工員、しがないOL、そして不良少年と3つのアングルからストーリーが薦められていくので飽きることがありません。

ジャンルは犯罪小説ですが、人間の心の闇に焦点を置いた作品になっています。人の人生とはこんなにも転がりやすく脆いものなのかをドキドキしながら実感できる作品です。筆者はこの作品で奥田英朗氏にハマりました。

小説なんだけど実際に起こってしまいそうな目線で読めるのですぐ側に犯罪が起こる時ってこういう時なんだろうな、という感想を筆者は持ちました。こちらも是非、読んでみて下さい。

3. 1994年刊行の乃南アサのベストセラー

出典 http://www.amazon.co.jp

「犯罪被害者に限定して言えば、事件の加害者となった人間以外はすべて、被害者になってしまうのではないかと、私はそんなふうに考えている。そして、その爆風とも言える影響が、果たしてどこまで広がるものか、どのように人の人生を狂わすものかを考えたかった」-乃南アサ

出典 http://www.amazon.co.jp

この本で、初めて犯罪の加害者と被害者の双方から物事を捕えた作品が描かれました。犯罪小説なので内容は重いですが、読み応えのある作品です。乃南アサさんは人間の心理描写を実に繊細に描く作家と評価が高く、読んで行くうちにスルスルと小説の世界に引きずり込まるような感覚になります。

余韻が後を引いて、読み終わった後もいつまでも考えてしまうほどでした。現実に十分あり得るストーリーなので「もし、加害者の立場だったら」「もし、被害者の立場だったら」ということを交互に考えながら読める作品です。

4. 「風紋」の続編

出典 http://www.amazon.co.jp

母親を殺害された高浜真裕子は、そのとき高校二年生。心に癒しがたい傷を負った。一方、加害者の子供たち大輔と絵里は長崎の祖父母のもとに預けられ、父と母を知らずに成長する。運命が変わったあの日から七年、かけがえのない人をもぎ取られた真裕子の心の傷は癒えるのか。殺人犯の父親を持った子供たちは、その運命を受け容れることができるのか。

出典 http://www.amazon.co.jp

「風紋」上下は被害者の視点から、この「晩鐘」上下は加害者の家族の視点から描かれた作品になっています。この作品を読むと、やはり加害者家族も被害者と呼べるのではないだろうかという乃南アサさんが問いかけていることを深く考えさせられます。

人権とは何か、法の裁きは正しいといえるのか、そして被害者家族側と加害者家族側の人生の変化など…まさに現代の犯罪が起こった時に、私達が目を背けてはいけないことが非常に繊細なタッチで描かれた筆者おススメの作品です。

5. あの「神戸児童連続殺傷事件」をベースにした作品

出典 http://www.amazon.co.jp

―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?―
ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が、児童連続殺傷事件に着想を得て、凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編!
ジャーナリストを志して夢破れ、製作所に住み込みで働くことになった益田純一。同僚の鈴木秀人は無口で陰気、どことなく影があって職場で好かれていない。しかし、益田は鈴木と同期入社のよしみもあって、少しずつ打ち解け合っていく。事務員の藤沢美代子は、職場で起きたある事件についてかばってもらったことをきっかけに、鈴木に好意を抱いている。益田はある日、元恋人のアナウンサー・清美から「13年前におきた黒蛇神事件について、話を聞かせてほしい」と連絡を受ける。13年前の残虐な少年犯罪について調べを進めるうち、その事件の犯人である「青柳」が、実は同僚の鈴木なのではないか?と疑念を抱きはじめる・・・・・・

出典 http://www.amazon.co.jp

2013年刊行の小説です。薬丸岳さんは筆者の好きな作家の一人でもありますが、彼は実際の犯罪事件をベースに小説を描くことが多く、読むたびにその事件を思い出すということになるので、向いている人とそうでない人がいると思います。

でも筆者はあえて、実際の事件が小説として書かれた場合、どういうふうに自分が感じるのかを知りたいので彼の作品は欠かさず読んでいます。あの時も、そして今も世間で話題になっている「神戸児童連続殺傷事件」を思い起こさせる作品では、被害者のその後という形で書かれています。

あくまでも架空の人物として完成されていますが、あの恐ろしい出来事を知っている人はこの本を読むと様々な思いが交差することと思います。でも作品としてはまさに現代の「罪と罰」を描いた傑作となっていると感じました。

この本を読んだ人のレビューは賛否両論です。実際に起こった出来事なだけに、その残酷さを日本中の人が知っているだけに小説にしてしまうと、あまりにも甘い結末にしかならないのでは、という人もいるようです。

正直、筆者はあの事件の加害者はやはり社会に許されるべきではないと思っています。これから一生、罪を背負って生きて行く必要があると。社会に顔向けできないことをした加害者は社会に表立って出るべきではないと。

でもこの小説を読んだ時にあくまでも架空のストーリーとして書かれていますが、少し加害者側の辛さも感じられるものになっています。ですがそれはあくまでも薬丸岳さんの小説世界の中だけのことであって、現実はやはりもっと厳しいものなんだということを加害者は知って欲しい、と作品を読んで気持ちが交差しました。読んでみる価値はある1冊だと思います。

まさに筆者一存の5作品ですが、興味があれば是非探してみて下さい。

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス