記事提供:東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。秋の都議会は今週金曜日にスタートしますが、先駆けて各常任委員会では昨日から審議が始まっています(そういえば、なんで委員会のが先に始まるんだろう?)。

私が所属する厚生委員会は本日開催されまして、本定例会で上程される議案の説明と、都民の方から提出された「請願・陳情」の審議・採決が行われました。その中の一つが

「発達障害児とその家族に対する支援の充実に関する請願」

でした。

この要点は大きく3つです。

1. 保育所や学童クラブで発達障害児の受け入れが進められるように支援して欲しい
2. 児童発達支援センター・児童発達支援事業所の設置促進を図ってほしい
3. 発達障害児への理解促進(啓蒙活動)を図ってほしい

近年、急速に社会問題になりつつあり、平成17年には法律(発達障害者支援法)も施行された発達障害ですが、

「あーなんか、新しい脳の病気なんでしょう?
「アスペとか多動性とか、最近よく聞くよね」

というくらいの認識の方が多いと思います。この問題の非常に難しいところは、端的に言うと

発達障害とはいったい何なのか、実は科学的にはまだよくわかっていない

という点にあります。同じ症状を持つ子でも、医師によって発達障害と診断されたりされなかったり、つけられる診断名・病名も変わったりすることが多く報告されています。

こうした中で、

「昔であれば『個性』の範疇に収まっていた子どもが、『発達障害』と診断されて病人・障がい者扱いをされてしまう」「そして強い精神治療薬を処方されて、副作用が生じる恐れがある」

という点が、有識者や関係者から多く指摘されています。ここには、日本人の「薬信仰」問題が拍車をかけています。

日本人は年間薬剤代が先進国でも上位に入る薬大好き国民で、

「病気なら、薬を飲めば治る!」

と信じている方が数多くいらっしゃいます。自分の子どもの問題行動をなんとか治したい、「病気」であれば薬を飲めば治るはずだ…

しかし前述の通り、発達障害は「病気」と定義されたわけではありませんし、なにより薬によって治る・症状が緩和されるというのは、その薬を作る製薬会社自身が行うエビデンスに乏しい臨床実験で裏付けられているに過ぎません。

しかし行政としても、医療的ケア・投薬治療を進めるのは魅力的な選択肢です。「発達障害対策をなんとかしろ!」と迫る世論に対して、医療的ケア・投薬治療で対応するのは極めてわかりやすい(しかも薬信仰が強い国民が納得する)政策に思えるからです。

こうして、

・薬を売りたい、使用したい製薬会社や医師
・現場での対応が難しいため、とりあえず薬で大人しくなって欲しい教師や保育士
・明確な対応実績を残したい行政
・なんとか「治せる」という安心が欲しい発達障害児の親たち

こうした関係者たちが時にスクラムを組んで、子どもたちを投薬治療へと進めていくことになるというわけですね。

もちろん、本当に支援が必要な子どもたちの中に、投薬治療がベターであるケースもあるかもしれません。

しかし、一般的に精神治療薬は「劇薬」であり、大人であってもその副作用は強く心配されるもの。やはり最終的な選択肢に留めておくに越したことはありません。

今回の請願では、児童発達支援センターなどのハード面、いわゆる「ハコモノ」の設置促進も含まれています。

もちろん有益な面もありますが、こうしたハコモノの欠点は、わかりやすい対応結果・数値実績を出したいあまりに「安易な医療機関への紹介」を頻発させてしまう恐れがあることです。

東京都が所轄するものではないですが、世田谷区が独自に設置をしたある発達障害支援・相談センターでは、

「初回の相談者をすぐに医療機関に紹介し、しかもその後の『後追い調査』を一切行っていない」

という例が数十件あったことが、2014年に医療ジャーナリストによって指摘されています。

「とりあえず病院」

という対応では、発達障害に対する適切な支援とは言えません。保育現場や教育現場での理解啓発やスキルアップ、家族への支援など、多面的な(ゆえになかなか目に見えづらい)政策こそが必要になってくるでしょう。

以上に鑑みて本日の委員会ではこの請願内容につきまして、いまだに世間の理解が乏しい発達障害児への支援充実の必要性は認め賛成しつつ、科学的根拠がまだ脆弱で複雑な発達障害へは、慎重な対応を望む旨を申し添えました。

もちろん実際に支援団体や当事者の話を伺っても、本当に支援が必要で苦しんでいる方々は多数いらっしゃいます。

適切な行政の支援とは何かを考えながら、私の方でも引き続き調査・研究を進め、提言していきたいと思います。

それでは、また明日。

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