9月14日、人をかんだ犬を警察官が13発も拳銃を発砲し銃殺した事件がありました。一部報道では「狂犬」などと言われていますが、犬は本当に狂犬だったのでしょうか?

人をかんだとして警察に銃殺される

事件で銃殺されたのは紀州犬のミリオン(7歳)。千葉県松戸市内にある71歳の男性宅で飼育されていた犬で13日に逃げ出していたのです。その日の午後9時過ぎに10代の男性がかまれてケガをし、14日の午後2時ごろ女性がかまれてしまいます。

その後、飼い主が取り押さえようとするも失敗し、駆けつけた警察官3名が13発発砲し、そのうち6発がミリオンに命中し、射殺されたのです。

天然記念物にも指定されている紀州犬

出典 http://www.kisyuken.com

一般的な紀州犬です。日本犬らしいとても美しい犬です。

ミリオンは体長1メートル22、体重21kgで紀州犬としては大きい方ですが、一般的には中型犬に入ると思います。

もともとイノシシ狩りなどの狩猟犬であり、勇猛果敢な犬。ほかの日本犬と同様にだれにでも人懐こいわけではないが飼い主に忠実で、無駄吠えをせず警戒心が強い。きちんと世話をし、しつけをすれば飼いやすい犬で天然記念物に指定もされている犬です。

●優れた犬は1頭でもイノシシを倒すと言われるほどの勇猛さで知られ、気性は荒い傾向がある。そのため躾けを怠って野放しにすると非常に攻撃的な性格になり、(特に家族以外の)人間や犬に噛みつく危険性がある。しかし、きちんと躾を施せば優秀な家庭犬になり、小さな子供のいる家庭でも問題なく飼育できる。

●日本土着犬の一般的特性として、主人に忠実でよそ者を警戒する性質を持つため、番犬に適している。但し、大型動物狩猟犬としての特性上、無駄吠えが少ないため、威嚇よりも撃退向きである。自分や家族に害を及ぼす相手に対しては、一切容赦せず強靭な顎で食らいつく。
●体質は非常に丈夫で手入れもしやすく、遺伝病は少ない。

●山地での激しい狩りにも耐えうる体力・持久力を有するため、飼育する場合には十分な運動が要求される。よって、飼育環境は郊外の一軒家や農村地帯が好ましい。

出典 https://ja.wikipedia.org

愛情と適切な飼育が不可欠

紀州犬に限らず、犬を飼育するためには適切な飼育環境や運動、しつけそして何より飼い主の愛情が必要です。

犬は群れで生活する生き物。そして野生動物ではありません。人間との良好な関係や愛情は犬にとっては必要不可欠なのです。

ゴミ屋敷のよう…劣悪な環境で飼われていたミリオン

ミリオンの飼い主は71歳の高齢者で、70代の妻と30~40代の兄妹の5人家族。家はゴミ屋敷状態で、ミリオンは壊れた食器やひっくり返った鉢などが散乱しているベランダに放置されていたということです。

現在、高齢者のペットのネグレクト(飼育放棄)や遺棄が問題になっていますが、この飼い主の飼育方法は果たして適切だったのでしょうか?「とくダネ!」や他のメディアの報道によると、ミリオンは劣悪な環境で飼育されていたとのこと。

出典 http://ceron.jp

ミリオンが閉じ込められていたベランダ。ごみが散乱し劣悪な環境です。

近隣の住民は「あの犬が散歩しているのを見たことがないと近所でも心配されていた。5年前にも脱走して人や小型犬にかみついて以来、2階の狭いベランダをおり代わりに閉じ込められていた。糞尿も片付けないので異臭もした」と語る。

出典 http://www.tokyo-sports.co.jp

暴力も振るわれて虐待されていた

「雨ざらしになっていて、近所の人が使っていない犬小屋を差し入れたこともある」と同住民。

 また別の住民によると「あの子は3代目で、どの犬も『ミリ』と名づけられていた。奥さんが犬好きで買ってくるくせに世話をせず、旦那さんが『世話しろ!』と怒鳴る声もした。猫も何匹も放し飼いにして2階の窓から猫を放り投げるのを見た。子猫が家の前でひかれて死んだこともあった」という。

出典 http://www.tokyo-sports.co.jp

汚いベランダにつながれっ放しで散歩もしてもらえず、さらに飼い主はミリオンに事あるごとに八つ当たりし暴力をふるって虐待していたとのこと。住民の中には、「道路を歩いているのを見て、やっと自由になれたと思った」と言うほど悲惨な飼育状況だったのです。

身を守るために牙をむく

そもそも犬は簡単に人を傷つけることができる牙をもっている動物ですが、その牙をむやみに使ってはいけないと本能で知っています。しかし、牙は獲物を捕らえることはもちろんのこと、自分を守るため、そして敵を倒すための犬にとっては命を守るものです。

ミリオンを凶暴な犬にしたのは全て飼い主の責任

人間を噛んでしまったミリオン。噛んだのはミリオン自身ですが、ミリオンは狂犬ではありません。そこまで追い込み、最終的に銃殺と言う悲惨な最期を迎えさせたのは全て飼い主の責任です。

人間社会で生きる以上、人間を傷つけてはいけません。だから、飼い主はきちんとしつけをし愛情をもって飼育しなければいけません。しかし、ミリオンの飼い主は何一つミリオンに必要なことはしていませんでした。

しかもミリオンが噛みついている様子を映像で撮っています。いったいどういうつもりで、映像を撮っていたのかその点も不可解です。

動物を飼ってはいけない人間

ミリオンの飼い主は、動物保護活動をしている者だったら絶対に、どんな動物も譲渡しない人間です。つまり、生き物を飼ってはいけない人間。

●愛情のかけらもない
●つなぎっぱなしで散歩もせずに糞尿だらけ→ネグレクトという虐待
●暴力をふるって虐待
●家がゴミ屋敷→ネグレクト、多頭飼育崩壊になりやすい

ところがこういう人間ほど、動物を次々と飼育し続けるのです。欧米には動物虐待をした人間は「以後動物を飼育してはいけない」などの罰則がありますが、日本は残念ながら動物愛護に消極的な国であるため、虐待されている動物を保護することさえ簡単にはできません。

しかし、二度とこのような悲劇を起こさないためにも、法整備を進めるべきだと思います。きちんと世話をせず、虐待死させたり、また周囲の人間に迷惑をかけたりする飼い主があまりにも多すぎます。

ミリオンにとって人間は怖い存在だった

本来、飼い主は「人間は安全で優しいものである」ということを犬に教えなければなりません。普通は特に教えなくても、愛情をもって適切に接していれば、人間に牙をむいたりしないものです。

ミリオンに「人間は恐ろしいもの」と思わせたのは飼い主。けがをされた方への責任はもちろんのこと、ミリオンの命に対しての責任も全て飼い主にあるのです。

ミリオンにとって人間は怖い存在だったと思います。噛むという行動は「自分に危害を加えられるかもしれない」という恐怖から起こる場合がほとんどです。

私のうちに子犬のときに足を折られるなど、ひどい虐待を受けた犬がいます。暴力を受けて育ったため、人間の手足をとても恐れていました。保護してから4年たちますが今でも、「人間にかわいがってほしい、でも人間が怖い」という葛藤が見えるときがあります。

また、物でも殴られていたらしく、ブラッシングしようとすると反射的にブラシに牙をむいてしまうことも。犬だって自分の身に脅威を感じれば、身を守るために唯一の武器である牙をむくしかないのです。

海外では動物を飼う資格を制定した自治体も

この飼い主は、このようは虐待行為を繰り返し行っています。きっと今回もほとんど反省しないでしょう。だからこそ、法整備が必要なのだと強く思います。

カナダ・モントリオールの自治体では
●動物を飼育するための免許を取得しなければペットを飼ってはいけない
●免許取得に24ドル必要
●上記を破った場合は100ドル~1000ドルの罰金
などの規則を定めたそうです。

ここまでしないと、迷惑な飼い主が減らないということなのかもしれません。日本も欧米に負けず劣らずペットの飼育頭数は増えていますが、それとともに色々な犯罪も増えています。規則で縛らなければならないのは残念ですが、人間とはそういう生き物なのでしょうし、ある程度は必要なことだと思います。

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