私たちのまわりには、数多くの犬たちが暮らしています。

駅に向かう早朝の通勤路で、夕暮れ時の公園で、私たちは飼い主にリードを引かれて楽しそうに歩きまわる犬たちを、当たり前のように目撃することができます。

しかし世の中の犬たちは、そんなに幸せな子ばかりではありません。
年間でかなりの数の犬たちが、殺処分に付されている事をご存じでしょうか?

元々は望まれて飼い主の家に迎えられた犬たち。にも拘わらず、生きる道を閉ざされてしまった犬たち。私たちはそんな犬たちの存在に心を痛めます。

何かをして上げたいけれど、何もなす術が無い。
恐らくはそれが、私たち一般の人間の普通の考えでしょう。
しかし、そんなに大げさに構えなくても、私たちにできることはきっとあるはず。

この記事は、そんなことを考えながら書いたものです。

どれだけの犬が ”不要” になるのか?

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それでは犬は、年間でどれくらいの頭数が ”不要” な存在になるのでしょうか?
ここで敢て、あたかも物に対するかのように、 ”不要” という言葉を使ったのには理由があります。それは飼い主から見捨てられた犬たちが、まるで不要品のように処分される実態があるからです。

ここに注目すべき調査があります。平成22年に実施された、内閣府による『動物愛護に関する世論調査』がそれです。

飼えなくなった犬・猫をどう処置するかという質問に対し、最も多い選択肢は『新たな飼い主をさがす』55.9%、次いで『動物愛護団体に引き取ってもらう』52.0%。
そして第3位に『保険所や動物管理センターに引き取ってもらう』30.3%が入っています。

動物愛護に関する世論調査(平成22年10月調査) 
内閣府大臣官房政府広報室

[飼えなくなった犬・猫の処置](複数回答,上位3項目)
・新たな飼い主をさがす            65.9%
・動物愛護団体に引き取ってもらう       52.0%
・保健所や動物管理センターに引き取ってもらう 30.3%

調査対象 全国20歳以上の者3,000人
     有効回収数1,939人(回収率64.6%)
調査期間 平成22年9月2日~9月12日(調査員による個別面接聴取)

出典内閣府政府広報室 動物愛護に関する世論調査(平成22年10月調査)

注意しなければならないのが、このアンケート中の別の設問、犬・猫の殺処分の必要性の冒頭に、『自治体が引き取った犬・猫の9割が殺処分される』と明記されていることです(下記)。

上記世論調査の設問用紙より抜粋

Q6〔回答票18〕
全国の自治体において,年間に犬が約11万頭,猫が約20万頭引き取られています。引き取られた犬や猫の約9割は,新たな引取り手が出てこないなどの理由からなるべく苦痛を与えないように殺処分されています。あなたは犬や猫の殺処分についてどう思いますか。この中から1つだけお答えください。

(55.8) (ア)殺処分を行う必要がある
(29.3) (イ)殺処分を行う必要はない
(  3.5)  その他(               )
(11.4)  わからない

出典内閣府政府広報室 動物愛護に関する世論調査(平成22年10月調査)

驚くべきことにこの世論調査からは、回答者の実に30%以上もの人が、犬・猫を飼えなくなった場合に、愛犬が殺処分される可能性が極めて高い『保険所や動物管理センターに引き取ってもらう』という選択肢を、その実態を知りながらも、容認している姿を見て取ることができます。

恐らくはその傾向が、実に年間11万頭もの犬が自治体に引き取られ、そのうちの約9割が殺処分されるという現実を生んでいるのです。

ねえ、家族だって言ってくれたよね

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ほとんどの場合、犬たちは幼犬のうちに、飼い主家族の一員として迎えられます。
何も分からないうちに、両親や兄弟から引き離された幼犬にとっては、自分を迎えてくれた飼主こそが、正に唯一の家族となるわけです。

しかし、やむにやまれぬ事情で、その新しい家族を手放さなければならない飼い主もいることでしょう。海外への転勤、不意の病、経済的事情など理由は様々です。そんなとき、その飼い主は懸命に『新たな飼い主をさがす』に違いありません。そしてそれが駄目なら、『動物愛護団体に引き取ってもらう』という選択肢を選ぶはずです。

問題は、飼い主側にやむにやまれぬ事情が無いにも関わらず、手放されてしまう犬たちです。恐らくその犬たちは、飼い主にとって最も容易な方法、つまり『保険所や動物管理センターに引き取ってもらう』という選択をされてしまう可能性が、とても高いグループということになります。

ねえ、まだ家族だよって言ってよ

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そもそも、大切な家族であるべき犬たちが、なぜ殺処分という悲しい運命を辿らなければならくなるのでしょうか?

可愛くなくなったから? 大切な存在でなくなったから?

いいえ、違いますね。
犬たちはただ真っ直ぐに、自分の一生を生きているだけ。何も変わりはありません。
変わってしまったのは、飼い主の心の方。

可愛く感じなくなったから。大切に思わなくなったから。

それが本当の理由です。

では、どうすれば不幸な犬たちを減らすことができるのでしょうか?

犬にこれまで以上に可愛くなれ、大切な存在になれというのは無理な話。
飼主の方が、これまで以上に犬をかわいく思い、大切に思う心を養うしかありません。

それは共感できる思い。共有できる幸せ。

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筆者は犬を飼っており、他の愛犬家のホームページやブログをよく閲覧しています。
実は以前から、そこで感じていたことがありました。
他の家の犬が、どういう経緯でその家に来たのかを知ることは、とても興味深いことであるという事です。

犬を飼うことになった発端(子どもにせがまれた。念願の一戸建てを手に入れた。ペットショップで心奪われる仔犬に遭遇したなど)や、犬を飼おうとしてから実際に飼うまでの準備(家族の同意、飼育環境の整備、経済的余裕の検討など)の話は、まるで我が事のような臨場感を持って胸に迫ります。
そしてそれを読み終えると、例外なくよその家の子が、まるで自分の愛犬のように愛おしく思えている自分に気が付きます。

そこで筆者も試みとして、自分の愛犬がうちにくるまでの過程を、ブログに書いてみることにしました。

うちの子が、うちに来るまで

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下記が筆者の書いたブログ。
3回に分けて、現在の愛犬を家に迎えることになった経緯を記しています。

書いてみた結果として、まずは筆者自身が、自らの愛犬をそれまで以上に愛おしく思えるようになりました。正に初心に戻るという効果はてきめんです。

書くという行為自体も重要です。
頭で思うだけでなく書くことによって、その時に起きた一連の出来事が、客観性を持って記憶に刻み込まれていきます。これは書くことの、最大のメリットと思われます。

『うちの子が、うちに来るまで』を教えてください

出典筆者ブログのタイトルより

筆者は自らがブログを書くのと並行し、読者の方々に『皆さんの「うちの子が、うちに来るまで」も教えてください』と呼びかけていました。
筆者のブログ上では、筆者だけでなく読者も交えた、小さな実験が始まっていたのです。

筆者のブログのコメント欄には、多くの書き込みが寄せられました。
以下は、上記ブログのコメント欄からの抜粋です。

無題
初めてコメントさせて頂きます。
ピーチーちゃんの子犬の時を始め、ブログ上で成犬になってからしか知らなかった子たちの、子犬の時が見られてとっても楽しいです!
私はジョイナスを迎えた時を思い出すと、先に先住犬2匹を失った悲しさが思い出されてしまって辛いところです。
そのせいか?来た頃の事はあまりおぼえてないんですよね~
ジョイナスは子犬の時より、今の方がず~っと可愛いです(*^▽^*)
おがちょ

無題
ピーチーさんが家族になるまでのお話、とても感動しました。
一つの命を預かる大事な事が集約されていて、初心に還る思いです。
愛情たっぷり注がれたピーチーさんはブログを通しても伝わります。
齢を重ねて心配事も増えますけれど、かけがえのない時間を大切にしたいですね。
エゾチモン

無題
(三頭を続けざまに飼う……。そのきの家族の反応は……)
あ~ あの時の とーちゃんは、、、、
流石に 言いましたよ ここまで やらないと ダメ?って
自分の両親の介護を やってくれたっていう 負い目みたいのもあったのでしょうか キツくは 言われなかったですね
三頭を眺めながら 自分に言い聞かせるかのように 「おまえは 仕事を する為に 不自由が、欲しいんだな~」って
その後は、犬に関わる出費にも、一言も文句は言わ無いが 世話はしません

ただ、犬連れでの 旅行には 積極的で とーちゃんはとーちゃんなりに 現実を楽しんでると思います
トラママ

無題
うちの子がうちに来たきっかけは、ペットショップの新聞織り込み広告です。
ブルテリアが好きで、飼ってみたい気がしていましたが、ある休日の広告に、顔写真が載っておりました。
軽い気持ちで見に行って、見たらあまりの可愛らしさにお持ち帰りしてしまいました。
飼う決断は、私よりはるかに動物好きな旦那が……
今思えば、考えられないほどの愛嬌の良さが決断の決め手でした。
ルナマリア

無題
本当に出会いは運命ですよねぇ。
ラフは、売れ残りだったのか、ダンボールにビニールが被せてあるところに入れられペットコーナーの隅っこに置かれていました。
不憫に思った主人が私に何の相談もなく買ってきました。
すでに5ヶ月に。子犬ではありません。
その頃主人は単身赴任中。
「私に相談もなくどういうつもりよ、アホ!」
と心の中でつぶやいたのでした。これも運命?
ラフmom

※記事掲載のため、文章には若干の修正が加わっています。
※修正前の原文は、上記3つのブログ記事のコメント欄にて確認可能です。

読者の『うちの子が、うちに来るまで』

出典 http://ameblo.jp

ここからは、読者の方々が書いた『うちの子が、うちに来るまで』のブログ記事のご紹介です。
それぞれの記事には、ブログのコメント欄には書ききれなかった、愛犬への愛情があふれています。

今はまだ、ほんの小さな試みだけれど

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筆者と読者が行った試みは、まだほんの小さな息吹でしかありません。
しかし、その成果は大きかったように思います。

今、筆者は確信しています。

飼主が自身が、『うちの子が、うちに来るまで』の道程をもう一度辿るだけで、愛犬はそれまで以上に愛おしい存在になると。

そしてもしも『うちの子が、うちに来るまで』を文章に落としておく事ができれば、飼主はいつでもその初心の思いに至ることができると。

更に、その文章が他者に公開されたブログや、ホームページであったとすれば、自分が気づいた幸せな思いが、他者にも共有されることになるでしょう。
きっとそれは、幸せの循環を生んでくれるのではないかと思います。

記事の最後にもう1つだけ、読者が寄せてくださったコメントをご紹介しましょう。

あんこのおかしゃんも書いてみました

ぴーちーちゃんの記事や、他の方々の記事に感化されて、あんこおかしゃんも、あんこがうちに来るまでを思い出して書いてみました。

そしたら、今までよりいっそう、あんこの事が愛おしくなり、ほかのワンたちも、心から愛おしくなりました。

あんこおかしゃん

出典 http://ameblo.jp

この記事を読まれた愛犬家の方へ

どうか『うちの子が、うちに来るまで』を思い出してみてください。
時々で構いません。
そしてできれば、その時の気持ちを、誰かに伝えてください。
なんとなく優しい気持ちになる。それだけで十分だと思います。

一匹でも多くの犬が、殺処分から救われることを祈ります。

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某大学工学部を卒業後、当時黎明期だったビデオゲーム業界に。エンジニアを希望するが、配属先は企画。結局在籍中はデザイナーとして過ごす。退職後はデザインツールの開発、CGの技術開発、TVアニメの企画など。目下の興味の中心は”犬との生活”。14歳のミニチュア・ブルテリア、ピーチーが相棒。

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