困ったときの神頼みとはよく聞く諺。当時、バツイチ独身の私は女友達と良縁祈願に行きましたが―

あれは忘れもしない今からもう20年ほど前の出来事です。その年は丁度、阪神大震災が起こり、多くの方が亡くなられた年でもありました。丁度、震災が起こった夜、私の住む岡山でも真夜中にドーンという音がして、一瞬ですが、家が凄い勢いで激しく揺れました。その数日後、私は同じ年の女友達と初詣に行く約束をしていました。高校時代以来の無二の親友で、当時、私も彼女も独身でした。私は大学卒業と同時に結婚したものの、二年後に離婚してバツイチ、友人は理想の男性を求めて見合いを繰り返していたのです。

テレビでは連日、震災地である京阪神の様子が伝えられていました。こんなときに初詣もないかな―と友人と話したものの、逆に、こういうときたからこそ、これ以上の被害がないようにとお願いしてこようという話になりました。初詣に行ったのは電車で30分くらいのところにある吉備津神社です。全国的に有名な大きな神社なので、ご存じの方もいるのではないでしょうか。

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唖然! 幼児を連れた若い母親が放ったセリフに私たちは硬直。

吉備津神社は学問の神様としても知られていますが、恋愛でも御利益があることで有名です。私たちはまずは本殿にお参りしました。丁度、五歳くらいの男の子を若い母親が連れてきていました。男の子は小さな手のひらを合わせて神妙な顔で拝んでいます。その様子に、私たちも思わず微笑みを誘われました。ところが、事件はその直後に起こりました。

「縁結びのお守りって、どんな人が買うの?」。あどけない声で訊ねた幼児に母親は―

私と友人は本殿に併設されている社務所で、お守りを物色していました。私たちは迷わすず、縁結びのお守りを手にしました。そのときです。それを眺めていた男の子が母親に「縁結びのお守りって、どんな人が買うの、お母さん」と無邪気な様子で訊いたのです。そして、母親は即答しました。「これは結婚できない女の人が買うのよ」。私は一瞬、耳を疑いました。すると、子どもは「結婚しない人が買うの?」と訊ね、母親は「結婚しないんじゃなく、できない人が買うの!」。ご丁寧に、わざわざ言い直してくれました。

そのときの母親に他意があったかどうかは判りません。ただ、私たちが恋愛お守りを買っていたのはちゃんと見ていたはずです。しかも小さな声ならともかく、辺りに響き渡るような大声でしたから、いやでも私たちには丸聞こえでした。そこまで勘ぐりたくはないですが、私たちに聞かせたくて言ったのではないか、と思えるほど大きな声でした。

あまりにもデリカシーがない発言

私たちが恋愛成就のお守りを買っていたのはしっかり見ていたのですから、私たちに彼氏が居ないというのは漠然と想像がついたことと思います。なのに、このセリフはあまりにもデリカシーがなさすぎるのではないでしょうか。先ほど、若い母親と書きましたが、まだ二十歳そこそこというのではなく、もう三十は過ぎているような年です。単に「若いから、気がつかなかった」では済まされない年齢です。

仮に私がその母親の立場であったなら、大急ぎでその子を連れて別の場所に行くでしょう。わざわざ初詣でに来てまで、見知らぬ人を傷つけたり不愉快な気持ちにさせるような言動は慎むべきだと思います。本当に小さなことではあるけれど、その女性の人柄というか考え方を見せつけられた気分でした。友人も似たようなことを感じたらしく、私たちは一瞬ちらりと顔を見合わせましたが、もちろん、その場でそれを口にしないだけの分別は持ち合わせていました。

相手の立場になって行動することが大切。

確かにその母親の言葉は真実ではあるかもしれません。なかなか良縁に恵まれないからこそ、私たちはその時、恋愛成就を心から願い、お守りを買ったのです。それは事実です。しかし、世の中にはたとえ真実であろうが、口にして良いこと、口にすべきではないことがあります。やはり、良識をわきまえた社会人、特に幼い子どもを育てる母親は、そういったことを理解するべきだと思います。何かを話すときは、必ず相手の立場になって考えてみることが必要です。例えば、あの女性にしても逆に自分が独身時代に彼氏が居ない立場であったとして、他人から「結婚できない人」と言われたら、どんな気持ちになったでしょうか。カチンときたでしょうし、けして良い気分ではないでしょう。物事というのは自分側だけでなく、相手側、相手の立場になって考えてみることが大切だと痛感させられた出来事でした。

自分はたいしたことは言っていないと思っても、その言葉を突きつけた相手の心を知らずに大きく傷つけることもあるのですね。あれから月日が経った今も、初詣というと何故か思い出す一瞬の出来事です。

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フリーライター。ウェブ小説を書いています。2013年、「歴史浪漫文学賞」において最終選考通過。入賞候補作品「雪中花~とりかえばや異聞」書籍化。洋の東西を問わず、歴史が大好き。自称【歴女】です。韓流時代劇に夢中。そのほかにも美容・天然石アクセサリー作りなどに興味があります。
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