おたまじゃくしのうんどうかい

運動会を前に、先生が「おたまじゃくしのうんどうかい」という本をみんなに読んでくれたそうです。

名前は、「タマ」です。赤ちゃんの時にザリガニにしっぽを切られてしまいました。がんばって泳いでも、しっぽが半分しかないので、みんなの半分のスピードも出ないそうです。さて、「オタマ学校」ですから、お勉強があります。音楽があったり、図工があったり、体育があったりします。

その体育の時間です。明日行われる運動会の練習でした。みんなで「ヨーイ、ドン」泳ぎ始めました。

タマだけ、遅いですねえ。

みんながゴールした後も、タマだけまだ泳いでいます。大きく遅れたタマを見て、みんなで応援したそうです。
「おーい、はやくこいよー。」
しかし、まだまだ遠くを泳いでいます。

そのうち、一匹のオタマジャクシがこんなことを言いました。 「みんな、わたしたち、がんばれって言うだけでいいのかしら。」「どういうこと?」

お話の中のオタマジャクシたちは集まって考えました。

「しっぽが半分なんだから、半分の長さだけ泳げばいいんだよ。・・・・これで、平等でしょ。」

出典 http://www.tos-land.net

みんなで手を繋いで仲良くゴールする

偏差値教育などと言われた競争社会から、ゆとり教育を経て、今日本の教育は大きく揺り戻しの時を迎えています。
差を付けない、みんな一緒、みんな仲良しが良しとしたその時代には、
No.1にならなくていい、という歌がNo.1になりました

さすがに100m競争でみんなで手を繋いでゴールするような学校は恐らく本当にはなかったのだろうとは思いますが、そんなことが「まことしやかに」語られた時代があったことだけは確かでしょう。

それじゃいけないと揺り戻し、ゆとり脱却をはかる日本ですが、その先にはまた他人のことなんて構わない歪んだ競走社会に振れ過ぎてしまわないとも限りません。適当なところで「バランスする」なんていう芸当は、人には難しいのです。

そして、タマちゃんはどうしたの?

さあ、運動会の日がやってきました。水の中では、お魚たちが見学しています。岸辺では、おかあさんガエル、おとうさんガエルたちも集まり、応援しています。
タニシのひいたスタートラインに並びました。でも、タマだけは、いません。みんなの言うことを聞いて、コースの真ん中の5mのところに、ぽつんとひとりぼっちでいます。

出典 http://www.tos-land.net

みんなよりも前からスタートすることになったタマちゃんは、ピストルの合図があってもスタートを切りませんでした。
タマちゃんは、みんながタマちゃんのところに来るのを待って、それから泳ぎ始めたのです。

車いすの娘の考え

生来の病(骨形成不全症)が元で車いすの娘の運動会。
徒競走はいつもみんなよりも前からスタートしました。それでもいつもビリばかりでした。

それがある年、思ったよりも早く走れたのか、それとも距離を短くし過ぎたのかはわかりませんが、娘が1着でゴールしたことがありました。
みんながどう思ったかは知りませんが、少なくとも私は嬉しかった。そして娘も初めて帽子に貼ってもらった「1位」のシールをとても大事そうに、そして誇らしそうにしていたのをおぼえています。

この「おたまじゃくしのうんどうかい」を読んでくれた先生は、もしかしたら「みんなと同じところからスタートしてみないか」とおっしゃりたかったのかも知れません。

でも娘は「私は嫌だな。だって、勝ちたいもん」と言いました。先生のお考えも多分分かっていたんじゃないかと思いますが、それとこれとは別なんだと。何でもいいから3位までに入れれば紅組の得点になる。「私は、勝ちにこだわる」と徹底的に紅組の勝利にこだわっていたのでした。

運動会に真剣なんだな、と思いました。私が娘の1位が嬉しかった話とはまったく違うとことを彼女は考えていたようです。

いろいろな考えがあります。
タマのようにみんなと同じところからスタートしたい子も、娘の様にハンデ戦でもいいから勝ちたいと思う子も、もしかしたらもっと別の考えの子もいるかも知れません。

多分、正解なんてないのでしょう。だから先生は考えを押し付けたりしませんでした。
そしてその年の運動会もいつも通り娘はみんなよりも前からスタートしました。

次の引用はその時の運動会の様子を私のブログから引用します。
当時のまだ記憶に新しい時の記録でこの話をまとめたいと思います。

娘のことを「ほっきょ」と書いていますのでそのように読んでください。

今年の徒競走。

みんなと同じ位置からスタートするか
いつも通り半分くらいの距離にして、
みんなと勝負出来るようにするか
当たり前になっていたことに、
小さなさざ波が立つ。

一学期。
担任の先生は、
尻尾の短いおたまじゃくしの話を、
学級便りに連載した。

尻尾が短いので、
みんなと同じ速さでは泳げない、
おたまじゃくし。
運動会の競争では、
みんなの考えで、
前からスタートすることになった。
でも彼は、
みんながスタートをしても泳ぎ出さず、
みんなが同じ位置に来たところから、
スタートした。

ほっきょは、
私は頑張ったら勝てるかも知れない、
前からスタートしたい、と言う。

先生の本意は聞いていない。
もしかしたらほっきょにも、
みんなと同じ位置からのスタートを、
望んだのかもしれない。
違うのかもしれない。

ただ、
これを読んだ子供たちの多くは、
おたまじゃくしではなく、
ほっきょのことを思っただろう。
そして、
どうしたらいいのだろうと、
考えたことだろう。


結局、今回もいつも通り、
みんなより短い距離を走ることになった。
予行ではスタートが遅れて、
ドンケツだったと言うので、
今度はしっかりスタートするだろう、
そう思って見ていた。

80m。
その半分くらいの位置に、
ほっきょがいる。

Bamp

号砲にみんなが走り出す。
後ろを向いてそれを見ていたのに、
ほっきょは、
走り出さなかった。

みんなはどんどん近づいてくる。

ほんの一秒位のこと。
しかしとても長い時間に感じた。

ほっきょがやっと動き出す。
みんなの足音が大きくなる。

そこからだ。
ほっきょの腕が車イスの車輪を、
速く、強くこぎだした。

体を前傾して、
みんなと横一線になって、
全力で車をこいだ。

それはほんの一瞬のこと。
誰も気づかない一瞬のこと。

何故、
そんなスタートをしたのか、
はっきりしたほっきょの思いは、
わからない。

やっぱりドンケツのゴールイン。
けれども、
笑顔のほっきょがそこにいた。

出典 http://ameblo.jp

八木原小学校の校庭は、
とても水捌けがいい。
嵐のような雨が通りすぎても、
翌朝に水が浮いているようなことは、
滅多にない。

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心にいつも熱い想いが詰まっている「夢多きアラフィフ」です。子育ても給料を運ぶ以外はほぼお役ご免になりましたので、これからの自分はどう生きるかを模索しながら、第二の青春を生きています。『アオハルはいつも間違える』ので、記事には誤字脱字のなりように気をつけます(^^;;

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