記事提供:まだ東京で消耗してるの?

これすごくいい本でした。発達障害を理解する教科書的な作品としてぜひ。

発達障害をコミカルに理解する

聴覚障害の彼氏と、広汎性発達障害の彼女、二人の毎日は大騒ぎ!発達障害の彼女との日常やさまざまなトラブルを彼氏からの目線で描いた、笑いあり涙なしのコミックエッセイ。彼女から見た「発達障害者から見た日常のイメージ」マンガは目から鱗の内容。

出典 http://www.amazon.co.jp

ボクの彼女は発達障害」は、発達障害の彼女と聴覚障害の主人公を描いたコミックエッセイ。主に描かれているのは彼女の方で、発達障害の人々が直面する困難が丁寧かつコミカルに描かれています。

会話がドッジボール。

発達障害って何?:人間には脳レベルで苦手なことがある

その前に、発達障害とは一体「どんな障害」なのでしょう。本書ではこんな風に説明されています。

発達障害には、文字を読むことが困難なディスレクシア、計算が苦手なディカリキュリアなどのLD(学習障害)、不注意・多動・衝動性で定義されるADHD(注意欠陥多動性障害)、そして社会性、コミュニケーション、想像力に困難性を抱えるASD(自閉症スペクトラム障害)があります。

その中で、本書のあおさんは、ASDに該当すると思われます。

出典 http://www.amazon.co.jp

とまぁ、読んでもよくわからないと思います。

発達障害は、かなり「わかりにくい」障害で、障害を持っている本人すら気がつかないこともあるくらいです。「あお」さんがそうであったように、ぼんやりと自覚があっても、診断を受けずに生活している人も数多くいます。

ライトに定義すれば、「普通の人とは、脳の認識メカニズムがちょっと違う」という状況が、「発達障害」だといっていいのではないかと思います。

もうちょっと詳しく語ると…

人はそれぞれ、実は脳の認知能力や傾向に違いがあります。たとえばぼくは、人の顔を認識するのが苦手で、何度会っても人の顔が覚えられません(いわゆる相貌失認の傾向)。ぼくは軽度なので「障害」とまではいかないのですが、これがちょっと傾向が強いと「発達障害」になっていると思います。

こんな感じで、大なり小なり人には「脳レベルで苦手なこと」があるわけです

もちろんこれは生まれ持った素養なので、後天的なトレーニングによって「人の顔の認識が超得意になる」ということはありません。薬や手術で、脳の認知機能をいじることができれば別なんでしょうけれど…。

あいまいな表現がわからない

あおさんは、様々な「脳レベルの苦手」をお持ちです。たとえばこちら。

レシピ本を開くと、「少々」や「適当に焦げ目がついたら」などという言葉が並んでいます。普通なら、「だいたいこのくらいかな~」と想像してレシピを見ながら調整することが可能です。

しかし、あおはその「少々」や「適当」という言葉を目にした時点で、「わけわかんない」と混乱してしまうのです。

「大さじ三杯」や「計量カップで何ml計って」というのはなんとかなるのですが、「少々」などあいまいな言葉があると、途端に理解できなくなるのです。

発達障害者でも理解しやすいレシピ本ってないでしょうか…。

出典 http://www.amazon.co.jp

これは「発達障害あるある」といっても過言ではないでしょう。教育現場においても、こういうお子さんがいらっしゃって困惑する、みたいな話を聞きます。

指示を端的に出せば伝わるんですが、「こんな感じで!」とか曖昧に伝えてしまうと、手を動かしてくれないんですよね。

聴覚過敏

いつものように、街中の騒々しさを避けて、午後三時ごろに近所のファミリーレストランに入ったときのことです。

ボクもあおも“〝子どもの声〟”が苦手です。特に赤ちゃんの泣き声を聞くと頭が痛くなってしまうのです。これは子どもが嫌いというわけではなく、純粋に物理的に苦手という話なのですが。

そのため、ファミリーレストランに行く場合は、いつもあまりファミリー客のいない時間帯を狙います。

しかし、その日はたまたまファミリー客が多く、満席でした。店員から「申し訳ありませんが、お名前を書いてお待ちください」と言われ、店内はかなりざわざわしていましたが、別の店に行くのも面倒なので待合席に座って待っていました。

しばらく待っていたところ、ひときわ大きい子どもの泣き声と、それを叱る親の大声が店内に響き渡りました。 「これはマズい!」と思って、あおの様子を見ようとした瞬間…あおはボクの腕に全力でかみつきました。

出典 http://www.amazon.co.jp

発達障害の方のなかには、聴覚を始めとする刺激に弱い方がいらっしゃいます。

ぼくの知人にギフテッドの方がいるんですが、彼も「騒々しい街中はきつい」と漏らしていました。あおさんはノイズキャンセリングヘッドホンを使って、生活の苦労を軽減しているとのこと。

相貌失認(人の顔を認識できない)

あおは、人の顔の認識が苦手です。

本来、人間は他人の容貌を見分ける能力が大変高いそうです。ですから、人の顔は一人ひとり完全に違うということを認識できると、何かの本で読みました。

しかし、どういうわけか、あおはその能力が発達していないんですね。では、どうやって人を見分けているかというと、身長や服装や髪形、身に着けているアクセサリーなどになります。

出典 http://www.amazon.co.jp

程度の差はありますが、ぼくも似たような感じなので、すごくよくわかります。本当に、全然人の顔を覚えられないんですよねぇ。

3回は合わないとダメです。下手すると5回会っても覚えてません。忘れているわけではないので、何かシグナルをいただければ「あのときのあの人か!」と思い出せるんですが、「顔」だけだと思い出せないんです。

相貌失認を伴う発達障害の方は、コミュニケーションが苦手になる傾向がある、と何かの本で読みました。人の顔を覚えられないわけですから、そりゃまぁ、人との交流も縁遠くなりがちですよね。

皆さんの周囲でも相貌失認の方はいらっしゃると思うので、ちょっと配慮してコミュニケーションをしてみてください。

診断を受けてよかったこと

この本を手にした読者のなかには「あれ?これ、私も発達障害かも…」と思い至る人がいると思われます。そういう場合は、一度診断を受けてみるのも選択肢のひとつです。あおさんの場合は、大人になってから診断を受けて、いい影響があったとのこと。

あおが診断を受けて、ボクから見て最もうれしかったことは、「できないことはできないと納得できた」「努力不足だということではない」ということを自覚したことです。

診断を受ける前は、「自分はどうしてこんなに何もできない人間なんだろう」と悩み、死にたいと思うことも多かったらしいのですが、「ああ、発達障害があるからまわりの人と比べなくてもいいんだ」と自分に対して優しくなれたということも含みます。

あおは、診断を受けての感想をこう語っています。

「診断を受けて気づいたのは、そもそもの生きるということに対するスタート地点が定型発達の人と違うってこと。もともとの脳の作りが違うんだから、もう、どうしようもないことはどうしようもないんだって。

これまでは自分の努力不足だと思っていたのが、そうでないとわかった解放感もあったかな。これまでは努力不足だから自分はダメなんだとずっと思い込んでたんだけど、『普通でなくていいんだ』と思えたとき、すごくすっきりした感じがしたよ

出典 http://www.amazon.co.jp

「発達障害」を理解するための良著

最後のひとことがとても素敵だったので、ご紹介。

もっともっと「頑張らない人生」を目指して、二人で突き進んでいきます。その先になにがあるかわかりませんが、そう悪いものではないことを信じて

出典 http://www.amazon.co.jp

ただ、書中に紹介されている話は、あくまで「発達障害の一例」です。人によって特性は大きく異なり、たとえばひとくちに「自閉症」といっても一概に状態を形容することはできません。

この本をヒントにしつつ、周囲にもいらっしゃるであろう発達障害の方とのコミュニケーションに役立ててくださいませ。

発達障害をコミカルに理解する

追記:受信しました。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス