【会社】は【社会】なのか?ならば…

出典 http://www.gettyimages.co.jp

学校を卒業して企業などに勤務をすることを、一般に「社会に出る」と言うが、筆者はこの感覚に違和感があった。
 
教師が上司に代わり、昼間やってることが金になる。こんな楽なことを指す事に「学生と違って社会人は大変だぞ」と筆者より長く生きた多くの人は偉そうに筆者に言っていた。
 
違和感のそもそもは「会社」は「社会」か?というところだ。ならば学校も「社会」だろうし、家も「社会」であるはずだ。そして、地域などは会社どころの規模ではない大きな「社会」だ。

筆者は中学校の時から「洋楽バー」を経営するという夢を持って生きてきたから、自分が夢を叶え起業して、会社を通した誰かのお手柄が原資の給与ではなく、世の中から直接自分の力でお金を貰う事こそが「社会」なんだと信じていた。

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そんな筆者も起業前は古本屋、レンタカー会社、不動産販売会社、タクシー運転手、コンビニエンスストア、英会話学校、球場売り子、貸しレコード店、レンタルビデオ店、車輛回送業、ファミレス調理場、貸切バス運転手、バーテンダー、引っ越しドライバー、プロパンガス屋、建築設計事務所、建設現場雑工等あらゆる会社に勤務して仕事を頂いた。

徐々に会社で働くということについて、自分を殺して他人の看板で商売する、若しくは経営者の手伝いに過ぎないと考えるようになり、何をやっても仮の立場のような気がして、非常に気持ち悪くなるようになった。

ただ沢山転職をしていたこの頃から、将来独立したら、お客の大半が会社員だろうと思うようになり、会社というところが如何に理不尽であるかネタとして吸収しておこうという妙な好奇心みたいなものが芽生えていた。

確かに今やってる自営業のように収入が不安定ということも無く、多少休んでも有給、時間が超過すれば手当だの、人に身売りしているから与えられるメリットは有り難く受けていたと思う。

筆者は、本当に社会に出るということは自分で稼ぐという意味だと思っているから、副業や一寸した商売を会社員時代もやっていた。筆者が会社と言うブランド無しで、「社会」からどの程度お金を持ってこられるかに興味もあったし、本当の「社会」に一歩踏み出す練習にもなった。勿論開業資金が必要だったこともある。

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筆者が今まで勤務した仕事の中で一番「社会」だったのは恐らくタクシー運転手の仕事であったであろう。
 
タクシーは基本的に完全歩合制で、やった分だけお金で評価を貰う仕事、会社のブランド力も一部の大手以外はさほど関係も無く、運転手個人が商売をする感覚がある。自営業として独立する直前にやった仕事だったので、実感として凄く勉強になった。「世の中から直接お金を貰う…これだ!」という感覚を養うのに役に立った。

運良く筆者は頻繁にチップを貰ったが、それは「社会」が筆者の仕事を直接評価しているということ。有り難く頂き、2年半の在職中に約30万になった、その全ては1円も逃さず毎日郵便局に貯金し、今筆者の店のカウンターになった。それからタクシー運転中に各繁華街を見ていく中で、夜間の治安や客層等の判断も付き、お店の出店場所を以前会社勤めもした事のある新橋周辺にしようと決めた。

起業というと大袈裟に考える人も多いが、何てことは無い。ただ単に自分の名前だけで戦うか否かということだ。それを追求すれば自ずと自営業になってしまう。そんな感覚すらある。

逆に言うともしかしたら会社員も「給与→ギャラ」、「天引き→支払い」、「会社→取引先」…等と考えれば、会社とは一歩独立した考えを持てて、正に社会人的な視点で活動が出来るかもしれない。

少なくとも筆者はそう考えていた。その考え方は独立後に非常に役に立った。
 
筆者は会社勤務を結局実質11年もやってしまった。今思うとここが痛い。やる気はあったが、一歩踏み込む勇気が無く、「お金が貯まったら…」、「落ち着いたら…」と…なんだか言い訳ばかりしていた気がする。それでは僕の目指す本当の「社会人」にはなれない。 物事をやらない人は、「やらない理由」を挙げる天才だと言われるが、正にそれになりかけていた…。

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30歳になってしまった…何とか自分を奮い立たせるために、筆者は未だ見ぬ自分の店の名刺を作った。

そこには「開店準備室長」という肩書きと自分の名前・住所を入れた。とにかく配った。

これで、後戻りは出来なくなり、その後半年くらいで一気に開業となった。不動産巡りも、バーテンダー講座も、店舗工事も、全てタクシーの休憩時間を使って済ませた。そして、昨日までタクシーの運転手だった僕が、今日からマスターと呼ばれる日を迎えた。

本当の「社会人」になった瞬間だった…。


最後までお読み頂き有り難う御座います。

この記事を書いたユーザー

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東京都大田区大森生まれ。立正大学附属立正高等学校、尚美学園短期大学音楽ビジネス学科、放送大学教養学部生活福祉専攻卒業。STAY UP LATEオーナー。 ライター業と、セミナー講師、司会業も実質少々。江戸川区在住、一児の父。愛猫家。

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