記事提供:カラパイア

RPGで定番の致命的な状態異常と言えばそう、石化だ。敵に石化の技をかけられたら最後、HPが残っているにもかかわらず動くことができず、自動回復もせず、石化中は完全に戦闘不能となり、ただそこにあるだけの存在となってしまう。

だがそんな恐ろしい世界はゲームの中だけではなかったようだ。イギリス、ノース・ヨークシャー付近を流れるニド川のほとりには、何もかもを石に変えてしまう不思議な泉がある。

泉から滴り落ちる水に触れた物は、それが木の葉、枝、鳥の死骸であっても、何もかもが数ヶ月で石に変わってしまうのだ。

出典 YouTube

近くに住む民は昔からここが悪魔に呪われた場所だと信じてきた。あろうことか、泉の両脇は巨大な髑髏に似ている。住人は誤って水に触れてしまえば、自分も石に変わってしまうという恐怖とともに生きてきた。

だが、物好きな人はいるものだ。一部の人は、ただ石に変わっていくその様子を観察するためだけに、毎日滝の側に物を置いてきた。

硬い石に変わってしまった1800年代のシルクハットや婦人のボンネットのように、その名残は今でも目にすることができる。また、最近では可愛らしいテディベアやヤカン、さらには自転車が置き去りにされ、同じく石化している。

かつては奇跡をもたらす癒しの泉だった

歴史的にみると、かつてこの泉は「癒しの泉」だったようだ。これについて初めて言及したのは、イングランド王ヘンリー8世の古物商であったジョン・レイランドだ。

1538年、彼は癒しの奇跡をもたらす泉について記述している。その水を浴びた大勢の人々が、様々な病気から回復したというのだ。

1600年代初頭には、ある医師が水を検査し、身体のあらゆる場所に驚くべき効果があると結論した。だが、物がゆっくりと石化する現象が目撃され始めると、そうした評判も地に堕ちた。

評判が地に堕ちたのにはもう一つ理由がある。泉付近の洞窟である売春婦がマザー・シップトンを出産したことだ。彼女は生まれつき醜く、その酷さは住民が父親は悪魔だと信じるほどだった。

しかも、成長するにつれて不思議な力を発揮するようになったらしい。言い伝えによれば彼女は、1666年のロンドン大火、1588年のアルマダの海戦での無敵艦隊の敗北、さらには携帯電話の発明まで予言したという。

1630年、泉がある王室所有の森林の一部が、チャールズ1世によってチャールズ・スリングスビー卿という地元の名士に売られた。

そのころには、この泉は大きな人気を博すようになっており、彼は観光客のガイドによって利益を上げることができた。そして図らずも、イギリス初の観光スポットが誕生した。

泉の水には驚くほどのミネラル成分が

やがて科学者も不思議な石化泉の調査に乗り出し、その伝説を暴き始める。その結果、泉の水には大量のミネラルが含まれており、これが物の表面を覆うことが判明した。長期間、水に曝されると、その表面に硬い鉱物の殻が形成される。

これは、鍾乳石や石筍が形成するのとほぼ同じ仕組みだが、そのスピードははるかに速い。水に含まれた方解石の濃度は非常に高く、観光客が飲まないように注意されるほどだ。

今日、この石化泉を訪れた観光客は、その周囲に吊り下げられ、滴り落ちる水でゆっくりと石化してゆく物によって迎えられる。小さなテディベアが定期的に置かれ、石化が完了したものは、近所の土産物屋で販売までされている。

滝の下には石のテディベアが、服、シルクハット、靴、トレーナー、さらには傘までがぶら下がっている。

小さなテディベアなら3~5ヶ月、水の浸透する大きなものなら6~12ヶ月、シルクハットや消防士のヘルメットのような水が浸透しないものならば、18ヶ月もあれば石に包まれるという。

出典:neatorama
出典:amusingplanet

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