8/16に池袋で起きた自動車の暴走事故。
この事故を起こした運転手はてんかんを患っていることが明らかになっています。

東京都豊島区東池袋のJR池袋駅近くで歩道に乗用車が乗り上げ、歩行者5人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で逮捕された北区の医師、金子庄一郎容疑者(53)にてんかんの持病があったことが18日、警視庁池袋署への取材で分かった。
同署は同日、容疑を危険運転致死傷に切り替え、金子容疑者を送検。金子容疑者は「持病はない」と供述しており、同署は運転免許取得・更新時にてんかんの症状を隠した道交法違反(運転免許不正取得)の可能性もあるとみて調べる。

出典 http://www.sankei.com

ここで出てきたてんかん。
名前は知ってるけど、どんな病気なのでしょう?

てんかんとはどんな病気?

名前は聞いたことあるけどてんかんの症状について詳しく話せる人はあまりいないと思います。

てんかんとはどんな病気なのでしょう?

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万~100万人)と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです

出典 http://www.mhlw.go.jp

誰でもかかる可能性がある病気であるのは知ってる人は多いでしょう。
どういった発作を起こすのか?
厚生労働省によりますと

「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。
しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。

出典 http://www.mhlw.go.jp

一過性の発作が多く、発作が収まれば元に戻ります。

てんかんとは?

上述した中で出てくる「てんかん発作」。発作はわかるがそもそも「てんかん」とはなんでしょう?
これも厚生労働省によりますと、

脳の神経細胞(ニューロン)は、その数は数百億ともいわれますが、基本的に電気的活動を行っているため、強い電気刺激により異常で過剰な電気活動(電気発射)を起こす性質があります。
「てんかん発作」は、このニューロンの電気発射が外部からの刺激なしに自発的に起こる現象を指し、また「てんかん」は、この「てんかん発作」をくりかえし起こすことを特徴とする病気です。

出典 http://www.mhlw.go.jp

脳の電気的活動が何かしらの原因で過剰に行われることを「てんかん」になりますが、その原因は?

てんかんは、原因が不明な「特発性てんかん」と、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病など原因が明らかな「症候性てんかん」に分けられ、前者が全体の約6割、後者が残りの約4割を占めるとされます。
前者が全体の約6割、後者が残りの約4割を占めるとされます。乳幼児から、小児、学童、思春期、成人、高齢者のいずれの年齢層でも発症しますが、特に小児と高齢者で発症率が高いといわれています。

出典 http://www.mhlw.go.jp

原因不明なてんかんと原因が明らかなてんかんと二種類あります。
原因がわかっている「症候性てんかん」は脳の別の病気や外傷によって発症しますが、「特発性てんかん」に関しては原因不明です。

しかし

異常な電気現象を起こす原因はまだ良く解っていませんが、現在世界中で熱心に研究されており、その原因が解明されることも近い将来と思います。

出典 http://www.neurology-jp.org

現在でも世界中で研究されています。

てんかんが認知されたのは?

てんかんはご存じの方が多いように古くから認知されてた病気です。いつ頃かといいますと、

この病気は紀元前から知られており、神聖病とも呼ばれていました。神がかり的な病気とも信じられ、そのため最近まで多くの誤解や偏見があったことも事実です。

てんかんは歴史的に古い病気であるため、その分類は時代により多くの変遷を重ねごく最近もてんかんの新しい国際分類が提唱されました。

出典 http://www.neurology-jp.org

紀元前から知られていた病気で学界では多くの分類がされています。

1.強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作
 全身の痙攣、あるいは脱力などが突然起こることが特徴です。そのうち強直発作はいきなり四肢、頚部、体幹などの筋のつっぱりあるいはこわばりが起こり、このため身体がねじれると同時に意識消失がみられます。間代発作と呼ばれるものも手足が突然に屈曲伸展してガタガタとふるわせる痙攣発作です。

出典 http://www.neurology-jp.org

これは筆者も知っていますし、この発作をご存知の方も多いでしょう。

2.欠神(けっしん)発作
 子供に多い型で、5~15秒の短い意識消失発作が起こり、そのあいだ患者さんは今までしていた動作を一時的に止めてじっとしており、再びもとの動作にもどります。あまり短いと周囲の人も気づかないことがあり、また学校での授業中ボーとしていると指摘され、不真面目な児童と誤解されることもありますので注意が必要です。

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筆者は見たことはありませんが、これはお子さんのいる家庭で経験のある人がいるのではないでしょうか?
意識をなくす時間が短いと本人にも自覚がないかもしれません。

3.ミオクローヌス発作
 顔面、四肢、体幹などの筋肉に短時間のピクッとした痙攣が起こる型です。脱力発作は頭部、体幹、四肢などの姿勢を保つのに必要な筋肉の脱力が短時間発作的に起こり、そのため患者さんは尻もちをついたり、ガクッと頭を前にたれたりし、同時に瞬間的な意識消失を伴うものです。

出典 http://www.neurology-jp.org

これも判断が難しそうな症状です。

4.部分てんかん
 意識障害の伴う型と伴わない型があります。痙攣などの運動が身体の一部にみられ、しばしばそれが他の部位に連続的に広がっていく運動性の発作は、口周などに痙攣が始まることが多く、手足→口周→同じがわの身半分→全身などにひろがり、全身に痙攣が及んだところで意識を失うのが一般的です。

また身体の一部に起こった異常感覚がほかにひろがる感覚性の発作もあり、腹痛、下痢などの自律神経症状が発作的にみられるようなものもあります。

出典 http://www.neurology-jp.org

これは前者はわかりやすいですが、後者は判断が難しいです。お腹が緩い人は普通にいます。
筆者もお腹が緩い方なのでもしかしたら?と疑ってしまいます。

5.特殊なてんかん
 乳児や小児の患者さんにみられることが多く、点頭(てんとう)てんかんと呼ばれるものは、急に頭を前に倒し、下肢を伸ばし、上肢を上方にあげ、胴体を曲げる、いわゆる礼拝に似た動作がみられる発作を起こします。精神的および運動の発達障害がみられることが多く、また原因として全身の病気が関与し、特殊な治療が必要なこともあります。

レノックス症候群と呼ばれるものは、2~4歳の幼児に多く小発作としての脱力発作やミオクローヌスを伴った欠神発作が頻発するもので、精神や運動の発達障害があり広範な脳障害によって起こるとされています。脳波が特徴的な異常を示すため診断は比較的容易です。

反射性てんかんは、光音、音楽、触覚などさまざまな感覚刺激、あるいは自分の運動、条件反射などにより誘発されるてんかんです。数年前にテレビ番組のポケモンを見て、多くの子供さんに痙攣が起こり話題になりましたが、このてんかんと考えられています。

出典 http://www.neurology-jp.org

今、テレビを見ると「テレビを見る時は明るいところで離れて見て下さい」というテロップやアニメではキャラクターが注意を呼びかけてるのはポケモン事故と言われるてんかん発作が多数起きたからです。

大まかでもこれだけ種類があって上述したように約100万人がこのてんかんを患っていますので決して人ごとではない病気です。

特に子どもが患うと

てんかん発作が押えられず、慢性化すると、脳の機能が障害されます。特に小児のてんかんは脳の発達に重大な影響を及ぼし、1/3の患者に精神・発育・学習の遅れが生じ、重度の場合には脳機能が荒廃します。

成人でも記憶障害、認知障害、精神障害、運動障害といった神経症状を伴うことがあり、発作のみならずこれらの脳機能障害のため、就労に支障をきたすことが問題となっています。

出典 http://square.umin.ac.jp

こうした症状を起こしてしまいますので甘く見ることができない病気なのです。

治療法は?

古くから認知されている病気ですので治療法はある程度確率されています。
治療法は主に二つです。

てんかん治療の原則は抗てんかん薬による薬物治療です。てんかんの発作型あるいは病態に応じた薬があり、正しい診断に基づいた最適な抗てんかん薬によって治療を受けるべきです。
しかし、薬物治療を尽くしてもてんかん発作がつづくとき「難治てんかん」と診断されます。一般的には3種類以上の抗てんかん薬を試みた後も発作が持続する場合とされます。てんかん患者の60%は薬物治療で発作が消失し、20%程度は発作が1/4以下に減少します。

出典 http://square.umin.ac.jp

主に薬を飲む治療方法です。約60%の患者が発作が消えるそうです。
最近では薬物治療が効かない難治てんかんというのもあるそうで、こちらの治療法は

近年、脳磁図(MEG)や頭蓋内電極法など診断法や外科手技の進歩により、外科治療の効果と安全性が向上し、有力なてんかん治療手段として認識されつつあります。

手術が勧められるかどうかは、単に手術によっててんかん発作が抑えられるかどうかだけでなく、手術による脳機能障害や合併症、手術しない場合の予想される経過、薬の副作用、さらに患者さんがおかれている社会的背景など総合的に判断し、手術治療の利益が薬物治療あるいは手術の合併症の不利益を上回ることが予想される場合に限られます。

正しい診断のもと行われた手術成績は非常に優れており、おおむね70%の患者で発作が消失あるいは激減します。

出典 http://square.umin.ac.jp

これはあくまでも薬物治療が効かない場合や医師との相談などによって行われるそうです。
原則は薬物治療であるというのはお忘れなきようお願いします。

免許は取れるの?

予測もなく発作が起きる病気のてんかん。てんかんの人は免許を取れます。以前は取れなかったそうですが、2002年に法改正されてからは免許を取って車の運転ができるようになりました。
それにはこうした条件があります。

1.発作が過去5年間以内に起こったことがなく、医師が「今後発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
2.運転に支障をきたす発作が過去2年間以内に起こったことがなく、医師が「今後、x年程度であれば、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
3.医師が、1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合(ただし上記2の発作が過去2年間以内に起こったことがないのが前提)
4.医師が2年間経過観察をした後「発作が睡眠中に限って起こっており、今後症状悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合

出典 http://epilepsy-info.jp

簡単に言いますと「二年間運転に支障をきたす発作がないこと」。
これが条件で薬の服用等は関係ないそうです。

更新の時にも申告が必要で、

1.免許申請に際して、てんかんの病気があることを申告する
2.主治医に診断書(公安委員会指定)を書いてもらう
3.診断書を公安委員会に提出して取得する

出典 http://epilepsy-info.jp

更新の時に上記の申告と診断書の提出が必要です。そして、日本てんかん協会ではこうした呼びかけを行っています。

■ てんかんのある人は、大型免許と第2種免許の取得は控えてください。
※運転を主たる職業とする仕事も、お勧めできません。
※5年以上発作がコントロールされていて服薬も終えている場合に運転適正があります(日本てんかん学会)
■ 病状が安定し運転免許の取得(更新)を考えるときは主治医に相談しましょう。
■ 運転免許の取得(更新)の際には、病状を正しく申告しましょう。
■ 体調不良や抗てんかん薬を飲み忘れた時などには、運転を控えましょう。
■ 運転に支障が生じる状態になった時には、運転適性相談窓口(運転免許センターなど)に相談をしましょう。

出典 http://www.jea-net.jp

こうした呼びかけを行ったりしているのはてんかんが原因で事故が相次いだからです。

平成23年4月、栃木県鹿沼市で、てんかん発作を起こした男のクレーン車が小学生の集団をはねて6人を死亡させた事故だ。翌24年4月には京都・祇園で、軽乗用車を運転中の男がてんかん発作を起こして暴走し、歩行者19人が死傷する事故が発生。

出典 http://www.sankei.com

これらの事故を受けて規制が強化されました。

平成26年5月には、てんかんなどの病気で正常に運転できない可能性のある状態で運転した場合に危険運転致死傷罪を適用する自動車運転処罰法が施行。同年6月には、てんかんなどの病気の申告を罰則(1年以下の懲役か30万円以下の罰金)付きで義務付ける改正道交法も施行された。

出典 http://www.sankei.com

しかし、規制強化後にも事故は起きてます。

今年3月にも大阪府内でてんかん患者の車が歩行者3人を死傷させる事故が起きるなど、規制強化後も事故は相次いでいる。

出典 http://www.sankei.com

こうした事故の原因で多いのは治療を怠ったり、更新の時に申告を怠ったりすることで起きることが多いそうです。今回の池袋の事故でも同じように

金子庄一郎容疑者(53)が、運転免許更新時に発作などはないと病状の申告をしていたことが20日、警視庁への取材で分かった。金子容疑者はてんかんの持病があったが、「これまで運転中に意識を失ったことはなかったと思う」と供述。警視庁は事故時の状況などを慎重に調べる。

 警視庁によると、金子容疑者は平成25年12月に免許を更新。その際に記入する病状などの申告欄に、「意識を失ったことがある」「発作的にけいれんやまひを起こしたことがある」などの項目にはチェックを入れず、「どれにも該当しない」を選んでいた。

出典 http://www.sankei.com

その後の捜査で運転手である容疑者は免許更新の時に申告をしてなかったことも昨日明らかになりました。

申告や治療を怠ったことで不幸な事故が起きてしまったのです。

不幸な事故をなくすには?

てんかんの発作が原因で不幸な事故が起きることが相次ぐと国としては昨年改正したように規制を強化しなくてはならなくなり、てんかんの患者は2002年以前は運転免許を取得できませんでしたがそこまで考えなくてはいけなくなるかもしれません。

では、運転免許を取得できないようにすればいいのか?それは簡単ですが、筆者は解決策ではないような気がします。

その前にてんかんに関してこうした話があったことからご紹介します。

一九九三年九月、人気作家であった筒井康隆氏は作家活動をやめるとして、「断筆宣言」をし現在に至っている。ことの起こりは、同年七月八日、日本てんかん協会が角川書店発行の『高校国語Ⅰ』に収録されている筒井作「無人警察」がてんかんに対する差別を助長するとして削除を要求したことに端を発する。

筒井氏が著名なSF作家であったことやその筒井氏が断筆に至ったこともあり、この事件は新聞や雑誌でたびたびとりあげられ、さらにこの事件を扱った単行本も数種刊行されるなど、差別と表現をめぐる問題としては『ちびくろサンボ』絶版以来の多くの人を巻き込んだ論争になっている

出典 http://www.cc.kyoto-su.ac.jp

人気作家だった筒井康隆さんの作品が差別表現に当たるとして、日本てんかん協会が削除要請をしたことで大きな論争を呼び、筒井康隆さんが断筆宣言をして以降てんかんに関しては公の場で触れるのはタブーといった雰囲気が出てきました。

しかし、てんかんに関しての理解が進んだのかいえば進んでないというのが筆者の実感ですし、筆者も詳しくはありませんが、この事故を機会に改めて知っておきましょう。

タブーにして隠すことよりも知ってもらい、患者本人も周りも互いに気遣いできるようになることが理想だと思います。

先ずはてんかんという病気を我々が正しく知ること。ここからはじまると思います。
隠すことは一時的には解決しても長期的に見ればマイナスです。

この記事が「知ること」の一助を担えれば幸いです。

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政治・経済、思想・哲学、文学を学びつつ地元を中心にラーメンを食べ歩くフリーの物書きおじさんです。
spotlight公式/プラチナライターでもあります。仕事は随時受け付けしてますのでブログなどを参考に依頼待ってます。
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