「娘の名前はShona Kirsty Yves(ショーナ・カースティー・イーヴス)、イニシャルはSKYなの。」娘、ショーナの誕生秘話を話しだすと1時間はすぐ経ってしまう、でも話すのが大好きだというのは、イギリスに住むデビー・オーウェンだ。

彼女は2番目の子供を、なんと上空3万フィートの高さの英国航空のファーストクラスで出産した。

貴重なかけがえのない出産経験をしたデビー

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2年間住んでいたガーナから、出産のために1時帰国しようと夫ダンカンより一足先に、機内に娘クレアと乗り込んだデビー。出産予定日まであと6週間あった。赤ちゃんは順調に育っていたし、まさか6週間も早く生まれるとは予想もしていなかった。

「イギリス市民権を問題なく取得するために、子供はイギリス国内で産みたいと思っていて。スコットランドの病院を予約してあったの。夫が後で私の病院に来てくれる予定になっていて、クレアは母が預かることになっていたの。」

しかし、離陸して数時間後、トイレに行ったデビーは出血に気付き怖くなった。お腹の子供に何かあったのではと不安に思い、トイレのアラームボタンを押した。

偶然オランダ人医師が乗り合わせていた

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キャビンクルーが機内放送で助産婦か医師はいるかと尋ねた。オランダ人の医師が乗っていたのでホッとしたデビー。彼は医療器具のないアフリカの奥地で、分娩の手助けをしていたまさにプロ中のプロだったのだ。

「とっても親切で、穏やかに接してくれたわ。彼がついてくれるから、きっと大丈夫だと思えたわ。」

ファーストクラスに移動させられた

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機長が来て、あいにく今のところ緊急着陸は選択肢には入っていないとデビーに告げ、できればロンドンまであと4時間、なんとか頑張って欲しいと言われた。「後で思い出して笑えるんだけど、私、本当に足を組んで、陣痛のことは無視しようとしたわ。」

痛みは気にならなかったが、お腹の子供がどうか無事でいてくれるようにとそれだけ祈っていたという。飛行機はアルジェリアの上を飛んでいた。

4歳のクレアは、事の重大さを理解するにはまだ幼すぎた。デビーは、自分のことは横に置いておいて娘の相手をすることに集中した。他の乗客は明らかにデビーに何が起こっているか気付いていた。

医師は頻繁にデビーを見に来てくれた。機長も、万が一の時にはこれから通る空港は緊急着陸の受け入れ態勢ができているとデビーに伝えてくれた。デビーは「どうかもっと速く飛んで!」と心の中で叫んだ。ロンドンまで到底持たないとわかっていたのだ。

パリを過ぎた時に「もう生まれる!」

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機長が「今、マドリッドの上を飛んでいる。パリに近付けばもうロンドンまで一気に飛ぶので緊急着陸はできない。」とデビーに言った。その瞬間、耐えられなくなった。パリを過ぎたと機長が伝えに来た時、もうダメだ、生まれる!と思いそう伝えた。

するとスタッフや他の乗客がデビーの為に素早く行動してくれた。他のファーストクラスの乗客は別の場所に移動し、デビーの席には大きい黄色のプラスチックのシートが敷かれ、出産準備ができた。

キャビンクルーはクレアをデビーから少し離れた場所に移動させ、医師が診察した。そして2分以内に1回プッシュで、デビーはショーナを出産したのである。

健康で美しい女の子が生まれた

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医師が大きなハサミでへその緒を切ってくれた。「娘を抱いた時、不安は全て消え去ったわ。無事に生まれてくれてとっても嬉しかった。」

英国航空の毛布でショーナをくるんだ。クレアがキャビンクルーに連れられて戻ってきた。生まれたての妹の顔を見て「ETみたい!」と言ったのを、昨日のことのように覚えているというデビー。

「みなさん、たった今、機内に新しい乗客が増えました。」

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機長もクルースタッフも、無事に出産したデビーと空の上で生まれた記念すべき赤ちゃんに大喜びだった。「新しい乗客が1人増えました!」と機内放送した。すると乗客全員がデビーに拍手を送った。そしてスタッフから、お祝いのシャンペンが乗客全員に配られたという。

半時間後、飛行機は無事にガトウィック空港に着陸した。デビーとショーナはすぐに病院へ搬送された。6週間の早産だったが2500グラムだった。病院では1晩泊まって、翌日家に帰った。

その二日後、夫が帰宅し子供の名前をショーナ・カースティー・イーヴス(SKY)と名付けた。

出生届けには「海の上での出生」と登録された

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空の上で生まれたショーナの出生届けは、民間航空管理局によって登録されなければならなかった。最初は、パスポートに「3万フィート上空の機内にて出生」と記録されていたが、後に一般カテゴリーに最も近いということで「海の上にて出生」に変更された。

ショーナは今21歳になった。18歳になった時に、英国航空から2回、世界中のどこでも旅できる往復チケットをプレゼントされた。その無料チケットで、1回目は姉のクレアとオーストラリアに住んでいる80歳の祖母の誕生日にサプライズでかけつけたという。

「ショーナの出産はとても特別で、宝物だわ。」

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全ての出産経験がきっと誰にとっても、特別でかけがいのないものだろう。デビーにとっても、予期せぬ場所での出産となったが周りの温かいサポートのおかげで、無事にショーナを出産できた。

早産で機内出産という稀なケースにも関わらず、健康で生まれてくれたこと、貴重な経験をしたこと、全てがきっとデビーの中では特別な思い出になっていることだろう。生まれた場所にちなんだ素敵な名前を付けてもらって、ショーナもきっと今、幸せに違いない。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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