「連帯冷蔵庫」まだ食べられる食品廃棄を減らすため、食べ物が必要な人にシェアするため

街に置かれた冷蔵庫

出典 http://www.npr.org

ガルダガオ市長。(左)

スペイン北東部バスク州にある人口約3万人の町ガルダカオ。今年4月、この町の歩道にフェンスで囲まれた小さな冷蔵庫が置かれました。外見は、まるで捨て場に置かれた冷蔵庫とも見間違えそうですが、実はこの冷蔵庫は市民の共同冷蔵庫なのです。

この冷蔵庫には、家庭、レストランで食べ切れなかった食品、料理を入れることができます。そして、この冷蔵庫に入っている食品を、希望する住民が自由に持ち帰ることができます。

これは、この町で貧しい人々のためにフードバンクを運営していたアルバロ・サイスさん(Alvaro Saiz)の提案を実現化した「連帯冷蔵庫」プロジェクトです。

”レストランの裏でゴミ箱をあさる人たちの写真をみて、胸に突き刺さるものがありました”

”ドイツではすでにインターネットで余分な食料品をやり取りできるという活動が行われていて、これは素晴しいアイデアだと思いました。” Foodsharing.de
サイスさんはこう語ります。

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ガルダガオのような田舎町では、インターネットを使っている人は少なく、お年寄りも多いため、別の方法を取ることが必要だと考えました。そこで、サイスさんは、「連帯冷蔵庫」のアイデアを持って、市長の元を訪ねます。

市長談。
”彼が市役所にこのアイデアを持って現れたとき、私はそんなアイデアは狂ってると思ったと同時に、なんて素晴しいアイデアだ!と思いました。そんな素晴しいアイデアにNOといえるわけは無いでしょう?”
”市は、冷蔵庫の購入費と、このプランを衛生的かつ安全に運営するための調査費、電気代、運営費などに充てる予算を5000ユーロ(約68万円)承認しました。付け加えて、万が一誰かが冷蔵庫にあった食品を食べて食中毒のような病気になっても、市は一切責任を問われないという取り決めをもうけました。”

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このプロジェクトを安全に運営するために、いくつかのルールがあります。生もの、たとえば、肉、魚、卵は入れてはいけない。家庭で作った料理は、必ずラベルに作った日を書かなくてはいけません。これらは4日経過すると廃棄されます。

ボランティアの人々が賞味期限のチェックや冷蔵庫の定期的な掃除をしています。その1人Javier Goikoetxeaさんによると、食品が残っていることは滅多にないそうです。
”レストランで残った料理(タパス)は、翌朝までに無くなっていますよ。この冷蔵庫のために料理をしてくれるおばあちゃんもいます。週末にBBQのあとにはスペアリブやソーセージが入っているんですよ。”

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Restaurante Berrio のスタッフ。これまで捨てていた残り物や作りすぎた食品は廃棄していましたが、今は「連帯冷蔵庫」を利用し、食品廃棄が少なくなり喜んでいます。

NPRの記者が訪ねたとき、冷蔵庫にはこんなものが入っていました。
新鮮な野菜ー街の市民ガーデンで採れたトマト、きゅうり、ズッキーニ
牛乳、瓶入りレンズ豆、ベビーフード、それから街のバーから提供された、ピンチョスもありました。

バスク地方の人々は食べ物を神聖なものと考えていて、食事をとても大切に考えています。そのためかミッシェランで星を獲得しているレストランの密集度が世界で一番高い地域だと言われています。

だから、連帯冷蔵庫は、この地区の人々の生活文化の一部と言えるでしょう。

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「連帯冷蔵庫」の動きは地中海沿いにある町、ムルシアでも取り入れられ冷蔵庫が町に設置されました。ムルシアの小学生たちは、ガルダガオを遠足で訪ね、残った食品のことや食品シェアについて学んでいます。

食料廃棄の問題に対しては、世界中で様々な取り組みが行われている。

フランスでは、2015年5月に大手スーパーマーケットがまだ食べられる食品を廃棄処分することを禁じる法律が可決され、スーパーマーケットは余った食品を慈善団体に寄付するか、家畜の飼料や肥料に転用することが義務づけられた。
イギリスでは、大手スーパーマーケットチェーンの「テスコ」が、売れ残り食品を複数の非営利団体に寄付する活動を始めた。さらに、形が悪い果物や野菜を捨てずに活用する動きも世界規模で広がっている。

それでも、深刻な食品廃棄問題を改善するためにはさらなる努力が必要だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界で毎年廃棄される食品は13億トンで、世界で生産される食品の3分の1を占める。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

日本でも、消費者庁が関係6府省庁が連携して事業者と家庭、双方における食品ロスの削減を目指し、国民運動「NO-FOODLOSSプロジェクト」を展開しています。

http://www.caa.go.jp/adjustments/index_9.html

あまり知られていませんが、日本でもフードロスを軽減するため、いろいろな活動が行われています。

日本の文化や社会状況から考えると、「連帯冷蔵庫」を設置することは難しいと筆者は考えます。皆さんは、どう思いますか?

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公式プラチナライター。テキサス州在住。料理研究家でフリーランスのコラムニスト

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