「僕を産んだ母に初めて会ったのは、去年のクリスマスパーティーだったんだ。」母親が19歳の時に10歳年上の男性との間に生まれた男児は、今22歳になった。そして自分を産んだ母と去年初めて会うことができた。

父側の親戚に引き取られたベンジャミン

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イギリスのマンチェスター郊外で父親の親戚に育てられたベンジャミンは言う。「誰も母のことは口にしなかったんだ。僕の赤ちゃんの時の写真も、出生証明書も目にすることがなくて。きっと僕は、要らない子供だったんだろうなって思うようになったんだ。」

物心付いた時には、自分には母がいないとわかった。会ったこともない母の面影を想像して辛くて寂しくて、1人涙した時もあったという。「僕は父に全く似てなかったんだ。きっと母に似てるのかなって思ってた。」

しかし、母がどんな人なのか、どこにいるのかさえもわからない。「きっと母には他に子供がいるんだ。」側にいてくれない母のことをそうやって諦めようとした。

ある日、一通の手紙を見せられ事実を知った

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初めて見せられた母からの手紙には、母がドラッグ中毒者だったことが書かれてあった。そしてベンジャミンは、母が19歳の時に母の二人目の子供として生まれたこと、姉がいることを知った。

去年の12月27日、グラスゴーを訪れた

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ベンジャミンが20歳になった頃、偶然facebookを通して、母の祖母に育てられたという姉のリアンから連絡が来た。カナダに住んでいるというリアンは、ベンジャミンと家族を会わせたかった。そう、実の母親に初めて会えるチャンスが訪れたのだ。

クリスマスにはスコットランドのグラスゴーに帰るというリアンは、自分のために母サイドが「おかえりなさいパーティー」をしてくれる予定だと言い、そこにベンジャミンを連れて行きたいと申し出たのだ。

「母もいるから。家族が一つになることがようやくできるのよ。一緒に行きましょう。」22年目にして初めて、実の母の居場所を知ったベンジャミン。姉と秘密の約束をしてマンチェスター空港で姉の帰りを待った。そして二人で車でグラスゴーへと向かった。

「母はどういう反応をするだろうか」

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「自分がが姉と一緒にパーティーに行くことなど、母はもちろん、親戚も知らないことだったんです。」4,5時間の道のりの間、不安な気持にもなった。「母をパニックにさせたらどうしよう。母が僕を見て嫌がったらどうしよう。」

しかし、ベンジャミンは姉に母のことを聞かずにはいられなかった。「どんな性格の人なの?」姉は言った。「あなたと似てるわよ。」「どんな雰囲気の人?どんな顔してるの?」「…あなたに結構似てるわ。」

グラスゴーの家に着くなり姉は、叔母と名乗る女性に「家族が揃ったわよ!信じられないわ!」と興奮して話した。ベンジャミンにとっては叔母に会うのも初めてのことだった。この部屋の中に自分を産んだ母がいる。

部屋のドアを開けた。そこにはベンジャミンにとても良く似た女性がいた。

「もう二度と会えないと思っていたわ。」

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「いや、正確には、僕が自分を産んでくれた母にとてもよく似ていたんだ。僕と同じ顎の形、大きな額、そしてヘアスタイルまで似たような感じで。僕の中には、今初めて母に会ったというのに、とても懐かしいホッとしたような気持ちが湧きあがったんだ。」

「自分とよく似ている女性を見て、まぎれもなく彼女は僕の母だと思った。」ベンジャミンは直感でそう思ったという。そして母は数秒見つめた後、彼を引き寄せ抱きしめた。「もう二度と会えないかと思っていたわ。」22年の長い年月が縮んだ瞬間だった。

母は5年間、ドラッグには手をつけていないこと、今は自分と同じようにドラッグ中毒で苦しんだ人のサポートをチャリティ団体でしていることなどを自分の息子に話した。「僕は、会ったことのない母のことを好きになりたかったから会ったんじゃないんだ。母が、ただそこにいるってことを知りたかっただけなんだ。」

でもベンジャミンは思った。「僕は母が好きだ。」離れていた22年間が嘘だったかのように、素直にそう感じたという。

「あのクリスマスに奇跡が起こったんだ」

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今は、母親と頻繁に話をしているというベンジャミン。「彼女が僕の母で良かったと思ってます。」あのクリスマスのパーティーで、ドアを開けた時に奇跡が起こったと彼は言う。「人生は短いけど、離れ離れになっていた親子が会って和解するには十分な時間が与えられているんだなって思ったよ。」

世の中には、子供の時に捨てられて、それを親に後悔さえしてもらえないまま大人になる人もいる。捜してもらえずに孤独な人生を送る人もいる。ベンジャミンは、SNSを通して実の姉から連絡をもらうという偶然の奇跡と、クリスマスの奇跡が重なって、実の母に会うことができた。

母を好きだと思えたこと、頻繁に話せるようになったこと、姉とも連絡を取れるようになったこと、全てが良い方向へ向かったことによりベンジャミンも、彼の母も救われた。今後もこの家族が幸せになってくれることを願いたい。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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