彼らはその辺のチンピラ右翼みたいに制服を着て街宣活動などしません。「日本会議」。この背広を着た右翼はスマートに、いわゆるロビー活動を通して政治を牛耳っています。

国会議員全体の中で約4割、現閣僚のなんと8割を「日本会議」のメンバーが占めているのだから、影響力の大きさは、想像できるでしょう。

最近の一例を挙げると、安保法制が合憲であると唱える憲法学者を、安倍首相はわざわざ3人選んできましたが、その3人は全て「日本会議」のメンバーでした。

さらに「日本会議」は勢力が大きいだけではなく、その思想は驚くほど過激であり、歴史も長いのです。

そもそも太平洋戦争が終わって、ほとんどの日本国民は敗戦を認め、GHQの指導のもと民主主義への転向の道を歩みはじめました。

しかし一部の軍閥、財閥、明治時代の名士の子孫を始め国民の中には、どうしても日本の敗戦そのものを心理的に認めることのできなかった者もいたのです。日本は敗戦などしていない。戦前の大日本帝国に戻したい…。

そんな彼らの心の受け皿となったのが、谷口雅春の始めた初代「成長の家」でした。(代替わりして現在の「成長の家」はリベラル志向となっている)

谷口はキリスト教や神道、仏教などの伝統的宗教から新興宗教までまとめ、天皇を現人神として崇めました。

「一切は天皇より出でて天皇に帰るなり」と説き、聖戦完遂を唱えて教団を大発展させました。明治憲法復元を旗印に各界に根を広げていったのです。神社本庁、靖国神社、崇教真光、霊友会、天台宗など数多くの宗教を巻き込んで行きました。

1974年「日本を守る会」が発足しました。臨済宗円覚寺貫主・朝比奈宗源が谷口らに呼びかけて作ったものでした。

1978年には最高裁判所長官を務めた石田和外の呼びかけで「日本を守る国民会議」が発足します。こちらは財界人、学者が中心でした。

この「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が一緒になって1997に統一されたのが「日本会議」です。

そのネットワークの全国的広がりと構成メンバーの多彩さに驚くべきものがあります。会員は全国に約3万5000人。日本会議の地方議員連盟に属する議員は約1700人と言われます。

HPの役員名簿を見ると、石井公一郎・ブリヂストンサイクル元社長、小田村四郎・元拓殖大総長、三好達・元最高裁長官、作家の石原慎太郎氏、外交評論家の田久保忠衛氏ら各方面の著名人がずらりと並んでいます。

日本会議のHPを見ると「125代という悠久の歴史を重ねられる連綿とした皇室のご存在は、世界に類例をみないわが国の誇るべき宝」であり

「皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、(中略)国の力を大きくする原動力になると信じています」とあります。

さらに「美しい日本の再建」をうたっています。「再建」というからには過去に「美しい日本」があったということを前提にしているわけで、それが大日本帝国であることは間違いないでしょう。

そんなアナクロニズムな発想をする国民は少数でしょう。天皇陛下ご自身だって天皇制の復活など望んでおられないと思います。

皮肉なことですが、僕は現安倍政権が独裁するくらいなら、陛下直々に采配したほうがマシ、だと思うくらい現状を憂いているのですが。

それはともかく、まさに安倍政権の背後にある巨大思想集団「日本会議」について、海外のマスコミはよく取り上げますが、日本のマスコミはさっぱり取り扱わないのはなぜでしょう。

宗教のタブーを感じるのはわかるけど、ここまで直裁的に政治に関与している団体なのですから、もっと日本のマスコミも取り上げるべきだと思います。

うかうかしていると安保法制だけではなく、改憲、それも大日本帝国憲法の時代にタイムスリップするような方向へ、私たちの国が向かい始める可能性があるように思います。

「日本会議」の主張がすべて間違っているとは言いませんが、「美しい日本」という言葉のムードに流されぬよう、注目していく必要があるでしょう。

もちろん僕は大日本帝国憲法より、今の民主主義と平和主義の日本国憲法のほうが、はるかに優れていると思います。

「日本会議」は第二次世界大戦を侵略とは考えず、正義の戦いだったとしますが、本当の意味で「美しい日本」にするには、過去に「美しくない日本」もあった歴史を真摯にみつめることのほうが必要なのではないでしょうか。

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