出典日刊カーセンサー

▲マクラーレン東京ショールームの店内。写っているのは約1億円のマクラーレンP1ではなく、お安いMP4-12C。お安いといっても2869万円ですが!

ディーラーの雰囲気は思いのほかフレンドリーだった。が!

ネットの片隅で毎日地味に書きモノをしている筆者だが、実はここだけの話、結構な資産を持っている。その額と資産形成過程は「2億円ぐらい?」「デイトレードか?」「……遺産?」等々ご想像にお任せするが、いずれにせよ、さしあたって使うアテのないお金がそこそこある。

ということで過日(といっても約2年前だが)、東京は港区赤坂にある「マクラーレン東京ショールーム」にブラリと出向いてみた。販売価格9661万5000円、四捨五入すれば1億円となるハイブリッド・スーパースポーツ「マクラーレンP1」を買うためである。

出典日刊カーセンサー (C)マクラーレン

▲こちらが約1億円のスーパースポーツ、マクラーレンP1。世界限定で375台生産される予定ですが、日本市場割り当て分はあっという間に完売となりました

「実は結構な資産家」とはいえ、普段着はほとんどユニクロかGAPの筆者だ。靴下はいつだって3足1000円である。そのままの格好では門前払いを食らいかねないと考え、手持ちの衣服の中ではいちばん富裕層に(たぶん)見えるだろう衣服を着用し、頭頂部付近にサングラスをちょこんと載せたうえでマクラーレン東京ショールームの門を叩いた。

受付にいた、民放キー局が社運をかけて制作するゴールデンタイムのニュース番組で原稿を読んでいても不思議じゃない、美しく聡明そうな女性スタッフに「えーと、P1欲しいんですが」と告げる。

筆者の風体を上から下まで眺めたうえで、「おととい来やがれ」という意味の日本語を非常に丁寧な形で告げられることも覚悟していたが、女性スタッフは大変好感のもてる笑顔で「P1でございますね(ニコリ)。ただ今担当者をお呼びいたしますので少々お待ちくださいませ(ニッコリ)」と筆者に告げ、バックヤードへと優雅に消えていく。

約15秒後、実直なスーツを着た担当セールス氏が、実直な笑顔を伴ってスピーディにやってくる。同じく「えーと、P1 欲しいんですけど」と告げると、セールス氏の笑顔がほんの少々曇る。一応それなりの資産は持っていることが伝わらなかったのだろうか? ナメられたのだろうか?

セールス氏 大変残念ですが、お売りできないんですよ……

「ふ、ふざけるな! 僕ぁ、こう見えてもお金持ちなんだぞぉ!」と両手をブン回して涙目で逆ギレする準備を整えた筆者だが、どうやらそういうことではなさそうだ。

仮に1兆円持ってたとしても一見さんはお断り。

セールス氏 ……英国本社の方針で今回のP1は、以前マクラーレンF1をお求めいただいたお客さまに優先的にご案内させていただいてるんですね。で、そちらでほとんど枠が埋まってしまう状況ですので、新規のお客さまにはご案内したくてもできない状況でございまして……

なるほど! 名門ブランドの限定車とは、お金ではなく「実績」で買うものなのか! ……それは理解したが、一応食い下がってはみよう。だってP1欲しいし。

筆者 でもですね、ワタクシこう見えてP1買うぐらいのお金はあるんですが、ダメですか?

セールス氏 ……大変申し訳ございません。P1ご購入の“審査”をするのは英国本社でございまして、私どもだけではいかんとも……

ということで、例えばだがデイトレードなどで一夜にしてたまたま大金を得たとしても、そのお金だけでマクラーレンP1を買うことは決してできないのだ。某名門私大の付属幼稚舎に入りたい場合、高額な入学金を払えればそれでOKというわけでなく「家柄」のようなものが重視されるのと同じである。マクラーレンP1のような車は「徳を積む」イメージで実績を積み重ねない限り手にすることはできないのだ。

「ブランド」というのはそうやって作られ、維持されるものなのだろう。それについて、筆者ごときがとやかく言うつもりも資格もない。「なるほどわかりました」とセールス氏に伝え、マクラーレン東京ショールームを後にした。

出典日刊カーセンサー (C)マクラーレン

▲マクラーレンP1は、1990年に発売されたマクラーレンF1を購入した実績を持つ「ぽっと出ではない富裕層」に優先的に案内された模様。リアルセレブになるのは難しい!

ちなみに、P1を買う場合はまず1回目のデポジット(保証金)として8万ポンド、つまり約1400万円を払い、その後第2回デポジットとして16万ポンド(約2800万円)を支払う。で、残金を納車時に日本円で支払うとのこと。

また、報道によれば本国マクラーレンはP1の「サーキット専用バージョン」を開発中とのことだが、こちらも当然ながら、買えるのはロードバージョンのオーナー限定なのだろう。

筆者のような小金持ちにとって「名門」への道は、果てしなく遠い。

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