セシルという名のジンバブエで最も有名なライオンが、アメリカの歯科医ウォルター・パーマーに違法に殺害され、国際的な問題になっています。アフリカでは外国人によるライオンなどの大型動物を遊びで殺すというスポーツハントが問題になっています。

ジンバブエの最も有名なライオンがアメリカ人に殺される

2015年7月1日、アフリカ・ジンバブエのワンゲ国立公園に住む「セシル」という名のライオンが、アメリカ人歯科医・ウォルター・パーマーに殺害されました。セシルは13歳の雄のライオン。セシルはジンバブエで最も有名なライオンで、オックスフォード大学が発信機をつけて追跡も行っていました。

セシルは研究者などと接触する機会も多く、野生動物ながら人間を恐れず慣れていたため、10メートルという近い距離で研究者や観光客が頻繁にその姿を見ることができ、大変人気のある有名なライオンでした。そのため、多くの写真や動画が残されています。

多くの人から愛されていたセシル

たくさんの人から愛されていたセシルをアメリカ人歯科医・ウォルター・パーマーが無残に殺してしまいます。その殺し方が違法な上に、あまりにも執拗で残虐で世界中から怒りを買うこととなります。

ウォルター・パーマーは、ゲームハンターのためにガイドに5万ドル(約6百万円)を支払いました。ゲームハンターとは遊びで動物を殺す狩りのことです。このことについて、パーマーは「合法である」と言っていますが、その後の事実などから、そもそも違法にセシルを殺すためだったのではないかと疑われています。

40時間も負傷したセシルを追い掛け回す

6月30日、パーマーは肉を使ってセシルを国立公園の保護区からおびき出します。保護区から出てしまったセシルは、パーマーにクロスボウの矢で打たれ負傷してしまいます。パーマーは負傷しながら逃げるセシルを約40時間もの間、執拗に追跡。その後セシルはパーマーにライフルで撃たれ、首を切り落とされてしまうのです。

執拗で残忍な殺害

セシルは人間を自分に害をなすものと思っていなかったでしょう。パーマーに狙われても逃げなかった可能性もあります。そのセシルを矢で傷つけたあげくに追い掛け回して殺すなどあまりに残忍な殺し方です。セシルはどんな思いで、40時間も苦しみながら逃げまわったでしょうか。

首輪に気が付かなかったと言い訳

しかもセシルは、追跡用の首輪をつけていました。首輪を見れば、保護対象のライオンであることも明確です。それにもかかわらずパーマーはセシルを殺しました。首のないセシルの体が研究者によって発見されたとき、追跡用の首輪がなくなっていたそうです。

パーマーはセシルの首輪を殺した後に見つけたと主張していますが、40時間も追回し、大きな首輪に気が付かなかったとは醜い言い訳です。ガイドも見慣れているはずですからセシルだと分かっていたはずですし、保護区からおびき出し執拗に追い掛け回し殺しているので、確信犯だったと思われます。つまり、違法であった可能性が高いのです。

世界中が激怒

パーマーは自身のSNSにセシルを殺したことを自慢げに公表しています。これを受けて、世界中から非難が殺到。さらに、「Justice for Cecil (セシルのために正義を)」というジンバブエ政府に対し、絶滅危惧種の狩猟許可発行の停止を求める請願に90万人以上の人が署名しました。世界中から怒りの声が上がっているのです。

国連大使や有名人からも厳しい意見

ジンバブエ政府も「動物保護に関心がない国」と世界中から見なされ、野生動物を見るツアーなどのキャンセルが相次ぎ、非常にマイナスの影響が出ていると発表。ジンバブエ政府はパーマーの引き渡しを要求しているそうです。アメリカ政府もパーマーのセシル殺害について調査を始める意向とのこと。

また、7月30日行われた「違法な野生動物の密猟や密輸について」の国連総会の席でドイツの国連大使は、「世界中の人々と同じように、このかわいそうなライオンに起こったことについて、我々も憤慨している」と述べています。

俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏もSNSでこのことについて手厳しい意見を述べています。

「ライオンを殺すことは勇敢なことではない。オクタゴン(格闘技)か軍に入るがいい。その方が勇敢だ。ライオンを殺す前に、守るほうが勇敢な行為だ。」

出典 https://www.thedodo.com

「自分は悪くない」と責任逃れ

パーマーは「プロのガイドを雇っていたのだから自分は悪くはない。捜査には協力する」と言っているようですが、確認された事実を見ると「自分は悪くない」という主張は全く正当性に欠けると言わざるを得ません。

野生動物を殺して楽しむゲームハンター

アフリカではライオンを含めた大型の野生動物を、外国人の金持が遊びのために殺すゲームハンターが数多く行われています。保護区を設け、海外から保護資金を提供してもらいながら、一方でこのような殺りくを許すなど非常に矛盾を感じます。

ジンバブエ政府は、世論を受けてパーマーを非難していますが、多くの外国人に狩猟許可を与えているのもまた事実で、パーマーはこれまでにもたくさんの動物をアフリカで殺して楽しんでいます。彼のSNSには写真が掲載され、いかに楽しいか自分の患者に主張するほどです。

絶滅危惧種であるにもかかわらずゲームハンターを許している現実

ジンバブエがある西アフリカではライオンは絶滅危惧種にもかかわらず、こうしたゲームハンターによって毎年多くのライオンが命を落としているのです。

40時間も追い掛け回し殺したあげく、首なし死体を放置。それはそんなに楽しいことでしょうか?心が痛まないでしょうか?まともな人間がすることでしょうか?

アメリカ、ジンバブエ、双方に厳しい対応を期待する

セシルは人間に対して信頼を寄せていたでしょう。いつも人間に殺されてしまうのは、人間を信じてくれた動物なのです。それを思うと本当に心が痛みますし、申し訳なさでいっぱいになります。

アメリカは日本よりも動物愛護に関心が高い国ではありますが、一方でこうして外国に行ってまで遊びで動物を殺したり、獣医でありながら隣の飼い猫を矢で打って殺したりしても悪びれないで自慢するという相矛盾する信じられない面も多くあります。

アメリカにはきちんと法的手段をとってもらいたいですし、ジンバブエには被害者面ばかりしていないで自国の矛盾と罪も見つめなおしてもらいたいです。

「殺すこと」は勇敢でも何でもない

厳しい自然界を生き抜いてきたセシルは、つまらない人間の見栄や欲望のために殺されました。銃で簡単に殺すことが勇敢さの証明になるとは全く思えません。

日本の殺処分にも言えることですが、殺すことは簡単なのです。命を守り生かすことこそ困難で、達成するのが難しいことです。シュワルツェネッガー氏が言うように、「勇敢であること=命を奪うこと」では決してないと思います。

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