うのたろうです。
甘い味は好きですか?
酸っぱい味は好きですか?
しょっぱい味、苦い味、うまい味は好きですか?

では質問です。

なんでその味が好きなんですか?

というわけで。
本日は味覚のお話。
先日、米パデュー大の研究チームが既存の5つの味覚のどれにも属さない第6の味覚を発見したと発表しました。

新しい味覚は……

「脂味(あぶらみ)」?

夏バテ気味の暑い時期にこの話。
なんだか胃がもたれてきそうな話ですが、そもそも味覚ってなんなのか? 既存の5つって、なにとなにとなにとなにとなに? そもそもこの発見はなんの役に立つの?

そんなことを見ていきましょう……

味覚ってなに?

まずはちょっと脱線して、そもそも味覚はなんなのかというお話。これは先のパデュー大学の発見よりも以前にだされた別の大学の研究者たちの論文です。

この論文は2015年2月、オーストラリアのディーキン大学の研究者たちがフレイバーという新聞に掲載したものです。
そこには「味覚についてのなんたるか」という定義や「脂味を第6の味覚として扱うかどうかこの先5年~10年のうちに結論をくだすべきだ」というような内容が書かれています。

論文の筆頭著者であるラッセル・キースト氏(ディーキン大学 感覚専門)は、同論文内でこのようなことをいっています。

「味覚とは化学的な機能である」

ラッセル・キースト氏の論文「味覚が科学の機能」とは?

味覚が科学の機能――これはどういうことなのでしょうか?

彼によると、塩や砂糖の結晶といった化学物質が口内にある感覚細胞にふれると、一連の反応を引き起こすのだそうです。

その一連の反応とは以下のもの。
口内にある細胞は「甘味や塩味を帯びたなにか」に対する知覚を他の神経細胞へと伝えます。そしてその神経細胞が徐々にこの情報を脳へと伝達していくということだそうです。

その条件に当てはまるのが、従来の5つの味覚というものです。

甘味、苦味、塩味、酸味、旨味

これがそれにあたります。

ちなみに。
それぞれの味覚のおもな検知能力は以下のもの。


甘味 = 炭水化物
苦味 = 毒の検知
塩味 = 塩分
酸味 = 食物の腐敗
旨味 = たんぱく質


ここで話をもとに戻します。では、どうすればこのなかに脂がはいることができるのでしょうか? 脂(脂味)が正式な味覚として認識されるようになるにはどのような条件が整えば良いのでしょうか?

味覚を定義するための条件とは?

ディーキン大学の論文によると、主要な味覚を定義するためには下記の基準をすべて満たさなければいけないそうです。それは……


①塩や砂糖のように、味蕾(舌の表面にあるでこぼこした味覚を感じるための感覚器官)上にある特定の感覚器官を刺激するような化学物質であること。

②知覚した味を脳で処理するために、感覚器官と脳の間を連絡する経路が存在しなければならないということ。

③このようなプロセスが引き金となって、なんらかの影響が身体にあらわれること。


では、これを実際に脂に当てはめてみましょう。

脂は味覚の条件に当てはまるのか?

化学者たちはすでにその刺激の原因となる物質の正体を捉えているといいます。その物質はラードやバター、油のなかにブロックのように組み重なっている脂肪酸です。この存在により①の条件はクリアできているといえます。

次にヒトの口内や腸内には、この脂肪酸を知覚することができる感覚器官が備わっているということもすでに認知されています。このことにより③の条件もクリアできているということになります。

しかし、これだけです。
現時点では②の条件がまだ謎のままなのです。
舌上の感覚器官が脂の存在をどのように信号化して脳へ連絡しているのか、研究者たちにもそれがつかめていません。多少の手がかりはあるようですが、いまだはっきりとこの連絡経路を説明することができていないのです。そのため脂を味覚とするには少々条件が足りていないという状況でした。

具体的には、純粋な脂肪酸を口にすれば人はそれが水ではないなにかだということはわかるといいます。しかし、そこまで。口にしたそのなにかがいったいどんなものなのか(甘いや酸っぱいなど)ということを意識してとらえたという感覚が得られず、結果、それを言葉にすることができないのです。

キースト氏の言葉を借りると、純粋な脂肪酸の味を言葉にして表現できる人がいない――つまり「この脂味という感覚をあらわすための語彙が存在していない」ということです。そしてこれが脂味を真の味覚と認めるには至らない理由になっていました。

しかし、この「脂肪酸を味として知覚できない」という論理にも例外がないわけではありません。ある条件下では人がこの感覚をとらえられることがあります。

それは食べものが腐ったとき
です。

食べものの腐った臭いというのは、菌やバクテリアが、ラードや油の中にある中性脂肪を分解したというサインです。私たちはたいていの場合、この状態を感じることができます。これを感じるということは脂肪酸というものを知覚しているということにほかなりません

米パデュー大の研究チームのおこなった実験と結論

このような状況が続くなか、米パデュー大の研究チームがついにこの脂味についての論文を発表しました。

パデュー大の研究チームがおこなった実験は「102人のサンプルに対して①『脂肪酸をふくむ液体』と②『脂肪酸をふくまない液体』をあたえて、それを区別させた」というものです。

この実験の結果は以下のもの。

「ほとんどの人が脂肪酸がはいっている方をはっきりと区別することができた」いうことだそうです。

これにより脂が「味覚刺激物」だということが証明されたわけです。つまり、脂はただ食感に変化をあたえるものというだけではなく、苦味や酸味やうま味とも違う独特の感覚を引き起こす要素があるということの証明になったのです。

この証明ができ「脂を第6の味覚として定義することで、今後さらなる食品開発や健康管理などに役立てていくことができるだろう」とパデュー大の研究チームはコメントしています。

まとめ

たしかに、脂味というものは存在するのかもしれません。
身近なところではラーメンをおもいだしてください。

「脂多めにしますか?」

なんてきかれたことがあると思います。
ラーメン通の方ならばご存じだろうとおもいますが、ラーメン屋では昔から脂を多めにして注文するとなぜか味が濃くなり、脂少なめで注文するとなぜか味が薄くなるといったことが常識的に起こっています。

またアメリカ人が「和牛は肉とは別のジャンルのおいしさ」とよく表現することからも、この脂味というものが第6の味覚になり得るのかもしれません。

ちなみに、辛味が5つの味覚にはいっていないのは、やはり同様の理由です。
からさは舌の痛覚を刺激されることで感じるため味覚ではないということのようです。

第6の味覚「脂味(Oleogustus))」――あなたは好きですか?

では、ここで質問です。

なんでその味が好きなんですか?
この答えがでたときこそが脂味が第6の味覚として認められるときなのかもしれませんね。

さて。
今日はとんこつ醤油の家系ラーメンでも食べにいこうかな。
うのたろうでした。

この記事を書いたユーザー

うのたろう このユーザーの他の記事を見る

Spotlight公式ライター/プラチナユーザー。ライターしたり小説書いたりしています。ライターのお仕事は随時受け付け中です。サンプル文章はこちらにもあります。http://unotarou.com/
きてくれた、すべての人を、愛しています。
【twitter】@unotarou

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス