保育士という職業に、皆さんはどんなイメージを持っているでしょうか?

多くの方が「保育園の先生」という認識だと思います。しかし、保育士として働いていく中で、従来の概念をがらっと変えるような保育・子育て支援のカタチを提案した女性がいました。

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彼女の名前は、小笠原舞さん。小笠原さんは、大学在学中に独学で保育士の免許を取得し、一般企業での勤務を経て保育園に勤務していました。

しかし、この保育園で勤務している時に起きた様々な出来事をきっかけに、保育士資格の持つ可能性、子どもの未来、子育て支援などを考えるようになったのです。

そして、2012年には子育て支援コミュニティをつくり、2013年には合同会社を起業、現在では子ども未来プロデューサーとして活躍しています。

起業のきっかけとなった出来事

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大学を卒業後、一般企業で働くうちに心のバランスを崩してしまった小笠原さんは、保育士の資格を生かして保育園でアルバイトをしていました。

この保育園での仕事は、小笠原さんにとって天職とも言えるものでしたが、ある時園児がこんな会話をしていたことに大きなショックを受けたそうです。

マンションの何階に住んでいるかとか、車は何に乗っているかとか、塾はどこが偉いかなどの問いを、5歳児に初対面で聞かれたんです。

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子ども達は次々に「うちはベンツ」「うちはBMW」「僕の家は○階」といった会話をしていました。

ショックを受けると同時に、小笠原さんはこの状況をこんな風に思ったと語っています。

子どもたちは社会の鏡なんじゃないか。そう思ったんです。

きっと、大人たちやこの社会の価値基準が子どもたちにとても影響している。そんなことを思ったときに、保育士としてできること、もちろんたくさんできることはありますが、この社会の影響力の大きさに私はすごく限界を感じました。

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両親、祖父母、お友達の親御さん、さらには社会全体の価値観が子どもに影響しているのでは?と思い、またその影響力の大きさを痛感したのです。

この出来事をきっかけに、保育士という立場からできることを小笠原さんは模索し始めました。

「保育士の専門性をおすそ分けできる場所を作りたい」

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保育士の資格は、子どもの保育に関する国家資格です。当然専門的な知識を学んでいます。

しかし、賃金や労働環境も問題になっているため、有資格者であっても保育園で勤務しない方は少なくありません。

同時に保育園に預けるか、預けないかの2択になっている子育ての現状に、小笠原さんは疑問を感じていました。

そこで同じ志を持つ保育士と共に、2010年に任意団体を立ち上げ(現在はメンバーを抜けており、団体はNPO法人として他のメンバーが継続)、2013年には合同会社を起業したのです。

私たちは保育士の専門性をフルに活かして、社会をデザインしていく。さまざまな企業さんやさまざまな方と手を取り合いながら、子どもたちにとって本当にいいもの、こと、人。そんなものをデザインしていけないだろうか。そんなことを日々考えて仕事をしています。

そして、私たちが大事にしている子どもは保育園の子どもだけではなく、この社会にいる子どもたち。そして日本を越えて世界、地球にいる子どもたちすべて大事な命です。

そんな子どもたちのために、私たちは保育士としてできることを発信しています。

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保育士の専門性を少しだけおすそ分けできる場所をつくれないかなと思いました。

それは保育園を越えていろんな方に、私たちが見てきたたくさんの子どもたちの良さやいろんなケース、そしてたくさんのご家族、それをシェアできないか。そんな風に思ったんです。

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保育園に通わせている家庭だけではなく、お家で育児に専念している親御さんも悩みはあるもの。

子育てに困った時、保育士のアドバイスを受けることが出来る、様々な情報を交換できる場があったら…そんな思いから、小笠原さんはいくつかの事業サポートやプロジェクトを行っています。

具体的にどんなものなのか、見ていきましょう。

子どものそばで仕事も育児も出来る「こそだてビレッジ」

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自営業や、在宅ワーカーの方向けのシェアオフィスの立ち上げのお手伝いをしました。

この「こそだてビレッジ」では、親御さんの作業スペースに保育スペースが併設されています。

親御さんが仕事をしている間は、保育士さんが見守る中で子どもが遊び、その様子を見ることもできる安心感がポイントです。

親子が集う「asobi基地」

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asobi基地は、お家でも再現できる物を使い、親御さんと子どもが一緒に遊ぶ中で子育てを楽しめるようになってほしいという思いから実施されるようになりました。

こどもたちがいろんな世界を探求し、知り、自分で楽しむ力を身につけ、自発的にやりたいことを見つける。

大人はこどもの眼差しを見て、こどもの心に寄り添い、あっ!と新しい世界に気づくその瞬間を共有し、それを見守りサポートできる力を身につける。

そんな両方が学び、楽しむ権利を満たせる場所であることが、大人も子どもも平等であるということだとasobi基地は考え、そのような場を提供していきます。

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大人も子どもも平等…この言葉の裏には、小笠原さんが大切にしているある考えがありました。

子どもを一人の人間として尊重する

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1つめ。大人だから子どもだからと決めつけないこと。大人も、できることもできないこともあります。同じように子どもも、できることもできないこともあります。

人間として同じです。なので、完璧な人もいません。だからこそ、ここはフラットで誰もが自分らしくいられる、ということを設定しています。

2つめ。頭ごなしに否定をしないこと。いまいろんなところで禁止事項が増えていますが、私たちがやるときには否定語を使わないようにしてもらっています。

もちろん危険なときには止めますが、走ってほしくないところを走っていたときに「歩いてね」と言うこともできるんです。

私たちが発する言葉に注意を傾けてもらって、どんな言葉を子どもたちにかけるか、そこに意識をちょっとだけ置いてもらうことを2つめに置いています。

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3つめ。まず共感すること。たぶんみなさんも経験あると思うんですが、子どもたちって大人がちょっと理解できないようなものをつくって自信満々で見せてきたりしませんか?

そんなときに「なにそれ?」っていうのか、それとも「ああ、なにか丸めてつくったんだね」というのか。

共感してあげることで子どもたちはその先にいろんな説明をしてくれたり、いろんな世界を発信してくれるんじゃないでしょうか。

最後、4つめ。価値観を押し付けないこと。例えば、チューリップを黒で書こうとします。みなさん止めますか?

もしかしたらその子はチューリップの影を先に書いたかもしれません。

そういう風にしてちょっと大人が見守っていくと、また子どもたちの世界が広がる可能性が増えていきます。

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大人は、自分達の考えを子どもに押しつけてしまいがちです。

また、子どもに対してだけではなく、大人同士でも価値観を尊重できないことは社会生活の中でしばしば起きているのではないでしょうか?

この4つのことは、子どもを持つ親だけではなく大人全員が考えてみるべきことなのかもしれません。

最後に小笠原さんが考えている「今後の目標」についてご覧頂きながらお別れしたいと思います。

「私の役割は子どもと大人の間を繋ぐこと」

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私の目標は「すべての人が子どもを育てるということを楽しみ、社会みんなで子育てができるような日本を作っていくこと」です。

そのためにこども未来プロデューサーである私の役割は、子どもと大人の間を繋ぐということだと考えています。

具体的には、子どもの気持ちを代弁したり、逆に親の持っている子どもの悩みを解消していき、子どもにも大人にも、よりよい環境・社会を整えていくことです。

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子育てしにくいと言われる日本ですが、社会全体で子育てを楽しめるような環境になることは、多くの方が望んでいることではないでしょうか。

保育士という立場から、独自の子育て支援を展開する小笠原さんの活躍に今後も期待したいと思います。

出典 YouTube

小笠原さんがTED×Shimizuで行ったスピーチはこちらから。

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