「償い」とは何かを問いかける名曲

さだまさしさんの「償い」という歌詞をご存知ですか?深く人の心に刺さる「本当の償いとは」「本当の赦しとは」を考えさせる歌詞に、涙する人も後を絶ちません。

「償い」の歌詞は実話だった

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雨の中の不幸な事故

交通事故にまつわる実話を、加害者の同僚の視点で描いた名曲です。1982年に発表されたアルバム「夢の轍」に収録されています。

僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ

たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ

出典さだまさし「償い」歌詞

この歌詞に出てくる「ゆうちゃん」にあたる加害者には、さだまさしさんが直接会った訳ではありません。実際は、さださんの知人である被害者の奥様の体験を元に作られた歌詞です。

交通事故を起こしてしまった加害者は、実直で真面目な性格だったのでしょう。夫を亡くした被害者の奥様に対して、毎月賠償金がわずかではありながらかかさず届けられました。奥様は経済的に自立していた事もあり、送られてくる謝罪で夫の事故を思い出す辛さから、こう手紙をしたためます。

ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました
だから どうぞ送金はやめて下さい

あなたの文字を見る度に 主人を思い出して辛いのです 
あなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもう あなたご自身の人生を もとに戻してあげて欲しい

出典さだまさし「償い」歌詞

7年の月日の中、夫を事故で失った悲しみを乗り越えた奥様の懐の深さに胸を打たれます。加害者を許すだけでなく、いたわる情のの深さは、なかなか真似できるものではありません。

そしてこの手紙を受け取った加害者は、その手紙を感謝し、それでもなお、自分に残された償う方法はこれしか見つからないと言わんばかりに賠償金の送金は続くのです。

裁判でこの歌詞が引用されたことも

別の事件の裁判では、被告人に償いの意味を諭すために使われた例があります。

2002年に行われた少年犯罪の法廷で、裁判長が、四十代のサラリーマンを殺めてしまった少年二人に対して、判決の後に異例の言葉をかけました。

それは、「あなた達は、さだまさし氏の『償い』という歌を知っていますか?」「歌を知らなくても、歌詞だけは読みなさい。読めば、あなた達の言葉が何故心に響かなかったのか、分かるでしょう」という内容だったそうです。

出典 http://junklogg.jugem.jp

人の命の重さ。そしてそれを奪ってしまった責任の重さを、この裁判長は少年たちに伝えたかったのではないでしょうか。この事件はサラリーマンに4人の少年が絡み、そのうち2人が傷害致死罪に問われました。

謝罪の言葉を口にする一方で、彼らの主張は傷害致死ではなく、被害者が先に絡んできた過剰防衛と主張しました。口先だけの反省であり、人の命を奪うことは取り返しがつかないことなのだと、誠実に罪と向き合うことを促したのです。

さだまさしの「償い」という歌

月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた

人殺し あんたを許さないと 彼をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣き乍ら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった

それから彼は人が変わった 何もかも
忘れて 働いて 働いて
償いきれるはずもないが せめてもと
毎月あの人に仕送りをしている

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ 泣き乍ら走り込んで来た
しゃくりあげ乍ら 彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えてようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました
だから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもう あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」
 
手紙の中身はどうでもよかった それよりも
償いきれるはずもない あの人から
返事が来たのが ありがたくて ありがたくて
ありがたくて ありがたくて ありがたくて
 
神様って 思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの
やさしい人を許してくれて ありがとう
 
人間って哀しいね だってみんなやさしい
それが傷つけあって かばいあって
何だかもらい泣きの涙が とまらなくて
とまらなくて とまらなくて とまらなくて

出典さだまさし「償い」全文

赦しと償いについて深く抉るメッセージ

どんな人は過ちを犯さないとは限りません。中には意図せず、取り返しがつかない過ちを犯してしまう人もいるでしょう。

その時、その事実と真摯に向き合い、謝罪をし続けること、そしてそんな誠実な謝罪の先だからこそ、すべてを飲み込むような優しい赦しが生まれる可能性があるのだと。「償い」は伝えてくれてるのではないでしょうか。

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白うさぎ このユーザーの他の記事を見る

芸能ニュース、芸能ゴシップ好きの33歳女性。ブログをお休みして、最近はSpotlightでの執筆にハマる日々です。

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