記事提供:長谷川豊 公式ブログ

「新国立競技場の計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直す」

安倍総理の会見は、大阪の私の夕方のニュースでも速報で入れた。そうか…。本当にゼロに戻せたんだ。私は感慨深い気持ちであの会見を見ていた。

私が東京キー局にアナウンサーとして入社したのが1999年。今から16年前だ。1年目は夕方のニュースのリポーターの仕事もあったが、何よりやらなければいけないのは「夜勤」対応。

若手の男性アナだけで回すこの仕事は、毎回朝の5時までアナウンス室で待機せねばならず、体力的にも大変にきついものだった。

そんな中、入社2年目の4月から着いた仕事が私のその後を左右する、とても大きな仕事となる。

「社会問題や、一度起きた事件を、改めて追及して取材し直すコーナーを作ろう!」

私が担当することになった「インサイド・ウォッチ」と名付けられたそのコーナーは、のちに毎回のように視聴率10%以上をたたき出す大変な人気コーナーに成長していくのだが、

毎週毎週、私は重大事件の被害者家族、あまりにズサンに作られた公共事業の現場、医療問題に年金問題まで、毎日の取材をやる傍らで日本全国を飛び回る毎日となった。

先日のブログにも記した通り、毎日欠かさずにつけている手帳を紐解くと、私は日本全国、74ヶ所の無駄と思われる公共事業の現場を取材し、リポートをしてきた。

ある数百億かけて作られた高速道路を取材したとき、30分間カメラを回し続けて通過した車はわずか2台だった。ちなみに、対向車線はついに1台も車が走ってこなかった。

また、別のある高速道路は、「地元の有力議員が亡くなってしまった」という理解不可能な理由で「途中で作るのをやめてしまって」いた。

あるダム建設の現場では、「本当は嫌なのに、我慢して応援してきた我々の気持ちを考えろ!」と、日本国民の借金など1ミリも考えていない住民たちがシュプレヒコールを上げていた。

その横には、お腹のメタボリックなど1ミリも考えていない地元議員が脂ぎった笑顔でふんぞり返っていた。

「ダムを作らないといつ川が氾濫するか分からない!」

という理由で作り始められたダムは、計画当初から60年たった今も完成していないが、もちろん、川なんて一度も氾濫していない。台風、一体、何回通過したのだろうか?

「大都市だけ発展すればいいのか?私は違うと思うんですねぇ!」

そう叫ぶ議員バッジをつけている老害ジジィたちの元で、次々に作られた全国の空港は今や、日本国内で大小あわせて95か所に及ぶ(自衛隊の基地などは除く)。ほとんど利用者もいないにもかかわらず、

「空港を作ったのだから、飛行機を飛ばせ!」

と命令され、仕方なく飛行機を飛ばし続けた日本航空(JAL)は、2010年に破綻した。不採算路線が多すぎたことが、最大の原因だった。

森元総理が、安倍総理と会った後、記者団に愚痴ったらしい。

「国が『たかが』2500億を出せなかったのかね!」

さすが森喜朗である。こういう人だから、嫌われもするが、好かれもするわけだ。…何を言ってるかって?いや、これは森喜朗だから「カメラの前で言った」だけの話で…

言っとくが永田町も霞ヶ関も、こんな人間だらけだ。

10年近く、永田町界隈に、何日取材に行ったか。いったい何人と飲みに行ったか。

毎年、365日中、100日以上、あの界隈にいた私が言うのだ。もともとキー局にいた私のことを、連中は「仲間」だと思って気を緩めていたのだろう。ずいぶんと「本音」を語ってくださった人が多かった。

森喜朗を叩いているすべての日本人に伝える。

これこそが、日本の闇だ。

「たかが2000億じゃないか!」
「たかが500億じゃないか!」
「たかが1兆円じゃないか!」
「たかだか40兆円じゃないか!」

そう言って、経営感覚のひとかけらもない、受験勉強しかしてきていないプライドだけが高いバカ達の集まりが、毎年毎年90兆円を超える予算を組んできた。

自分たちはもう勝ち組なので。自分たちは偉くて勉強してきて努力してきたので、愚民どもが払えばいいだけの借金なので。

わずか30兆円か40兆円しか収入のない国で、「たかが50兆円程度」の借金だと、毎年90兆円をはるかに超える予算を組み続け、自分たちの予算という名の「お小遣い」をぶんどり続けてきた結果、日本は世界中が憐みの目で見る

超借金大国となった。

軍部が暴走し、誰も忠告も聞かず、マスコミも追及などしきれる訳もなく、戦争に突っ込んで行った70年前の日本から、日本は1ミリも前進していないし成長していない。

永田町と霞が関の「自称エリート」たちが暴走し、その「お仲間」である記者クラブのバカメディアが情報を流してもらうために本当に厳しい追及をあきらめ、

本当につっつきすぎるフリーの記者達は排除し、その情報に流されるままに「勉強し、汗を流して研究すること」から逃げた頭スッカラカンの国民が選んだ脂ぎったガマガエルの親玉が

単に森喜朗なだけだ。

あの程度のカエルは、永田町ではゲコゲコ、ゲコゲコと今日も裏では鳴きつづけている。そして、今日も日本のネット上では「森喜朗は老害だ!」と、森喜朗だけをスケープゴートにしたツイッターが出回り続けている。

森喜朗たった一人で1000兆円も借金を作れるわけがないだろうに。

それでも、私は感慨深くあの安倍総理の会見を見ていた。

今回、安倍総理がゼロベースに戻したのは、国民に追い詰められたからだ。支持率を回復するために、戦略的に「金曜日」の「あの3時半」に会見をしたのだ。

何を言ってるかって?

火曜日と水曜日に強行採決をしたのだ。その週のうちにゼロベースに戻せば、週末の高視聴率番組の数々で、叩かれるだけではなくなるのだ。「強行採決したが、一方で国立競技場の問題はゼロベースに」というトーンに出来る。被害が少なくて済むのだ。

なんで午後の3時半かって?簡単な理由だ。超高視聴率番組である「ミヤネ屋」が放送中だからだ、そこので生放送で触れてもらえるのだ。これでかなりの数の専業主婦にリーチ出来る。

私がブレーンにいても同じ曜日の同じ時間帯に会見をセットする。あれで正しい。あの時間帯であれば、夕方のニュースは全部トップで扱ってもらえるし。

が、逆に言うと、そこまで計算しなければいけない所まで追い込んだのは、日本国民だと思う。私は、国とは「国民が政治家の上に立たないと」いい方向に行かないと信じている人間だ。国民が政治家を上手く操ればいいのだ。そう思っている。

今回は、国にとっては『たかが2500億円』だ。私は森喜朗のその表現を否定しない。

しかし、この一歩が少しづつでも広がれば、日本全体を悪くない方向に持って行ける可能性が出てくる。日本の無駄な借金の現場を何百回も見てきた、歩いてきた私にとって、この2500億円は「たかが」ではないのだ。

いつの日か、この決断と行動が、本物のレガシーとなることを祈ってやまない。

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