記事提供:カラパイア

『プリズン・ブレイク』が始まって早10年。最近海外では『オレンジ・イズ・ザ・ブラック 塀の中の彼女たち』が話題となっているそうだ。

刑務所ライフはいつも魅力にあふれているように見えるが、ドラマでは口当たりがいいように多少色づけされているのが常で、おぞましい刑務所ライフの現実を描いてはいない。

数週間に渡る独房監禁など、実際の刑務所ライフは、私たちの想像以上にダメージが大きいものだ。テレビドラマは、多くの刑務所の恐ろしく高い再犯率には光を当てようとしない。

出戻りを減らすために、囚人がシャバで再び犯罪に手を染めない生活ができるよう、多くの国でさまざまなプログラムを工夫している。ここでは一風変わった10の刑務所更生プログラムを見ていくことにしよう。

1. ゲイ更生収容所(キューバ)

1960年代、キューバ革命後の革命政府は、日々定期的に市民を検挙していた。身分証のチェックと称していたが、政府に敵対するいわゆる革命にふさわしくないと判断した人物や、カトリック、エホバの証人などを次々拘束したのだ。

特にゲイの男たちに目を光らせていた。

このUMAP計画のもと、たくさんのゲイたちが、なんの理由も説明もなく逮捕され、電流の流れる有刺鉄線で囲まれた労働収容所に入れられて、サトウキビ畑での重労働に駆り出された。拷問されたり、病気で死に至ることもあった。

現代のゲイ更生収容所と基本的に同じで、こうした刑務所のモットーはこうだ。“刑務所はおまえを男にする”

2. 塀の中のラップ(ブラジル カランジル刑務所)

2002年に取り壊されるまで、ここは中南米一混雑の激しい刑務所だった。100人の囚人につき看守ひとりというありさまで、囚人たちは所内で自分の監房をレンタルしたり、物品の取引をしたり、結婚したりとやりたい放題。

しかし、この刑務所には非公式だがユニークなリハビリプログラムがあった。

カランジル刑務所はラップバンドの誕生場所としても有名だ。所内で楽器は使用できないが、囚人たちは、ビートボクシングやラップで暇をつぶす。

こうしてこの刑務所の中で結成された2つのラップグループが、レコード会社と契約し、テレビのトークショーなどに出演した。非公式なプログラムだが、囚人たちが怒りや攻撃性や欲求不満を解消する助けになっていた。

3. 自分の子どもと一緒に入れる刑務所(メキシコ ベッドフォードヒルズ刑務所)

1990年代、メキシコシティは、刑務所で生まれた子供も母親と一緒にいるべきという法律を定めた。

刑務所のようなところで幼い時期の数年を過ごす影響について議論される一方で、子供の人生にとって、やはり母親との最初の数年の絆は大切なものだという意見にも支えられた。

1950年代まで、アメリカの刑務所の施設として育児所はごく普通のことだったが、女性の入所数が増えたため(832%増!)、各州に育児所を作る余裕がなくなってしまった。

今日では、育児所がある刑務所は11州に留まっている。統計的には、自分の子供と一緒に服役する囚人ママのほうが、そうでない母親よりまた刑務所に戻ってくる確率は23%低いという。

4. なんでもこなす塀の外での労働作業(アメリカ ベリマー刑務所)

ナンバープレートの刻印や家具製作、吹雪後のボストンの雪かきまで、アメリカの囚人たちは幅広いさまざまな仕事に就いている。彼らの有用性は多くの州で安価で意欲のある労働力として重宝されている。

カリフォルニアでは、刑務所システムが保護施設を運営していて、囚人たちが州を越えて要請され、仕事に従事している。建設工事や、洪水を防ぐための土嚢を積み上げたり、有名なところではカリフォルニアの大規模な山火事の消火にあたったこともある。

オーストラリアでも、若者更生のために似たようなプログラムがある。ここでは、囚人たちは仕事を“宣告”される。仕事をして給料をもらい、その金で自分たちの部屋代を払い、給料の5%は犯罪犠牲者のための援助資金となる。

5. 自転車で発電作業(ブラジル サンタ・リータ・ド・サプカイ刑務所)

サンパウロ近郊にあるサンタ・リータ・ド・サプカイ刑務所の囚人たちは、環境に優しいエコという珍しい方法で社会貢献に協力している。これは、囚人たちが社会に貢献しながら刑期を減らすのを助けるために導入された、革新的なプログラムだ。

囚人たちが自転車のペダルをこぐとバッテリーが充電され、近くの町の街灯がともるようになっていて、24時間交代でバイクをこぐと、囚人たちの刑期が1日減るという仕組みだ。

囚人たちのダイエットにもなるし、電力不足で使い物にならなかった町の街灯がまた点灯するという一石二鳥にもなっている。

6. 修士号プログラム(アメリカ シンシン刑務所)

1998年に設立された芸術を通したリハビリプログラムは、囚人の認識行動を促し、再犯を減らすためのものだ。演劇のプロが一年間ノウハウを教えてくれ、囚人たちはスタッフやゲストのために劇を上演できるよう訓練を重ねる。

数年で、このプログラムが演じた囚人たちにいい影響を与えていることが確認された。

刑務所での高等教育のためのハドソンリンクは、囚人たちが大学教育を受けられるよう設立された。シンシン刑務所では、GED(一般教育終了検定)のない囚人は必ずひとつはとらなければならないことを義務づけている。

また、ここはニューヨークで唯一、準学士、学士号、修士号を得られる刑務所でもある。

7. 孤独を味あわせるための独房プログラム(アメリカ ペリカンベイ刑務所)

アメリカでもっとも古い刑務所のひとつ。ペンシルベニアにあるこの刑務所には、入所者を怯えさせるようなシステムがある。囚人に良心の呵責を抱かせるために、完璧に孤独にさせるのだ。

独房には空が見える天窓がたったひとつ。夜になると、そこから月の光が独房の中に注ぎ込み、この神の目が、囚人に後悔の念を起こさせるという。

23時間独房に閉じ込められ、1時間の休養というのが典型的なパターンだが、こうした処置が助けにならないのは驚くことではない。刑務所の安全に関する調査では、こうした孤独状態を経験して出所した囚人は再犯率が高いことがわかっている。

だがペリカンベイやアドマックス・フローレンス、サン・クエンティンのような刑務所には、いまだにこのような恐ろしいやり方が残っている。

8. 特権を与えるプログラム(イギリス ウォームウッド・スクラブス刑務所)

暴力的な犯罪者を更生させるために、イギリス政府は、例えばジムの会員資格、特別な本やテレビなどの特権を囚人にも与えるべしという法を定めた。

イギリスの刑務所システムは世界でもっとも“ゆるい”とされていて、まるで行楽地状態と批判を浴びている。法務省の調査によると、囚人の20%は自分が犯罪の償いをしているとは思っていないという。

9. ファッションショーの舞台に出る(フィリピン ブラジリア女子刑務所)

フィリピンのセブ州立拘留・更生センターは、見事なダンスステージが有名だ。リハビリの一環として、受刑者たちはスリラーから江南スタイルまで、ダンスステップを習って踊らなくてはならないことになっている。

また、ブラジリアの女子刑務所では、一年に一度、美人コンテストが開かれ、もっとも美しい囚人が選ばれる。受刑者たちは、全力を尽くしてメイク、ヘア、ネイルなど、すべてを完璧に仕上げて女神に変身する。

少なくともこの一日だけは、彼女たちは自分が受刑者だと思わなくて済む。

10. テクノロジー起業(サン・クエンティン刑務所)

受刑者の教育がどういう結果をもたらしているか、シンシン刑務所での例があるが、ここサン・クエンティン刑務所のプログラムは一歩先を行っている。

受刑者たちにインターネットの使い方を教え、堅気のビジネス原理について学んでもらい、企業家になってビジネスのアイデアを広げ、最終的には塀の外できちんと生活できるよう手助けするプログラムなのだ。

このプログラムのメンバーたちは、シリコンバレーの投資者やマスコミなどにアピールできるようなアイデアを考え出す。

人生を転換できる実社会でのスキルを身に着けてもらうためのこのプログラムは目覚ましい成果をあげていて、修了生たちはテクノロジーやメディアの新事業で実入りのいい仕事に就いている。

アメリカ人受刑者の75%以上が、出所後5年以内に再び刑務所に出戻ってくるという。アメリカは、ほかの先進国に比べて囚人数がダントツに多い。

絶えず変わる麻薬法や、実刑判決の執行がほとんどないせいだと言う人もいれば、更生して出所するよりも、刑務所がより快適で安全なところだと前科者に思わせるようなシステムのせいだという人もいる。

だが、超過密刑務所の維持にはコストがかかる。アメリカの刑務所システムの転換には、ウルグアイ、パナマ、その他131ヶ国のGDPを上回る金がかかるのだ。

これが完璧に功を奏しているようにみえるのがノルウェーで、世界一再犯率が低い国のひとつだ。受刑者たちは刑期を終えて出所すると、そのまま戻ってこない。

ノルウェーの刑務所は、修復的司法を利用して、受刑者のリハビリに努めている。ハルデン刑務所の例はその理由をおしえてくれる。

受刑者たちは、機械工場から接客までさまざまな仕事を覚えることを許され、できるだけ普通の生活を維持しながら、幅広い分野で活動できるようになっている。

出典:therichest

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