転校が原因で、いじめを受けていた28年前の私

私は小学生の時、転校が多いことが理由でいじめを受けていた。もう、28年も前の出来事である。

なんとか友達を作ろうと、いろいろ目立とうと頑張ったのがダメで、変に目立ってしまい、いわゆる不良グループから目をつけられた。詳しい内容は書きたくないのだが「毎日アザを作って帰っていた」と書けば、私がどういうことをされていたのかよくわかると思う。

母には小学校5年生で考えられる嘘をつき続けた

家では専業主婦だった母が帰りの遅い父の代わりに全ての子育てを引き受けてくれていた。帰れば母がいるが、顔のアザは消えることはない。毎日のように母は私を問い詰めたが、小学五年生の私は「電柱にぶつかった」と見え透いた嘘をつき、母親をごまかしたつもりでいた。

たまりかねた母が私にくれた一言

月日が流れ、私への行為はエスカレートしていた。

母もたまりかねたのか、私を部屋に呼び私に語りかけた。

「何をされているのかはわからないけど、もし、あなたを叩くような人がいたなら、叩かれても、何されてもとにかく笑いなさい。泣くから面白がってどんどんやってくるんだよ。笑いなさい。笑えば叩いても面白くないんだから叩くことを止めるはずだから」

不思議だった。

なぜ、叩かれていることがわかったのか、なぜ、笑うと止めてくれるのか、泣いてはいけなかったのか、全てが不思議だった。

しかし、毎日の行為で感覚が麻痺していた自分は「とにかくこの状況から抜け出したい」という一心しかなかった。

私には、それを実践するしかなかった

そこで、早速、翌日、いつも通りからかわれ、叩かれた時に「ニコッ」と笑って見せた。

相手も小学生、最初は「なんだコイツ」と、ますます叩かれたが、私には、笑うしかなかった。とにかく笑った。叩かれても、蹴られても倒されても笑った。

すると「気持ち悪いなコイツ。おい、行こうぜ」と、親分のヤツが言って、その場を立ち去ったのだ。

信じられなかった。

笑うことで相手は「気持ち悪い」「つまらない」と思うらしく、それを機に私への行為が一切なくなったのである。信じられないが本当のことである。

今に生きる「つらい思い」

私はこの経験を、今の仕事に生かしている。

「辛い思いは決して無駄にならない」「辛い思いをした人だけが、人に優しくなれる」

そう、繰り返して生徒に話している。
私の壮絶ないじめの詳細はもちろん語ることはないし、母の一言を紹介することもない(そういう話が生々しすぎて、体調を崩す生徒がいるため)。私の心の中にしまっておくべきモノであるが、正直、こういう思いをして、生徒のためになったと思う場面が非常に数多くあるのが事実だ。

思っている以上に、つらい思いをしている生徒は多い。しかし、私もそれ以上につらい思いを経験してきた。全く理解することは難しいかもしれないが、多少、その気持ちがわかるのである。それが生徒にとってどれだけ救いとなるか、何人もの生徒の相談を受け、私の話をすることで生徒が「先生も大変だったんだけど、頑張ってるんだな」と思ってくれれば、決して昔のつらい思いは無駄にはならない。

「その瞬間だけ見て、自分の存在意義とか価値とかを否定的に見るのはやめよう」

そう話すことにしている。生徒はどうしても、物事を長期的に見ることができない。だからこそ、我々大人がそういう見方を教えてあげるべきなのだと思う。

私にとっては、もの凄くつらい思い出であるし、決して忘れられないトラウマであるが、でも、それが今に生きているのも事実である。あのとき、全てをあきらめなくて良かったと、今だから思えるのだ。

ちなみに、いじめの6年後(高校2年の時)に、いじめっ子に聞いてみた

高校2年の時、近所のショッピングセンターで、私をいじめていた一人を見つけた。小学校6年生でいじめは終わったので(2年続いたが・・・)かなり久しぶりに話をするのだが、

「俺のこと、いじめてたの覚えてるか?」

と聞いてみたら、そいつは

「え?そんなことあったっけ?」

だって。そんなもんだ。いじめというのは、「悪気」が無い場合が多いという。からかってるつもりだけなのだ。しかし、私はいじめを受けた経験者として、どれだけやられた方がつらい思いを受けるかを身を持って体験している。

だから、もし、「軽い気持ち」であっても、からかいは絶対にしてはいけないし、暴力などもってのほかである。こういうときは自分の経験を話しながら「絶対ダメだ」と強く話すようにしている。

「人がどう感じるかを考える」

こういうことを通じて、人は大人になっていくと思う。私の経験が生徒達の心の成長に少しでも役に立てば、泣いていた昔の私が、少し笑うのだ。

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