記事提供:しらべぇ

「あくどくて美味とはいえないが、なるほどエビとカニとを合せたような、そうしてそれより下品で、それを食っていたら身体に何ごとか起りそうなかんじのする味」

出典短編集『アメリカン・スクール』

これは、芥川賞作家・小島信夫による短編「鬼」(短編集『アメリカン・スクール』に収録)の一節だ。ずばり、ザリガニを食べた際の感想である。こんな気持ちにさせるザリガニを実際に食べたことがあるという人は、一体どれくらいいるのだろうか?

■ザリガニを食べたことがありますか?

20代~60代の男女計1666人を対象にしたこちらのアンケートは、以下のような結果となった。

1割以下ということで、少数派といえる。経験者が少ないからこそ、より興味深い。ザリガニの“体に変化が起きてしまいそうな味”とは、どのようなものなのか?そこで、中国・広州にある専門店にて、実際に食してみることにした

■中国名「小龍蝦(シャオロンシャ)」

日本名「ザリガニ」。中国では5月頃から、路地や店先で大きな中華鍋に豪快に放り込まれている光景が見られるようになり、7月はまさに旬

油のたぎった巨大な中華鍋に15kgもの生きたザリガニ。放り込んでしばらくはもがき苦しむように動いているものの、大量の「十三香」なるミックス香辛料が入ると、強靭な生命力を誇るザリガニもさすがに息絶え、ただただ煮込まれるだけになる。

1回の調理に費やす時間は約1時間。愛称「マッカチン」の名の通り、真っ赤である。できあがった「小龍蝦」は500gで58元(約1160円)。今回は初体験なので、8匹(約640円)だけ購入する。

近所にはザリガニの友人「タニシ」も売られていたので、お椀1杯ほど(約100円)買い求めた。

■たったこれだけ?

硬い殻を、指を傷つけながらなんとか剥き終わると…。

そこには、ハサミを含む体長(約15cm)から得られる期待感を裏切るような、小指(約3cm×1cm)ほどの身が。同サイズのエビと比べ、食用部分(およびミソ)は半分にもならないだろう。「徒労」の文字が頭をよぎる。

気を取り直し味わってみると、香辛料が効き過ぎており、そのものの味がわからない。「あくどい」味なのかどうか、判断が難しいのだ。しかし、これ自体は美味しい。辛さをビールで洗い流し、今度はタニシに挑戦してみよう。

小指第一関節ほどの大きさのタニシ。貝の頂点は切り落とされており、炒め煮の汁が中までしみ込んでいるようだ。さっそく楊枝で身を取り出す。クルンと出てきたそれは、1cm程度だろうか。ひと噛み、ひと飲みでたちまち終わってしまう。

少々「地球の味(earthy)」がしたが、それも一瞬のこと。一緒に炒められたにんにくの味でかき消されてしまう。

池や沼に生息するザリガニ、タニシ。これらの味は決して悪くなく、ただ食べ慣れていないだけなのかもしれない

しかし、お腹を満たすだけの量を得るには、費用はもとより、「硬い殻を剥く」「楊枝でちまちまと身を取り出す」などの、まさに「身体に何ごとか起りそうなかんじ」の労力が必要なのである。

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo
調査期間:2015年6月19日~2015年6月22日
対象:全国20代~60代男性計1666名

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