TPP交渉のなかでも日本国内で関心が高い「非親告罪」が適用範囲に制限をつけたうえで導入されることが決まりました。

複数の交渉関係者は、著作権侵害の非親告罪化の扱いについて、「TPP交渉国で制度がないのは日本とベトナムの2カ国だけで、導入の方向は避けられない」と指摘。適用範囲に一定の制限を加えて韓国が非親告罪化を受け入れた米韓自由貿易協定(FTA)に沿った形で調整していることを認めた。

出典 http://www.jiji.com

著作権が非親告罪化されると何が変わるのでしょうか。親告罪から非親告罪になることにより、著作権侵害があった場合は作者の訴えがなくても警察や検察が捜査、起訴できるようになります。

日常の何気ない行為でも著作権侵害で訴えられる可能性が出てくるのです。

仕事でコピーすることもNG

たとえば、「会社で雑誌の自社に関する記事をコピーして配る」「業務のため参考HPをプリントアウトする」という日常的に行っている行為でも、第三者の告発によって捜査されることになります。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

あらすじも書き方によっては著作権侵害に

ごく短いものであれば現行法上でもお咎めなしですが、ある程度ストーリーに踏み込んだり、具体的なセリフを多く再現していると著作権侵害になります。

一話だけドラマを見忘れてしまった時など、内容を詳しく紹介してくれるサイトがあると助かるのですが、そういったサイトも処罰の対象になるということです。

著作権者の権利が守られるならいいんじゃない?

それならコピーしなければいい、ネタバレは書かなければい、ついでにパクリサイトも訴えられて良いことじゃないかと思う人もいるでしょう。しかし、非親告罪には明確なデメリットもあるのです。

国際収支の赤字が拡大する

TPPには「著作権侵害の非親告罪化」のほかに「保護期間延長」があります。

米国や欧州の有力国は古い作品の輸出で食っていますから、他国が保護期間を延ばせば入るお金が増える。しかし、日本が強いのはアニメやマンガなどの比較的新しい作品ですから、保護期間が死後70年に延びたところで収入は増えず、支払いだけが確実に増加します。

出典 http://diamond.jp

日本の著作権使用料はじつは大幅な赤字。2014年には過去最大の8000億円の赤字を記録しましたが、これが拡大あるいは固定化するのは間違いないとみられています。

収入が増加するのはごく一部の人気作品のみ

知名度の低い作品は市場に流通しないのでほとんどの遺族にとっては収入になりません。

収入が増えるのはごく一部の人気作品のみですが、それらは既に充分な利益が出ています。1%にも満たない人気作品のために残りの99%が死蔵されるとしたら、そちらのほうが問題ではないという話なのです。

テレビ番組がDVD化できなくなる

劇場用映画は出演者一人一人の権利処理をしなくても二次使用できるような解釈になっていますが、テレビ番組の場合は出演者全員の了解を取らなくてはいけません。

子役などは数年で引退してしまうことも多いため、連絡先がわからず許可が取れなくなってしまうのです。

何百人もいる出演者のなかで1人、2人が見つからないというだけで番組自体がお蔵入りいうことにもなり得るのです。

著作者の意志が反映されない

いままででも本当に悪質だと判断したものは容赦なく告訴されてきました。著作者は自身が悪質だと思わないものまで処罰してもらいたいとは考えていません。

同人誌文化が根付いている日本では、自分の作品を広く知ってもらうために二次創作やパロディを容認する著作者も多いのです。

著作権保護期間が延長されると、青空文庫のような無料の電子図書館アーカイブも作品の許可を取る必要が出てくるので経費的に立ち行かなくなります。作品が人の目に触れる機会がどんどんなくなってしまうのです。

日本の著作権法の問題

こうした背景には日本の著作権法が厳しすぎるという問題があります。

著作権侵害というのは、刑事罰があるんですね。犯罪なんです。最高で懲役10年、あるいは1000万円以下の罰金という、国際的に見ても、重い法定刑が科されている。しかしこれは、親告罪なんです。権利者が悪質だと思って、告訴をしない限りは起訴・処罰をすることはできない。

出典 http://blogos.com

日本では路上でマリファナを売るよりも著作権侵害のほうが重いそうです。現状の著作権法のまま非親告罪化するとどうなるのか、考えただけでおそろしいですね・・・。

ある著作権に詳しい法律家は、日本の場合、ほとんどのケースで著作権法違反の対象となってしまうと述べています。そのため、親告罪、非親告罪関係なしに、著作権法をしっかり見直すべきであるという議論があります。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

日本側にはメリットが感じられず

TPPっていうのは「アメリカのものにしようよ」と言って来ているだけの話なので、生態系を壊されることは間違いないと思うわけです。もしも仮に、これで妥結してしまったとしたらどうするか。あるいはその前に、我々が上げるべき声はなんなのかっていうのがギリギリ場面であるから。ここでちゃんと声を出さなきゃいけないだろうと、僕は思いますけどね。

出典 http://blogos.com

自分たちに何のメリットがあるかわからない中で、社会的コストを高めるような制度を、なぜ取り入れようとしているのか。明瞭に得すると言えるのは、ごく一握りの米国コンテンツ企業のみでしょう。それらのロビー力が強いというそれだけの理由で、導入されようとしていることになる。

出典 http://diamond.jp

アメリカにはフェアユースという法原理があります。これにより「著作物を公正に利用するなら著作権侵害にはならない」のですが、日本にはそうした決まりがありません。

非親告罪導入後のコミケや同人誌の未来を心配する方も多いことでしょう。

政府がどのような“柔軟性”をもって適用していくのか、日本の文化を守るために私達は注視していく必要があります。

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華蓮 このユーザーの他の記事を見る

子供の頃から不思議なものを見つけたら調べずにはいられない性格。ちょっと恥ずかしがり屋なのはご愛嬌。一般の人が知らない「面白い」を探すのが私の喜びです。

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