衝撃の経験

もう、何年も前の話です。
不況の煽りを受け、思いがけず夫婦で失業したものの、何ヶ月も全く仕事が無かったという時期がありました。

それまではある程度余裕のある暮らしをしており、当然預金はあったのでそれを取り崩しながら生活をしていましたが、その間にも仕事は無いばかりか様々なトラブルに見舞われているうちに、遂には預金まで底を尽き始めるという恐ろしい事態に陥った経験があります。

その頃、やむなく初めて行政の家賃支援を2ヶ月程受けた事がありました。
そして、生まれて初めて『貧困』という経験をした私達は、社会の恐ろしい実態を知る事になったのです。

生活困難者という弱者

それまでは収入も良かった我が家。居住していた住まいも家賃は周囲よりもやや高額でした。一定期間収入が無いという経験も初めてです。

それまでの自分達の世界が当然『普通』の世界なので、この高額な家賃を以て行政に申請しました。そして、生まれて初めて驚きの対応を受けるのです。

「こんな高い物件に住んで何考えてるの?」
「こんな贅沢してたらお金無いに決まってるだろ!」
服装などもじろじろ見られ、それも非常に不愉快で全く未体験の扱いなのです・・・。

今まで何年もずっとそれなりの収入であり、問題無く生活も預金も納税も出来ていた事、分不相応な生活をしていた訳ではない事や、やむない事情で収入が絶たれている事を説明し、過去の収入証明や通帳などを提示しますが、まったく取り合ってくれません。

この時初めて、過去にどんなに高額納税をしても、いざ困った時には救済される部分はほとんど無いのだと感じました。
そして、弱者になると、こんな扱いをされるのか、と初めて知り衝撃を受けたのです。

<今回の担当者は、上から目線の話し方で、「実家では援助できないんですか?」とか、「仕事ができないほどの病気ですか」等々言われているうちに、貧乏がこれほど恥ずかしく、世の中のお荷物なんだと実感させられ、生きていても仕方がないんではと思いさせられました。せめて、仕事でもできたらと、悲しくなりました>

出典 http://diamond.jp

生活が困窮しながらも生活保護を申請しない理由として役所の対応を理由に挙げる例として引用させて頂きました。

実際に生活できるレベルの支援が受けにくい

この経験で、今までの自分には全く無縁だった『生活困難者』『貧困層』の支援の実態をいろいろ調べてみるに至ったのですが、驚きの事実に次々遭遇していく事になります。

一般的に良く聞く『生活保護』に至っても、実際に受給出来るパターンは相当限られており、その条件は非常に厳しいようです。

実際には受給が困難な生活保護

福祉に助けを求めても生活保護の受給はなく、就労の機会がないという言葉は聞き入られることなく「就労可」といって切り捨てるわけだ。ホームレスゆえに住民票などの書類がない(用意できない)こともお役所的仕事を助長させるわけだが、記事を読んでいて、ついに「ホームレス的棄民のようなホームレス的死」が「在宅」の市民にも広がったか、という印象を受けた。ホームレスであろうが在宅であるが、いずれにしても行政と社会による「殺人」といってもいいだろう。昔はホームレスが最下層で殺されているという認識で、他の被差別者に対して社会は、多少は守られなければという認識があるような気がしていたが、いまや全くの幻想であると知る。

出典 http://dr-stonefly.at.webry.info

住居があるだけで、生活に困難を極めても実際には行政からの支援が得られない、実態は路上で生活するホームレスと変わらない生活を送る人の記事がかかれており、そこから引用させて頂きました。
2006年の記事ですが、この時点ですでに問題視されていた事に驚きます。

知人Aさんの場合

知人のAさんは、母親の介護の為にやむなく職を離れました。離職当初は母親の年金や自分の預金などで生活費や介護費用を賄っていましたが、母親の介護は予想以上に長引き、費用もかさんでしまい、次第に生活も困窮するようになっていきます。

頼れる親族もいない為、Aさんは生活保護の受給を考えるようになったそうです。福祉課を訪ね、いろいろ相談してみましたが、驚く事実を提示されます。

◎持ち家であってはいけない
◎車を所有してはいけない

この2点が受給資格に反してしまい、Aさんはやむなく申請すら断念しました。
ちなみに、Aさん自身も介護による無理が続いて体調を崩す日が増え、通院するようになっていました。

更に、足の悪い母親の通院や郊外の親類を訪ねる際にも車は必要なものです。
自宅も、父が遺してくれたもので、当然手放すわけには行かず、非常に理不尽だと感じたそうです。

この2点は財産として、売却するものがあるという観点から、受給条件を満たしていないという事になったのですが、母親の介護や生活に必要なものまで所有してはいけないという事実にAさんはショックを受けたのです。

生活保護を受ける前に、利用できる資産があれば売却するなどの方法で生活費に充てることが優先されます。
(資産の例:土地不動産・預貯金・生命保険・自動車など。)

出典 http://seikatsuhogo.jp

ライフラインが途絶えるという人も

持ち家がある為に申請ができず、ライフラインが途絶えてしまうという方は結構多いようです。持ち家と一言で言っても、実際にはすぐに売却できない場合もあります。

リフォームをしなければ売り手が付かない物件や、更地にしないと売れない物件など、生活が困窮した立場では難しい出費をしないと売れない事情があっても、理解されない事も多いのです。

そして、居住場所は確保できていても、使用料を払う経済力が無く、電気やガス、水道などが止まってしまい、家がありながらホームレスのような状況に陥るのです。

給与が出るまでのほんの数日電気が途絶える、ガスが切れる、などの場合はまだ良いと思います。
身体上の事情などで就労が難しく、基本的な収入が見込めない人など、最悪は孤独死を迎える人もいるのです。

一方で不正に受給する人も・・・

生活保護費など516万円不正受給容疑…57歳アルバイト逮捕

出典 http://www.sankei.com

離婚を偽装し、生活保護を不正受給 容疑の元夫婦を逮捕

出典 http://www.saitama-np.co.jp

生活保護不正受給容疑で逮捕 盛岡東署、収入届けず

出典 http://www.iwate-np.co.jp

厚生労働省は9日、2013年度の生活保護費の不正受給が4万3230件に上り、過去最悪を更新したと発表した。前年度から1321件増えた。金額は前年度から約3億6千万円減の186億9033万円だった

出典 http://www.nikkei.com

これだけの不正があるのも驚きですね。

実際に問題が起こると生きにくい国

冒頭に書いた自分の経験から興味を持ち、周囲の様々な人の経験談、ネットや新聞での情報を見ているうちに、何不自由無く暮らしている時は問題は無いのですが、ほんのちょっとのアクシデントで収入が途絶えてしまうと、非常に生きるのが困難な国であると気づきました。

特に、支援制度の申請などに携わっている人の対応にはショックを受ける方は多いようです。
また、実際に利用できる支援制度が無いのも驚きです。

裕福に暮らしている方でも、倒産や病気、怪我による失業、介護による離職など、一時的に困窮する事は誰にでもいつ起こるか判りません。

本当に必要な時に利用できる制度を整える事も重要ですが、デリケートな問題だけに、そういった担当者には、精神的にも配慮の出来る人材の選別が必要だと感じます。
私も今後もまた、様々な機関にこういった矛盾や問題を提起し続けていきます。

親身に対応して下さる行政の方もいるようですが、福祉の仕事というのは、弱者を精神的にいたぶって追いつめる職業ではない筈です。

ただでさえ、失業や病気といった事情から生活が一変するという事は、非常にショックなものなのです。

人生につまづいてもあなたは必要な人です

出典 http://www.gettyimages.co.jp

失業などから来る生活の困窮は誰にでも起こりうる事です。
どんな対応をされても、毅然としていましょう。

経済力だけであなたをさげすむような人間は、心が貧しいのです。一時の貧困状態は解消可能ですが、心の貧しさはそうそう解消されません。

つまづくのはほんの一時の事であり、誰にでも起こりうる事で、あなたが不要な人間であるという事ではありません。
人生の中の、ほんの一瞬だけの事で、あなた自身の価値は変わらないのです。

この記事を書いたユーザー

石井ロージー このユーザーの他の記事を見る

音楽業界を経て、フリーのデザイナー兼ライターを生業にしております。ポジティブに解決したトラブルや実体験ネタを中心に書いています。8歳下の夫と愛犬の気ままな3人暮らし。音楽好きのゴシック好きの和服好き。オカルトも大好きでございます。好きな作家は芥川龍之介、詩人は中原中也☆

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