記事提供:子ある日和

訳あって母ひとり子ふたりの「母子家庭」な我が家。

母子家庭となった当時、長男は6歳、次男はまだ2歳だった。

運良くすぐに仕事が見つかり、二人とも保育園に入れることができたけれど、シングルマザーとしてフルタイムで仕事をこなしつつ子供の面倒を見てしつけも教育もして、そして日々の家事の切り盛りをしていくのは、並大抵のことではなかった。

文字通り、その日その日を何とか乗り切って行くのが精一杯。

あれも、これも、中途半端な気がして後ろめたい毎日。もっと時間をかけて丁寧に子育てしたいのに…。

長男が小学校に上がってしばらくしたある日、夕食の席で彼がぽつんと言った。

「うちは晩ご飯遅いよね。みんなは夕方6時ぐらいにはもうご飯終わってるんだって。今頃みんなゲームしたりテレビ観たりしてるんだよ」

どんなに一所懸命仕事を切り上げて帰ってきても、長男を学童に迎えに行き次男を保育園に迎えに行っていたら、家に着くのは夜7時近くになってしまう。

それから二人をお風呂に入れて、朝下ごしらえしておいたおかずを仕上げたり温めたりしていると、夕食はどうしても7時半になってしまう。

その後は宿題を見てやったりおけいこごとの練習をさせたりする。あっと言う間に9時を過ぎる。テレビやゲームをしている暇などありはしない。

「今ね、○○っていう番組が流行ってるんだって!お母さん、知ってる?」

「みんな3DSとか持ってるんだよ…。でもうちは買わないよね?」

無邪気な長男の言葉が心に刺さった。

次男のことも心配が尽きなかった。

シングルマザーになって以来、次男は2歳からずっとほとんど「ほったらかし」の状態になってしまっている。

長男の時には手間暇かけて教えたり一緒に遊んだりすることで自然にできていた「お母さんとして当たり前」のしつけや教育が、全然できていないと毎日自分を責めていた。

保育園から「工作やお絵かきが苦手なのかな?」「なかなか自分でトイレに行けませんね」などとやんわり言われただけで、罪悪感で涙が滲んでしまうほどだった。

とにかく無我夢中だった何年かが過ぎ、気がついたら長男は中学生、次男も小学校の高学年。

長男は自分がどうしても行きたいと言って受験した中学に見事合格した。

不器用で行動が遅いと言われていた次男は音楽に喜びを見出しそちらで伸びていこうとしている。

相変わらずバタバタとした毎日だけど、「子育て」自体は本当に楽になった。

そして何よりも、子供達と過ごす時間が楽しくなった。

夕食の時間は相変わらず遅いけど、3人であれこれ今日の出来事を話したり、最近のニュースについて議論したり、今度の夏休みの計画について好き勝手言ってみたり、

そんな何気ない会話を息子達と普通に交わせることが楽しく、そしてちょっと不思議な感慨がある。

まだまだ子育ては終了したわけではないけれど、一つのステージを超えたという確かな感覚を持てるようになった。

以前は子供達を目の前にしたら、責任感で身動きが取れなくなって、罪悪感に苛まれて、どうしようもなく追い詰められた気持ちになることが多かったのに、いつの間にかそんなこともなくなり、自然な余裕も生まれた。

私が体力的に辛そうな時は、子供達がいろいろと手伝ってくれるようにもなった。

子供達は、単に成長しただけではなく、この境遇の中でお互いに当たり前のように手を差し伸べ合って協力していくことを少しずつ学んでくれたんだと思う。

子育ての本格的な終了まであと何年だろうか。

息子達は時々「高校卒業したらこの家から出て行くのかな?それまでに料理はできるようになっとかないとね!」

なんて話し合っている。

そんな子供達に、私はいつも笑いながら「今までありがとう。あとしばらく、よろしくね」と言っている。

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