"ライパチ"という言葉を知っていますか?

野球ファンの方であれば、ライパチ(守備位置はライトで打順は8番)という言葉にはあまり良いイメージを抱かないでしょう。

ライトといえばもっとも守備負担が少ない守備位置で、8番といえば打線の流れに大きな影響を与えない打順です。すなわち、守備が下手で打撃もへぼな選手が与えられるポジションと打順であり、言ってしまえばチーム内において攻守ともにドベの人間に与えられる役割なのです。

したがって、「ライパチくん」といえば下手糞の代名詞のように言われることもあります。

"ライパチ"イチロー!?

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シアトル・マリナーズ時代のイチロー選手はライトの名手として知られていましたが、打順は打線の要となる1番2番3番の上位打線を任されていました。「1番ライトイチロー」が私達日本の野球ファンには馴染み深いものでしょう。

しかし、ニューヨーク・ヤンキース移籍以降のイチロー選手は下位打線を任されることが増えました。一方、守備位置は依然としてライト…というわけで、"ライパチくん"イチローが誕生したのです。

イチロー選手とて人間です。40歳を過ぎるとフルシーズンを戦うことはなかなか難しいものです。マーリンズ移籍以降はライパチどころか代打での起用も増えています。40歳過ぎの選手がライパチや代打へ、下手をすると「終わった選手」として扱われてもおかしくありません。多くの名選手達がこのようにして衰え、活躍の場を失い、やがてフィールドから姿を消していったのですから。

しかし、ここからがイチローという野球選手の本領発揮でした。「終わった」という評価を覆すに留まらず、全米の野球ファンが驚愕するようなパフォーマンスを見せ続けているのです。

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年齢という壁を越え…新語「ichiroing」登場

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ライパチであれ、代打であれ、驚異的なパフォーマンスを披露し続けるイチロー選手。私たちファンは年齢という大きな壁を意識してしまいますが、イチロー選手は自らのプレーで「壁」は乗り越えることができるものだと教えてくれました。そんなイチロー選手に対する賛辞の言葉は尽きることなく、ついに「イチロー」が動詞化されることになってしまいました。

41歳のシーズンもこれまでと変わらない「らしさ」を見せ続けているマーリンズのイチロー。地元フロリダ州マイアミ発の新語が全米に広がりつつある。それは「ichiroing」。

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「51番、どんなことを見せてくれるんだ! 私はイチローイング(ichiroing)と呼ぶことに決めました。それしかない。四球を選んで、盗塁する。これぞ、イチローイングですね」

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解説者のマーリンズOBプレストン・ウィルソン元外野手

 「ichiroing」という単語は、イチローが見せるプレーそのものを指す名詞だけでなく、内野安打を打つという動詞としても使われている。

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イチローの活躍が右翼守備に対する評価を変えた

強い肩と速い足を兼ね備えたイチロー選手が右翼の守備についているという事実は、試合の中においても重要な意味を持つようになります。そして、そうしたイチロー選手の守備に対する評価は、これまで軽んじられてきた右翼守備の再評価へと繋がることにもなったのです。

外野手は強い肩と速い足が必要です。中でもセンターよりもライトが特に長けている必要がある能力があるとすれば、送球の正確さでしょう。ライトはバックサードとバックホームの際に他の外野手よりも格段に重要なスローイングを強いられます。要因として、サードまでは単純な距離が遠く、サードコーチャーとライトの距離が遠いため、積極的な指示がなされやすく、またランナーは背後に打球が飛んでいるためその判断に従うケースが多くなるということがあります。

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そこで、送球が正確なイチロー選手がライトのポジションに着くことで、ランナーをアウトにできるケースが増えるのみならず、進塁を諦めるというケースが出てきます。また、メジャーはどうかあまり存じてませんが、近年のライト重要説の高まりのひとつの要員として、左の強打者の増加も一つの要因に挙げられると思います。

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外野手に対する認識を変えてしまったイチロー

そんな常識外のプレーで全米を魅了し続けているイチロー選手ですが、そのキャリアを通じて野球界に大きな変革をもたらしています。

冒頭でライトの守備は軽んじられていると書きましたが、実はかつての野球界においては外野手そのものが非常に過小評価されていました。昔は球場が狭かったこともあり、外野手は肩が弱かろうが守備が下手糞だろうが打撃力さえあればOKという風潮だったのです。しかし、球場の大型化に伴い外野手の守備負担も増し、肩の強さと守備範囲の広さが求められるようになりました。

 そういうときに天才イチローが出現し、各球団は「外野手は打つだけでいい」という安直な考えから脱却するようになっていく。

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「打つだけでいい」存在であった外野手が、今では走攻守の三拍子揃ったオールラウンダーも珍しくありません。そうした変化が起きるきっかけの1つが、イチロー選手の大ブレイクであったとする見方があります。イチロー選手の目覚しい活躍により、外野手の価値が見直され、その重要性が再認識されることになったのです。

'93年まで外野手のドラフト1位指名は少なかった。それがイチローがブレークした'94年以降、目に見えて多くなった。'99年までの6年間では、次の5人が1位指名されている。

大村三郎・現サブロー('94年ロッテ)
中村豊('95年日本ハム)
今村文昭('95年オリックス)
高橋由伸('97年巨人)
田中一徳('99年横浜)
 
イチロー効果と言っていい。広い球場で外野を守るためには、脚力があって肩が強く瞬時の状況判断ができる選手が必要、そういう選手には外野としての長いキャリアが求められる。そういう野球観の移り変わりが昨年のドラフトに強く反映されていると思った。

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「壁があるときはチャンスだと思っている」

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壁というのは、

できる人にしかやってこない。

超えられる可能性がある人にしかやってこない。

だから、壁がある時は

チャンスだと思っている。

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イチロー選手の言葉

私たちはすぐに「もう駄目だ」「これは無理だ」と考えがちですが、イチロー選手にとっては「常識」や「無理」を覆すことが当たり前となっているようです。これからもイチロー選手のプレーに大注目です。

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