最近、拒食症の記事を何件か書かせて頂いた。その度に思うのは、イギリスでも拒食症は深刻な問題だと実感せざるを得ないということだ。特に10代の拒食症が目立つ。

拒食症は一種の精神疾患だが、10代の子供に起こりがちだという事実をイギリス人の親も把握すべきだろうと思う。一緒に住んでいて、気付いた時には餓死寸前というのは明らかにおかしいと思うのだ。そういう出来事がつい最近、起こったのである。

去年まで健康だった時のベス

出典 http://www.dailymail.co.uk

写真を見て思うのは「健康的な10代の少女」だ。子供らしいふくよかさと、愛らしい笑顔。イギリスのブリストルに住むベス・オブリエン(14歳)はダイエット前までは、イギリスサイズで8か10だった。

イギリスでサイズ8は、日本のサイズ9号ぐらいだ。まさにちょうどいい体型だったのである。

スマホのアプリに夢中に

出典 http://greatist.com

ベスは2015年の新年早々、ダイエットを決心した。家族は最初は少し痩せたいと思うぐらいだろう、とあまり気にしていなかった。しかし、スマホのアプリにハマったベスは、部屋に閉じこもり、YouTubeでエクササイズを始めほとんど家族と食事をしなくなった。

1月から4カ月経ったころ、家族はベスが急激に痩せている様子を見て心配し始める。そして彼女をGP(クリニック)に連れて行った母フラン(37歳)。そしてGPの医者からブリストルの子供病院へまわされたのが5月だった。

健康だった生活からチューブ生活に

出典 http://www.dailymail.co.uk

子供病院で診察を受ける頃には、既に全く食べ物を口にしなくなっており、入院が必須とされた深刻な状態だったベス。まさに餓死寸前状態だったという。しかし病院のベッドの空きがないことから入院を続けるのは困難とされ、15日目には退院を余儀なくされた。

しかし、鼻にチューブを通して食べ物を体に入れるという条件で家に帰されたのだ。

「病院はもっとできることがあるはずよ!」声を荒げる母

出典 http://www.dailymail.co.uk

今回、無理やり自宅に帰されたことで、怒りを露わにする母。「入院しなければ、ちゃんと治療してもらえないわ。娘はあやうく餓死寸前だったのよ。チューブを通すだけじゃなくて、他に治療法があるでしょう。」

しかし、この母の怒りを疑問に思う筆者である。病院に怒るぐらいなら、なぜ、一緒に住んでいながら、娘が痩せて「餓死寸前」になるまで病院に行かなかったのか?

母のフランは言う。「ベスは見る見る痩せていったわ。体力なくて、倒れそうになっていたこともあったわ。だって全く食べないんですよ。食べない、んじゃなくて、食べることができなくなっていたんだと思います。」

「食べようとしても頭の中で食べるな、っていうメッセージに強迫されていたんじゃないかしら。」ここまでわかっていながら、重度の拒食症と気付かなかったのはなぜか。

拒食症は精神疾患だが、重度になると死を招く。実際に、イギリスで拒食症が原因で死ぬ人の確率は20%だという。決して少なくはない。

出典 http://www.gettyimages.co.jp

フランはこれまでのベスの異常な行動を振り返る。「ある日、熱湯を注いだマグカップを持ってフラフラしながら立っていたわ。何してるのかと思ったら、自分の体を温めていたのよ。」

「全く食べなくなってから、ますます体力が無くなっていったわ。病院でチューブを通してもらわなければ、娘は死んでいたわ。」

母が病院側に怒っているのは、入院してちゃんとした治療が必要であろう娘を家に帰したこと、自分が何十件も青少年のヘルスセンターに電話をかけて、自宅近くの施設を見つけなければいけなかったことである。

しかし、ここまで放っておいたのはある意味、家族の責任ではないのか?と思う。一緒に食事を取らなくなって5カ月。その間、親は、姉妹は何をしていたのだろう。ただ、心配していただけなのだろうか?

一人暮らしの女性が拒食症に陥って、自分がそうだと気付くまでに時間がかかるのは理解できる。周りのサポートがないからだ。ベスには、おかしいと感じて、注意してくれる人がいたにも関わらず、5カ月の間に痩せ細り餓死寸前になるとは。

ベスには、18歳の姉と生後8か月の弟がいる。新生児の世話に追われ、忙しい毎日だったのだろうが、大事な思春期にこのように体調を酷く崩してしまっていた娘を、5か月間も見逃していたのは言いわけにもならないと思う。

一旦このように深刻な拒食症になってしまうと、当然、体のバランスが崩れ成長に必要なホルモンも分泌されなくなる。10代の女の子は周りがどうだとか、見た目がどうだとかですぐに痩せようとする。

しかし、それを注意して見守るのが親の役目ではないだろうか。今回、「親として役立たずに思う。」とコメントした母。その通りだ。全く役に立っていないではないか。

出典 http://www.sheffieldchildrens.nhs.uk

幸いにも、自宅の近くの治療センターに空きを見つけたので、暫くはそこでベスは治療に専念することになるという。ここまで来ると、もう親は何もできない。専門家のヘルプで拒食症が克服できればいいのだが。

年頃の娘を持つ親は、娘のそうした行動を侮ってはいけないと思う。10代はとかく無理をしがちだ。親が責任をもって、我が子の状態を注意深く観察するのは、当たり前ではないだろうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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