「お客様は神様です。」このフレーズが通用するのはきっと日本だけだろう。欧米では、いや特にイギリスは、顧客サービスの悪さはヨーロッパ一だろうと筆者は常々感じているほど、客に対してのサービス精神がまるでなってない。

通りすがりに肩がぶつかればすぐにsorryというくせに、お店で客が商品に文句を言っても「私のせいではないし、こういう商品を作った工場が悪いんです。私はただ、売ってるだけですから。」と言わんばかりに、意地でもsorryの一言を言わない。

個人主義のイギリスは、会社のために頭を下げるという感覚がないのだ。「私自身は悪いことをしていない」と考えてしまう。そういう文化なのだから仕方ないのだが、やはり買い物する側としては、その店で気持ちよく買い物をしたいではないか。

今回、ロンドン市内のある店で、23歳の女性が店員に信じられない侮辱を浴びせられ、不愉快にさせられる事件があった。

poshなエリアの高級店で事件は起きた

出典 http://www.dailymail.co.uk

ロンドンのスローンストリートといえば、高級な店が立ち並ぶエリアで知られている。Josephはイギリスでもよく知られている高級ブランドだ。ジーンズ1本が150ポンド(約3万円)以上もする。

オンラインオーダーは300ポンド(約6万円)以上お買い上げなら無料だ。いかにお高い店かはわかるだろう。

しかし、このお店、ただ値段が高いだけではなかったのだ。店員の態度も相当高かった。ケント州出身の23歳のキーラン・ダリワールは、先週土曜日の午後にこの店でショッピングをした。

ジーンズを探していたキーラン。店員に「ジーンズを探してるんですが」と言っところ「サイズは何ですか?」と聞かれたので「イギリスサイズの10です。」と答えた。

UKサイズで10は「S」として知られている

出典 http://www.ebay.co.uk

イギリス女性の平均サイズは12-14だ。これはMサイズ。しかし、サイズ10はSサイズに当たる。日本ではイギリスのサイズ10は、9号と11号の間のサイズだ。サイズ8が日本の9号といってもよい。

どう見てもスリムなキーラン

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「サイズ10」と答えたキーランに、店員は上から下まで舐めまわすようにキーランを見て、棚に置いてあるジーンズを物色しながら「どうして当店には、食べるのが好きな人のサイズが置いてないのか私にもわからないんですよ。」と言ったという。

「それを聞いて思わず10秒ほど固まったわ!」とキーランは語る。「それから店員は全く違うサイズのパンツを3本持って来たのよ。私の欲しいタイプじゃなかったけど、試着してみたらって言われて試着室に入ったの。」

「私って太ってるの!?」

出典 http://www.dailymail.co.uk

過去にスリムと言われたことはあったが、店員にあんな嫌みな言い方されて、思わず鏡の前で悩んだというキーラン。「私、痩せなきゃいけないの?ダイエット必要なの!?って。夏だし、誰でも自分の体型を気にするとは思うけど、あんな泣きたい気分になったの初めてよ。」

「私にも買えるのよ、って証明したかっただけ。」

出典 http://www.dailymail.co.uk

しかし、試着した1本がたまたま自分にフィットしたため、「私でもこの店で買えるんです!」ということを証明したかったキーランは思わずそれを持ってレジへ。

そして店員に「私、走って痩せなきゃいけないかしらね。」と言うと、なんとその店員はこういったのだ。

「ええ、そうですね。」

出典 http://www.independent.co.uk

「ちょっとふくよかな方用のサイズも、仕入れるようにお願いしてるんですけど、なかなかそういう方のサイズが入って来ないんですよ。」とサラリとキーランに言った店員。

「それを聞いてショックだったわ。ふくよかって言われたことなかったもの。」

変なプライドで思わず買ってしまった服だが、返品するつもりだというキーラン。そして不快にさせたことの苦情をメールで店側へ伝えた。

案の定「当店のスタッフの態度に満足して頂けず非常に残念です」「お客さまからのコメントはどんなものでも貴重」「これからもより良いサービスを…」などどいうマニュアル通りの返信があっただけだった。

「客をあんな不愉快な気分にさせるなんて最低よ!」

出典 http://www.dailymail.co.uk

「だいたい、スタッフに客のサイズが何であれ、関係ないじゃない。在庫がないならないって言えばいいだけで。週末には楽しく買い物したい人がいっぱいいるのよ。いくら高級店だからって、あんな態度じゃ、誰も満足しないわ。」

キーランの言うことはもっともだ。日本なら間違いなく、そんな言い方をする失礼極まる店員はクビだ。いや、その前にそんな店員は存在しないだろう。ストレートにものを言うのがいい場合もあるが、これは行き過ぎだ。

客にサービスする側なら、そのぐらいの常識はあっても当然だ。そういう当たり前のサービスができないと、人としての価値も疑われてしまうだけのこと。イギリスはもう少し「客に対する態度」を改めた方がいい。トレーニングもきっちり行うべきだ。

スーパーのカスタマーサービスでも、名前だけで、全く客にサービスできていない。日本ではあり得ないのが、カウンター越しに客を待たせておいて、しかも列を作っているのにスタッフはカウンター内で、内線電話である。

待っている客に気付いてないわけがないのに、内線電話を止めない。10分以上待たされてイライラしても「申し訳ない」の一言もない。全くどういう人間性なのだろうといつも思ってしまう。

ある意味、イギリス人は日本人よりも我慢強いのかも知れない。どんなに失礼な対応でも、我慢してやり過ごすからだ。並ぶ時でも、きちんと整列する。日本は気に入らないとすぐに文句を言う人が多いため、店側も客には丁寧に接する。

いずれにしても、売買はお互いの需要で成り立っているのだ。サービスする側もされる側も気持ち良く接すれば、誰の腹も痛まないではないか、と思うのは筆者だけだろうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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