書籍や映画で一時的に話題にはなるものの、まだまだ世間は事実を知らない「障害者の性」。
今回、障害者、医療従事者、介護スタッフ、セクシャリティの関連企業の方々、厚生労働省など、それぞれの立場の方にお話を伺いました。

最終回は、行政の立場として。

取材対象者:厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部企画課の担当者

現状、障害者のセクシャルなニーズに、国として対応できていない現状について
Q.どうして対応しないのか?
Q.どうすれば行政が動くのか? 
と質問したところ、以上の質問では答えにくいとの回答でした。
そこで、医療分野に絞った質問に切りかえたところ以下のように回答がありました。

Q.THA患者(障害者)のセクシャルなニーズに、医療の専門職が適切に対応できていないことに対してのご意見を頂戴したい。

担当者「実情として、医療職の認識がそこまで及んでいないのではないでしょうか。
1番必要なのは、ドクターやOTなどの医療従事者が、患者さんにアプローチする際にセクシャルなニーズも考慮に入れるということだと思います。

その為に、どのように認識を持ってもらえばいいのか?

そのやり方として、学会などの場で問題提起するなどし、ドクター向けやOTなどの医療従事者のガイドライン、専門書への記載を追加する事。

例えば、股関節の手術を受けても性行為ができる手術法をガイドラインに入れたり、リハビリの方法をマニュアルに入れたり、などが考えられます。」

Q.そもそも厚生労働省はどのようにして動くシステムなのですか?

担当者「まず始めに専門家集団の先生方が問題を認識されます。それがどのような問題でどういったことが必要とされているのか?

今回のセクシャルなニーズの問題に限らず、厚生労働省が専門的な内容に意見することはあまりありません。まずは専門家の方々が努力し研究されて、そしてその専門分野の学会などから研究結果や新しい知見が生まれて、周知されていくもの。

厚生労働省には専門家がいるわけではないので、専門の方々による専門の研究結果を受けて施策を考え、そして見合った制度にしていくのです。」

まとめ

担当者が最後に語った「専門の方々による専門の研究結果を受けて施策を考え、そして見合った制度にしていく」これはつまり、「専門職から意見が上がってこないと動けない」とも受け取れる言葉でした。

①専門家から「問題とそこに必要なこと」を出してもらう
②それを受けて厚生労働省が制度を作る
③現場が変わる

この流れを作れれば、現状を変えられる。
では①の前に、まずは専門家の方々に『現状を届けること』。今はここから。

そして、実際にもう動きだしています。

NPO法人ノアールが、2015年6月19日(金)~6月21日(日)の間、開催された日本作業療法学会にて、「女性人工股関節置換術患者の性行為の体位への介入の実際と現状の問題」というテーマでポスター発表。医療現場の現状を問題提起しました。

ポスターの内容は以下の通り

取材後記

まだまだ問題として認識すらされていない「障害者の性」。
この度、全6回のシリーズとして取材させていただきました。
一度ここで最終回と致しますが、今後も取材は進めていくつもりです。

今回取材するに当たり、NPO法人ノアール理事長 熊篠さんに大変お世話になりました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

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10年ほど、テレビやラジオの構成作家をさせていただいております。
趣味は取材。情報番組や報道番組で多くの方々を取材してきました。人が大好き。出身は青森県三沢市。介護福祉士。

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