先日、イタリア人の夫の従弟が結婚しました。結婚した従弟の年齢は30歳。イタリア人にしては早いほうです。よく考えてみたら、20代で結婚するというイタリア人をほとんど聞きません。

これまでに何度かここイタリアで結婚式に招待されましたが、新郎新婦ともに30代半ばというケースが多いです。30代後半、または40代での結婚だってそう珍しいことではありません。むしろ、新郎新婦ともに20代というほうが珍しいかもしれません。

日本も晩婚化が進んでいるといいますが、イタリアの晩婚化は更に進んでいるのではないかと思います。

それはどうしてか?

筆者の個人的な見解ですが、イタリアの晩婚化が進む原因、イタリア人が結婚に慎重になる理由について考えてみました。

イタリア人は大学卒業が遅い→社会人になるのも遅い→経済的問題

日本の大学の場合、23歳で卒業というのが一般的だと思います。よって、20代前半で社会人になる日本人が多いのではないでしょうか。ところが、イタリアの大学の場合、入るのは簡単でも卒業するのが大変というシステムで、4年で大学卒業というのはよっぽど優秀で無い限りほとんどありません。よって、20代半ば、または後半で大学卒業というのが一般的です。それから仕事を探し、仕事に慣れて、経済的に余裕が出てくるようになるのは必然的に30歳を超えたころになってしまいます。また、若者の失業率の高いイタリアですから、大学を卒業したとしても仕事を見つけることが難しく、経済的にも家庭を築く余裕がないというのが若者の本音なのかもしれません。

ちなみに、イタリアでも女性の大学進学率は高く、結婚後も女性も社会に出て働くというのが一般的な考えです。

また、イタリアの大学は卒業が難しいため、卒業にいたるまでのテストでいい点を取ることも重要です。しかし、それが相当難しいようで…。イタリアの大学生はテスト前は特に部屋に缶詰状態になって勉強しています。日本の大学生はアルバイトをしている人も多いですが、イタリアの大学生は勉強に集中したい場合、アルバイトと大学の勉強の両立はなかなか難しく、学費を自分で稼ぐとか、お小遣いを自分で稼ぐといった話はあまり聞きません。大学卒業まで、よって20代半ばか後半まで働いたこと、お金を稼いだことがないというのも、もしかすると“経済的独立心を削いでいる→婚期が遠のく”という結果につながっているのかもしれませんね。

イタリア人にとっての“結婚”とは

イタリア人と日本人とでは結婚に対する考え方が少し違うように思います。イタリアでは結婚は婚姻届を提出すれば成立…というわけではありません。

イタリアでは大きく分けて2つのタイプの結婚式があります。

一つは市役所式。新郎、または新婦が住民票を置く市役所において行う結婚式です。婚姻届を提出すればいいだけでなく、まず婚姻届にサインをする日(結婚式の日)を予約します。その際、夫婦の財産は共有にするかなどを決めたり、婚姻に関する法律の説明があったりします。
結婚式の日に新郎新婦、立会人、親族、友達らと一緒に市役所に行き、市長または市長代理が婚姻に関する法律を読み上げ新郎新婦に確認。その後、婚姻届にサインをします。事務的な式ではありますが、もちろん花嫁はウエディングドレス着用可能ですし、参列者たちも正装をしていますので、正に“結婚式”です。新郎新婦の宗教が異なる国際結婚や、特に信仰の厚くない若者の間で増えてきている結婚式の形式です。
(市役所式の場合、市役所の一室で結婚式を行うわけですが、イタリアの場合“市役所”と言っても、市役所の建物が中世の宮殿だったりする場合がけっこうありますから、結婚式のムードにふさわしい建物が多いです。)

もう一つは教会式。おそらく日本人が想像するヨーロッパでの結婚式の典型だと思います。カトリック教徒の多いイタリアですから、教会で結婚式を行うカップルはもちろん多いです。しかし、本当のカトリック教徒であるイタリア人にとって教会で結婚式を挙げるというのは、神の前で愛を誓うこととであり、カトリック教徒でない日本人が「素敵だから」という理由で教会で式を挙げるのとは訳が違うようです。カトリック教会で結婚式を挙げる場合、カトリック教徒としての契約がいろいろあるようですし、結婚前にはカップルそろってカトリック教徒における結婚とは何か、夫婦とは何かという教義を教会で何回かに渡り勉強しなければなりません。

このように、イタリアでは市役所式にしろ、教会式にしろ、「結婚とは何か」「夫婦とは何か」と言ったような結婚と言う“契約内容の確認”をしっかりする傾向にあるような気がします。だから、イタリア人の中には「結婚は一つの契約」というドライな考えを持っている人も多いです。

イタリア人にとって、結婚はただロマンチックなイベントではないということですね。

結婚は重大な契約 簡単に離婚と言う名の契約破棄はできない

イタリアでの結婚は婚姻届を提出するだけではないということは上に書きましたが、離婚は更に複雑です。イタリアはカトリックの国ということもあってか、離婚が社会的に受け入れられるのがかなり遅かったようです。

今年、法改正があり、離婚に関する法律が改正されましたが、それまではお互い合意の上でも、まず、裁判所に離婚したい旨を提出し、別居から始めなければなりませんでした。別居の後、正式に離婚にいたるのですが…正式に離婚となるまでに3年、4年といった歳月が必要だったのです。簡単に離婚はできなかったのです。

今年の法改正で、現在ははお互い合意の上で問題がなければ最短6ヶ月で離婚成立という法律が成立しました。それでも、日本人からすれば6ヶ月もかかるのです。

もちろん、離婚を考えて結婚する人はあまりいないと思いますが、離婚が簡単にできない、離婚には長い時間とお金がかかると分かっていると、結婚に慎重になるのもしょうがないような気がします。

法改正により、離婚が6ヶ月でできるようになったことによって、もしかしたら「結婚しよう!」と思う若者が増える…かもしれませんね。

結婚という形がなくても成り立つ“家族”

イタリアでは同棲しているカップルが多いです。結婚する前にチャレンジとして同棲をするカップルもいれば、籍は入れずに、でも家族同然で一緒に暮らしているいわゆる事実婚のカップルも多いです。子供ができても、法律に縛られたくないなどの考えがあって、わざと籍を入れない(結婚しない)カップルもいます。法律上婚姻をすることを、責任とか、愛と感じるか、それもともプレッシャーとか、拘束と感じるかは人それぞれだと思います。

でも、結婚していないカップルは家族ではないのでしょうか?両親が結婚していないと家族とは呼べないのでしょうか?

時代とともに、“家族”という形態も変わってきているように私は思います。実際に何年も同棲をしているのに結婚はしていないイタリア人カップルや、一緒に住んでいて子供もいるのに結婚していないイタリア人カップルを何組か知っています。幸せそうな彼らを見ていて、結婚をしている家族とどこが違うのだろうか?と考えます。

もちろん、確かな違いはあります。法律上の違い。法的手続きをする場合、権利等を主張する場合、法律上婚姻が成立している場合と、そうでない場合とでは大きな違いが生じます。

でも、法律上婚姻が成立していても、家族バラバラで本来の“家族”として成立していない家族もあるわけで…。そう考えると“家族”の定義に“結婚”は必須条件なのだろうか?と思ってしまいます。

おそらく、他の西ヨーロッパの国々に比べ、イタリアはまだ結婚に対して保守的な考えを持つ人が多いと思います。しかし、日本に比べ、結婚ではなく同棲、事実婚という形態の“家族”を築いているカップルは多いような気がします。

結婚しなくても家族は築ける。そういった考えがイタリアの晩婚化が進む理由、未婚率が上がる理由になっているのかもしれませんね。




いかがでしたか?イタリア人にとって“結婚”は、日本人が考えるそれよりもずっと重いもののような気がします。それに経済的事情も伴って、イタリアの晩婚化がどんどん進んでいくのではないだろうかというのが筆者の個人的な見解です。



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2004年よりイタリアはフィレンツェに住んでいます。
イタリア人の夫と黒猫1匹との生活。
日本語講師としてイタリア人に日本語を教えています。
魅力的なイタリア、不思議なイタリア、海外から見た魅力的な日本、不思議な日本を中心にお伝えしていきます。

普段のイタリア生活についてはアメブロに書いています。
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