1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件加害者の男性(現在32歳)が、自分の手記「絶歌」を出版したことが話題になっています。(発売元:太田出版)

Amazonでは発売日6月11日以来、売れ筋ランキングトップとなっており、中古品の出品には3950円以上の売値で販売されています。

発売2日後の13日には「絶歌」の一部の内容がインターネット上にアップロードされ、無料で購読できる状態になっていました。

発売直後にインターネット上で拡散する行為は、ある意味モラルに反する行為ともいえますが、被害者遺族に許可も無く、本を発売した出版会社に対する社会の憤りともいえる行為なのでしょうか。

神戸連続児童殺傷事件とは

1997年に神戸市須磨区で発生した「少年A」(当時14歳)による連続殺傷事件。少年は自らを「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)」と名乗り、犯行声明文や、神戸新聞社に挑戦状を送りつけ、警察を挑発。

犯人が中学2年生の少年だったことで、世間に衝撃を与えた事件が記憶に新しい。少年Aは、この事件の4か月前にも神戸市須磨区の路上で、小学生女児2名をハンマーで殴打。一人は重傷を負った。

その1か月後の3月16日、同神戸市須磨区の公園付近の小学4年生の女児に八角げんのうで殴打し逃走。女児は病院に運ばれ、その後脳挫傷で死亡。さらに、同日、小学校3年生の女児の腹部を小刀で刺した。ナイフの刃先は女児の胃を貫通。女児は重傷だったが一命を取り止めた。

「絶歌」出版について、発行元の太田出版に遺族の抗議文が発表された

貴社は、平成9年発生の神戸連続児童殺傷事件の加害男性から手記を入手して、6月10日発売の「絶歌」という題名の書物を出版しています。上記の手記出版行為は、本事件の遺族に重大な二次被害を与えるものであり、私たちは、以下のとおり、強く抗議を行うとともに、速やかに同誌を回収するよう申し入れます。

出典 http://headlines.yahoo.co.jp

遺族の抗議文全文はこちらをご覧ください

被害者「彩花ちゃん」の母親がコメントを発表

何事にも順序というものがあり、本来なら当事者である私たち遺族や被害者が最初に知るべき重要な事柄が、このように間接的な形で知らされたことは非常に残念に思います。もちろん、私の手元には現時点で手記も手紙も届いてはいません。

出典 http://www.kobe-np.co.jp

遺族の気持ちを思うと、今回の「絶歌」の出版は、胸が痛みます・・・。

「彩花ちゃん」の母コメント全文はこちらをご覧ください

社会の怒りは収まらない!

このような意見も

Amazonのレビュー

ただただ愕然とした。身の毛もよだつような前代未聞の事件を起こした彼は、成人した今も反省もしていなければ被害者の心情を慮ることも出来ないことがわかった。本人は自己を冷静に分析したふりをして書いているのだろうが、自己陶酔と強い自己顕示欲が行間から溢れている。

彼はおそらく事件を起こした時とある意味同じ種類の恍惚を感じながら筆を走らせていたのではないだろうか?そう考えるとあまりのおぞましさに寒気がする。

出典 http://www.amazon.co.jp

本の印税はどうなる?

遺族に許可なしの「絶歌」だが、初版10万部で売り切れ間近だと言われている。この本はハードブックで1冊1500円。書籍の印税は通常10%なので、単純に考えると、1500万円を少年Aが手にすることになる。少年Aは、書籍の印税を被害者遺族に渡すかどうかは不明である。

6月14日(日)放送の「Mr.サンデー」では、被害者遺族の父親・土谷守さんのインタビューがあり、「息子は加害者男性に2度殺された思いです」と語っていた。

筆者は、18年前に発生した「神戸児童殺傷事件」を当時ニュースで知った時、かつてない残虐な殺人事件の犯人はいったい成人なのか、、、あるいは少年なのか、、、事件の真相を知りたく新聞やニュースを観漁った。インターネットが普及しはじめたばかりの当時、PCで犯人の実名入りの無表情な顔写真を見た時、心臓の鼓動が激しくなった衝撃的な記憶を今でも忘れない。

「絶歌」の本が発売された6月11日、筆者は仕事柄この本を2日間で読み終えた。序盤は最愛の祖母を亡くしたことから「死」について考えるようになり、最愛の祖母の部屋で電気マッサージ器で自分の性器を刺激、初めて精通を覚えた、、、というような性描写から始まる。少年Aは異常性愛者であることをこの本で告白している。

その後、虫を解剖、近所の野良猫を殺める残虐性を描写した生々しい文章表現は、言葉が巧みで、ところどころ文字にルビがふってある。その後、被害者の淳君や、彩花ちゃんを殺害した描写については、出版社の編集によるものか、あるいは少年Aが遺族に配慮したためか、定かではないが、殺害後の行動からしか書かれてはいない。

中盤は、少年院時代にプレス工の資格を取得。仮出所となり、コミュニケーション不足と自覚する少年Aが派遣の仕事で出会った人たちとの会話や、初めて社会に出て経験する人間との触れ合いなどが書かれている。自分の両親や兄弟が面会に来た時のことなど。保護観察時代にお世話になった家庭での触れ合い、淳君の父親のドキュメンタリー番組を録画したDVDをその家の奥さんが黙って一緒に観てくれたことなどが書かれていた。

筆者は、この場面で、幼い頃からコミュニケーション下手な少年Aが、残虐な殺人を犯した自分の罪深さを心から反省し、徐々に人間らしさを取り戻して行くような文章に惹かれ、ただただ加害者の更生を信じたいと願いながら一気に引き込まれて読み上げた。

凶悪な元殺人犯が、出所後に自分の手記を出版したというケースは初めてであり、(※服役中に実名で出版したケースはある)その後、出所後の少年Aについて興味もあり、事件の真相を知りたく、手記に興味を持ったことは確かである。

自分の最愛の子どもの生命を、将来を奪われた遺族にとっては、一生忘れられない心の傷となる事件であり、毎年命日に手紙を送り、本が出版される直前にも、淳君の父親の元へ挨拶に来た際に、今回の出版の件を一言も話さなかった少年Aの行動や出版社の態度に憤りを覚えるのは当然のことだろう。

今回の「絶歌」を読みたくないと思う人がおよそ75%、読みたいと思う人がおよそ12%だと報道番組で発表された。元殺人犯が、出版をするのは自由だが、少年Aではなく実名を出すべきであったと思う、という意見もある。

弁護士らが心配するのは、今後、書籍を出版して印税を稼ぐために犯罪を犯す者が増えるのではないか、と、いう点を指摘する声もあった。遺族の願いは、書籍を直ちに回収して欲しいと言うことのみ。

発売して数日でAmazonではベストセラーとなり、初版の10万部が完売する日はカウントダウンの状況。インターネットでは内容がすでに拡散している。このような状況で、今後、少年Aと出版社は遺族に対してどのような態度を取るのかに注目したい。

この記事を書いたユーザー

cocon☆hanna このユーザーの他の記事を見る

キャリアカウンセラーの道を目指し、資格取得後オンラインカウンセラーとしてデヴュー。WEBライターとして活動をはじめ7年になります。人に「読まれる・読ませる」ライターを目指しています☆

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス