世界では、中国の纏足をはじめ、アフリカの女性器切除、インド・中国のジェンダー殺人などの奇習が未だに存在しています。

この男女差別による蛮習は、人権侵害行為「Violence Against Women(女性に対する暴力)」ではないでしょうか。ここで、現代もなお行われている、カメルーンを中心に施されるブレストアイロニングという伝統儀式をご紹介しましょう。

ブレストアイロニングとは

カメルーンとナイジェリアの国境に近いある村では、思春期を迎える少女が、膨らみかけた胸に熱いアイロンを押し当て、胸を平らにするという残酷な風習があります。

この行為を欧米のメディアでは「ブレストアイロニング」と呼んでいますが、和訳すると胸にアイロンを掛けるといった意味になります。(ブレストアイロニングは「ブレストフラットニング」-胸を平らにする-と呼ばれることもあります。)

出典 http://sondabara.com

なぜ?こんなに恐ろしい儀式があるの?

カメルーンの伝統的な儀式は、女の子の身体が大人へと成長する兆候を遅らせることで、男性の視線を避け、望まれない妊娠やレイプを阻止するための目的だということです。

ブレストアイロニングを行う地域は?

国連の調べでは、カメルーンを中心に、チャド・トーゴ・ベニン・ギニアなど、西・中央・南アフリカや、コートジボワールを含め、およそ380万人の10代の少女らが犠牲になってきました。

この奇習は、アフリカだけに留まらず、イギリス在住のカメルーン人の間でも密かに行われているようです。

ブレストアイロニングを行う道具

ブレストアイロニングは、少女の母親が行うことありますが、少女が自ら行うこともあるようです。また、道具は必ずしもアイロンを使うという訳ではなく、すりこぎや石などを火で炙って使うことも多いようです。

出典 http://sondabara.com

その他、木製の乳棒や石、ココナッツの殻、研磨石、柄杓、へらなどが用いられることがある。いずれも炭火で熱した上で少女の胸に押し当てられる。

ブレストアイロニングを施された、ある女性の体験談

神さま、どうか私の胸を無くしてください!

ジョイス・フォーガブがブレストアイロニングの洗礼を受けたのは8歳の時。25歳になったジョイスが、当時の事を振り返る。

「母は、平らな石を拾ってきて、数分間火に炙ったの。彼女はその石がとても熱いことを知っていたから、自分の手は保護していたわ。焼けた石を持つと、私の胸に押し当てて、もみほぐしたの。あまりの熱さと痛さで家を飛び出したの。とても悍ましい体験だったわ」と語っている。

カメルーンの産婦人科で女医教会の副代表を努める女医が語る

出典 http://www.ipsnews.net

※画像はチャナ医師

チャナ医師は、ブレストアイロニングは、カメルーンの有史以来常に存在していたと明かしています。1990年代初頭、カメルーンの全10州をまわり、女性の性的特質に影響を及ぼす慣習に関する調査を行った結果、ほとんどの地域でブレストアイロニングが実施されている実態が分かりショックを受けました。

娘の身体を傷つける行為は、少女の身体に良くないことだと母親たちに説明をしでも、母親や叔母たちは、「ブレストアイロニングで胸の発育を抑えるのは当然です!」と反論。母親たちは「自分がしていることが危険な行為だという認識が全くない」と語りました。

チャナ医師は、加害者(母親)と被害者(娘)の双方に遭遇する

母親たちは、娘に施術した行為を、実際自分が何をしているのか理解していないことが多いという。チャナ医師は、ある母親のケースについて語っている。

『先生許して下さい。私は自分が火傷をしてはじめて、娘がどんな痛みに苦しんでいたのか初めて分かりました。』と、訴えてきたそうです。この母親は、娘の胸に焼けた石を押し当てた際に、誤って自分の手を火傷し、チャナ医師の診療所に訪れた。

焼けた石を取り出すと、まず左右どちらかの胸に押し当てることから施術は始まる。この母親の娘は、焼けた石で少女の片方の胸は完全に破壊されてしまった・・・。「彼女の胸は左右不釣り合いなものとなってしまいました。」とチャナ医師は語る。

25歳のジョイスの胸は完全に破壊され、常にブラジャーをつけたまま

『私の胸は、ブレストアイロニングで破壊されてしまいました・・・。』ジョイスは、現在子どもを出産しているが、寝ている時も授乳の時も常にブラジャーなしではやっていけないと切実な想いを語る。

乳癌を発症する例も多い

多くの医学レポートによると、ブレストアイロニングは、腫物、痒み、幼児への授乳不能、感染、胸の奇形または消滅、嚢胞、組織破壊、そして乳癌さえも引き起こすリスクがあることを指摘している。

チャナ医師が診察した患者で、ブレストアイロニングのせいで、胸の組織が完全に破壊された結果、乳癌になり24歳で死亡した女性がいたという。

カメルーンの男性は、女性のこの儀式を知らない

29歳のカメルーン人男性のジョセフ・ンゴンディは、26歳の時にガールフレンドと初めてホテルで一夜を過ごすことになった。彼女が上半身裸になった時、平らな胸部を見て驚いたという。

あまりのショックで、『彼女が何かの病気を患っているのでは?』と思ったそう。ジョセフが彼女に尋ねてみると、11歳の時から母親にブレストアイロニングを施されたことを打ち明けられた。

慣習とされているカメルーンの農村部に比べ、避妊を目的として施術される都市部の男性は、その存在を知らないままでいるのが実態だとか。ジョセフの場合も、『言葉は聞いたことがあるが、どんなものかは誰も教えてくれなかった』と語っている。

カメルーンでは、家庭内で性教育の会話がタブーとされている

女性協会『レナータ』ジョルゲッテ・タク事務局長は、「家庭内で性教育に関する会話がない家庭が多く、ブレストアイロニングについても隠して話題にしない傾向がある」さらに、子どもの監督責任は母親にあるとされており、「娘が妊娠するようなことにでもなれば母親が責められる」と説明した。

カメルーンの農村部は、都市部に比べ、就学率が圧倒的に低く、少女が10代で妊娠した場合、強制的に結婚させられ、学校を辞めさせられるという。勉強をしたくても、若いうちから結婚、子どもを出産するケースが多いらしい。

そんなことから避けるために、母親は、まだ性教育の意味も解らない幼い娘に、説明もなくブレストアイロニングを施すということなのか・・・。ちなみに、10代の未婚の娘が妊娠すると、父親は娘と母親を家から追い出すことができるという位、男尊女卑が厳しい地域だということが分かる。

また、家庭によっては、母親が死亡している場合、娘にブレストアイロニングを施すのは父親の義務だとも言われている。

あまりの激痛に、家出をする少女たち

チャナ医師は、施術は、カメルーンの農村部、都市部双方で行われているが、都市部の方がリスクが高いと言っている。

その理由は、「ブレストアイロニングの激痛から多くの少女たちが家出をしています。農村部だと、叔母や、近隣住民の家に駆け込めるのですが、都市部の少女の多くは、何も持たずにボーイフレンドの元に駆け込みます。

その結果、望まない妊娠のためのブレストアイロニングの果てが、ボーイフレンドとの性交で妊娠に至るリスクも高い」と、明かしている。

サバイバーたちが立ち上がった!

新しい人権を守ろうとして、カメルーンの啓蒙運動の成果により、大都市ではこの因習的女性虐待は2005年以来50%も減少したと報告されています。(ドイツ技術協力公社の調査による)

それでも、現在も農村部ではブレストアイロニングが施されています。このような蛮習が、幼い少女の身体を傷つけ、さらに精神的トラウマが大きいことを母親たちに理解して欲しいですね。人権侵害的な蛮習が完全になくなることを願います。

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キャリアカウンセラーの道を目指し、資格取得後オンラインカウンセラーとしてデヴュー。WEBライターとして活動をはじめ7年になります。人に「読まれる・読ませる」ライターを目指しています☆

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