【1】都市伝説の内容

「13階段のアパート」という都市伝説を御存知だろうか?ホラー系の都市伝説だ。その内容は、語り手や地方によって細部は異なるのだが、おおよそ以下の様な話である。(ホラー要素強めです。苦手な人はご注意下さい)

●大都市の一等地に、2階建てアパートがある。部屋数は10。うち9部屋は家賃が10万円程度だが、1部屋だけ1万円以下の格安で提供されている。

その格安部屋は、階段を登りきってすぐの部屋、201号室である。特に何の変哲も無い綺麗な角部屋。しかし、入居した人全員が2週間もたずに、速攻で退去する。部屋の中で、遺体で発見された人もいる。

後で揉めても困るので、不動産屋は契約成立の前に、この話を客に伝える。殆どの客は敬遠するのだが、それでも家賃の安さに負けて借りる人が出てくる。


ホラー要素満載の話だ。次は、上記の最後に出てきた「不気味なのは分かっているが、それでも201号室を借りた人」の話。仮に、その入居者を「Aさん」としよう。

引越し当日の夜、Aさんは疲れて早くに寝てしまった。ふと真夜中に目を覚ますと、下のフロアが騒がしい。複数の人間が走り回っている、そんな感じがした。

●だんだん静かになったのだが、最後に「カツーン」という乾いた音がした。「一体何だ?」と思ったAさんだったが、疲れていたので、再び寝た。

●明けて翌日。また夜中になると、前日と同じく下のフロアが騒がしい。騒ぎが収まると、「カツーン」「カツーン」と乾いた音が2回した。翌日の夜も同じだったが、「カツーン」「カツーン」「カツーン」と、乾いた音が3回した。その次の日は4回、またその次の日は5回…と、だんだん増えてくる。

●ある時、Aさんは悟った。「この乾いた音、誰かが階段を登ってくる音だ」

得体の知れないモノが、近寄ってきた雰囲気。Aさんは「皆が2週間もたずに引っ越す」という話を思い出し、怖くなって不動産屋の所に行った。詳しい事情を聞くためだ。

不動産屋が言うに、アパートの階段は、多くの場合14段である。しかし、非常に珍しい事なのだが「階段が13段」のアパートがあり、そのアパートの201号室はヤバイ…と専らの評判だ。Aさんの住んでいる部屋も13階段だ。その話を聞いて、Aさんの中で話が繋がった。同時に、血の気が引いた。

●「カツーン」という足音が夜中に聞こえ、日に日に回数が増えている。このままだと、入居してから13日で13段の階段を登りきり、14日目・つまり2週間目には、何かが部屋まで辿り着く。今迄の住人が、皆2週間もたなかったのは「この事に気付いて、何かが部屋に来る前に逃げ出したから」なのだ。

●Aさんは急いで部屋に戻り、その日のうちに実家へと帰った。

こんな感じだ。話によっては、Aさんが遺体で発見されたり、友達と引越しの準備をしている最中に具合が悪くなって、救急車で運ばれて一命を取り留めたり…など、様々なバリエーションがある模様だ。

【2】この都市伝説の信憑性は?

筆者にしてみれば、この都市伝説は「大いに疑わしい」と断言できる。なぜそんな事が言えるのか?と尋ねられれば、お答えしよう。筆者は、13階段の物件に住んでいた経験があるからだ。しかも2件。

1件目に住んでいた部屋は、202号室だった。隣は勿論、13階段を上がってすぐの201号室。そこの住人は、気のいい中年女性。数年間そこに住んでいたが、特にトラブルも無く、普通に過ごしていた。挨拶はするし、筆者が引っ越す際には「次の入居者はどんな人だろう?。変な人だったら困る」と嘆き、餞別をくれた。

2件目は、現在の住居である。階段を上がってすぐの部屋であり、都市伝説と全く同じ状況だ。住み始めて数年経過しているが、変な現象など何も無い。従って、筆者はこの都市伝説を信じていない。



【3】13階段アパートって、そんなに珍しいのか?

都市伝説では「13階段アパートは、非常に珍しい存在」となっているが、本当だろうか?。筆者は、実際に2件も見ている。

そこで、各種法令やデータ及び筆者の経験から、最も多そうな「2階建てアパートの階段構造」を考えてみた。部屋の高さ・床板の厚さ・階段の形状などには、様々なルールがある。それらを総合的に考えた結果、「13階段は普通です」という結論になれば、都市伝説の前提が壊れ、信憑性が薄くなる。

先ずは、部屋の高さについて考える。部屋の高さが分かれば、2階までの高さが分かり、階段の長さも分かる。

建築基準法では天井の高さは2.1メートル以上と定められていますが、最近のマンションは天井を高くする傾向にあり、リビングの天井高が2.7メートルを超えるものも見られます。

出典 http://www.homes.co.jp

住宅情報サイト「HOME'S 」からの引用。これによると、部屋の高さは2.1~2.7mになる。筆者の身長は約1.8mで、腕を伸ばすと2.1mくらいは触れる。部屋探しの際、そこまで低い天井の部屋を見た事が無い。

従って、2.1m~2.7mの中間を取り、天井高は2.4mとする。cm表記だと、240cmだ。これは、現在筆者が住んでいる部屋の高さと同程度である。

部屋の高さが分かったら、次は床の厚さを考える。部屋の高さ プラス 床の厚みで、2階までの正確な高さが分かる。

建築基準法では構造耐力上主要な部分の床版は8センチメートル以上と定められていますが、マンションなどの集合住宅では上下階への遮音性を高める必要から、20センチ以上の厚さが標準とされています。

出典 http://www.homes.co.jp

これも「HOME'S 」からの引用。床板(スラブ)の話。床板の厚さは図面でも見ないと分からないので、上記と同様の計算方法から、ちょっと厚めの14cmとしよう。つまり、天井高が240cm、床板は14cm、合計で254cmこれが2階までの高さとなり、階段の高さである


2階までの高さが判明した。最後に、階段の造りについて考えてみる。これも法律で規制されている。

データが揃った。このデータを基に、階段の段数を計算すると…。

254cm(2階までの階段の高さ) ÷ 20cm(蹴上げ、つまり1段の高さ) = 12.7段となる。約13段だ。ごく普通のアパートを考えると、13段は十分ありえる数値だ。珍しくは無いと思う。

都市伝説では「13階段の物件は滅多にない」という設定だった。その設定が非常に怪しいので、都市伝説そのものが疑わしい…という結論に達する。


【4】上記以外の否定要素

筆者の様な経験の浅い人間でも、この都市伝説は疑わしいと感じる。そこに来て、不動産業界のプロが語ればどうなるか?…と思って検索したところ、以下の様な記事に遭遇した。

【5】終わりに

筆者の周囲には、この都市伝説を信じている人がいて、物件選びの条件にしているそうだ。本人が住む部屋なので、選び方は自由だと思うが、筆者が思うに、階段の段数よりも重要な条件は多いと思う。

例えば、交通機関の状況・近隣の環境・買い物のし易さ・病院や警察や消防署までの距離などの方が気になる。あとあと困らない為に、自分の頭でしっかり考えて選びたいものである。

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