イタリア生活11年の筆者。日本に帰国した際、レストランに入って今となっては少しビックリしてしまうことがあります。それは、店内での喫煙です。

イタリアでは公共施設屋内での喫煙は禁止

イタリアでは2003年1月より公共施設屋内(オフィス、ビル、エレベーター、レストランなど)での喫煙は法律で禁止されています。(ただし特別な換気設備が整っている場所では屋内でも喫煙可能な場合有り。)そのため、喫煙者は煙草を吸いたい場合、屋外に出て喫煙します。また、飲食店ではテラス席など、屋外の席では喫煙可能です。

公共施設屋内での禁煙を破った人には27.50~275ユーロ(約3,850~38,500円)の罰金が科せられ、更に喫煙が行われた場に妊娠中の女性、または12歳以下の子供がいた場合、罰金の金額は倍になります。

また、施設の責任者が喫煙を注意しなかったり、監督を怠っていた場合には施設にも200~2,200ユーロ(約2,800~308,000円)の罰金が科せられます。よって、イタリアでは飲食店に入って食事をしていると煙草の煙が漂ってくる…ということはありません。非喫煙者にとっては大変ありがたい環境でもあります。

矛盾している日本の喫煙席と禁煙席

日本へ行ったことのあるイタリア人が不思議に思う日本のことの一つに、日本の飲食店の喫煙席と禁煙席があります。日本では禁煙席を設けている飲食店が多いですが、同じ店内に喫煙席もあるため、たとえ禁煙席に座っていたとしても、煙草の煙が漂ってくるという場合があります。

それは「おかしい」というイタリア人がけっこういます。同じ空間に煙草を吸っている人がいるなら、禁煙席の意味が無いというのです。

知らぬ間に他人に害を与えている可能性があるという事実

私事になりますが…私の父と兄はヘビースモーカーでした。現在は二人とも煙草を止めています。私は煙草を吸いませんが、父の吸う煙草の煙に慣れていたので、誰かが私の隣で煙草を吸っても、その匂いが嫌だとか、煙が嫌だとか思ったことはありません。

しかし、昨年の夏、日本に帰国した際、両親と飲食店に入り、初めて隣で喫煙している人のことを迷惑だと思いました。それには理由があります。なぜなら、私の父は肺を患っているからです。

お昼を食べに両親と一緒に入った飲食店。私たちが入店したころはまだ少しお昼には早い時間帯で、人もそんなに多くはありませんでした。注文をして料理を待っている間に、どんどん他のお客さんが入ってきて、店はあっという間に満員になりました。すると、多くの人が煙草を吸い始めたのです。

飲食店での喫煙が禁止されているイタリアに慣れてしまったこともあり、飲食店内でこんなにも多くの人が煙草を吸っている光景を見るのも少しショックでした。そして、私たちの隣の席に座った人たちが煙草を吸い始め、エアコンの風もあって、煙草の煙が私たちのほうまで流れてきたときに「あっ!」と思ったのです。

上にも書きましたように、私は煙草の煙や匂いをそれほど嫌だと思ったことはありません。でも、肺を患っている父の体が心配になったのです。肺を患ってから父は煙草を止めました。しかし、本人が煙草を止めても、他の人が吸う煙草の煙を吸ってしまっては(受動喫煙)、あまり意味がありません。

私たちが入ったそのお店は喫煙可能なお店でしたし、私たちの隣で煙草を吸い始めた人たちは私の父が肺を患っていることはもちろん知りません。「すみませんが、煙草を吸わないでいただけますか?」とももちろん言うことはできませんでした。

そうなると、後はできるだけ早くお店を出ることを考え、せっかく美味しかったお料理も落ち着いて味わいながら食べることができませんでした。

煙草を吸う前に考えて…。

人間と言うのは本当に勝手なもので、自分や自分の身内がその立場に立ってみたいとなかなか気づかないということがけっこうあります。私も父が肺を患ってから誰かが吸う煙草の煙が気になるようになりました。

でも、まだ父が煙草を吸っていたとき、もしかすると父の隣には肺を患っている人がいたかもしれません。そして、今、煙草を吸っているあなたの隣にも…。また、煙草の問題でよく耳にするのは“歩き煙草”です。日本ではさまざまな自治体において歩き煙草が条例で禁止されています。

逆にイタリアでは歩き煙草は禁止されていません。ですから、小さなお子さんをお持ちのお母さんたちは、道を歩いていて子供の顔に煙草の火が当たらないかヒヤヒヤするという声をよく聞きます。

「煙草を吸うな!」と言うつもりはありません。吸いたい人は自己責任で吸えばいいと思います。でも、煙草に火をつける前に、周りにいる人たちのことを少し考えていただけると、非喫煙者としてはありがたく思います。

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2004年よりイタリアはフィレンツェに住んでいます。
イタリア人の夫と黒猫1匹との生活。
日本語講師としてイタリア人に日本語を教えています。
魅力的なイタリア、不思議なイタリア、海外から見た魅力的な日本、不思議な日本を中心にお伝えしていきます。

普段のイタリア生活についてはアメブロに書いています。
http://ameblo.jp/firenzefungo/

トスカーナ、フィレンツェ観光に関してFirenze in Tascaというトスカーナ、フィレンツェ個人旅行サポート会社のサイトにて記事を執筆中。
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