2014年9月、イギリスのハルに住む2歳の男児が実の両親の元から引き取られ、養子に出されるという悲しい事件が起こった。日本でも注目される「ネグレクト」。たった一つの必要な「愛」を与えられずに育ってゆく子供の将来はー

可哀相過ぎる境遇で育った男児

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この2歳になる男児、誕生と共に実は一時的に里子に出されていた。「他の3人の子育てに手がかかり、この子まで面倒見きれない」という驚くべき身勝手な理由だった。そして、9か月後に両親は引き取ることになる。しかし、その後の男児の環境が最悪だった。

タバコの煙が充満した家

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男児の様子を伺いにこの家を訪れたヘルスビジターは言う。「私が彼らの家を訪問した時、男児は具合が悪くソファで横になっていました。

その部屋にはタバコの煙が充満していて、目で見てわかるほどだったんです。びっくりしました。そして男児は呼吸が苦しいのか吸引器を与えられて呼吸していたんです。」

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「こんな煙で充満した部屋で子育てをするなんて、子供の健康には決して良くないということを男児の両親はまるでわかってないようでした。」

これまでかつて一度もこのような煙にまみれた家を訪問したことはないというヘルスビジターのジュリー・アランは、裁判でその時の状況を思い出し、辛そうに証言した。

実は男児の父親は精神疾患を患っており、コカインの常習者でもあった。母親共に汚れた悪臭のする不衛生極まりない部屋で、子育てをするということに何の違和感も躊躇もなかったようだ。

裁判での証言

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裁判で、男児が両親の元を離れ、養子に出されることが決まった。ナーサリースタッフのエマ・グリーンはこう証言している。「男児の家はいつも強烈なタバコの臭いがしていました。タバコの空き箱もそこらじゅうに転がっていました。」

ソーシャルケア(児童相談所)のサラ・トムブリンも語る。「男児のおもちゃも、着ている服もものすごくタバコ臭かったです。明らかに子育てする環境じゃない。」

裁判官が下した判決

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今回、この男児を養子に出すことについて、判決を下した裁判官は「残念ながら今回のような状況は、両親が揃っているだけに非常に難しく、しかし、避けるべきではない事態です。実の両親が、子育てをする環境の大切さをしっかり把握していない限り、この男児に残されているのは養子という選択しかありません。」と語った。

「もし、彼が成長したら言ってあげたい。私がどうしてこのような判決を下したのかを。そしてこうも言いたい。あなたは両親に愛されていたわ。両親もきっと努力はしたのでしょう。でも、あなたを育てる上で、何が必要かを理解することができなかったのよ。」

男児の両親は裁判で、「家の中ではタバコは吸っていない」と主張したが、ヘルスビジターを始め、訪問した数人の証言者により証拠を提出され、また「受け入れがたい発言」と主張を撥ね退けた。

目に見えない虐待

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男児の両親の場合は、男児を叩いたりするなどの直接的な虐待はしていなかった。ただ、子供の前でタバコを吸っていただけだ。しかしながらこれも立派な育児放棄だ。不健康な環境での子育ては子供に良くないというのは両親なら知って当然のこと。それを理解しないまま子育てをするのは、子供の健康を無視しているのと同じだ。

この先、養子に出されたこの男児が、子供のことを考える良き里親に巡り合えて、幸せな人生を歩むことを願ってならない。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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