それは4月のある日。ダンボール2箱分の電子部品を寄付しに来たおばあさんがいました

出典 http://www.nbcbayarea.com

亡くなったご主人のものを片付けてまとめ、シリコンバレーによくある電子部品のリサイクルショップ「CleanBayArea」に処分しに来たおばあさん。

寄付する品物を見積もりし、翌年の確定申告時のために見合った額の控除チケットを切ってもらうのが普通ですが、それは受け取らず、連絡先も告げずに去ったそうです。

アメリカでは不要品の寄付がごく普通に行われています

寄付の仕方は大きく分けて2種類、1つはリサイクルショップに持ち込む場合、もう1つはチャリティに持ち込む場合です。

リサイクルショップはその場で買い取りをしてもらえますが、コンサインメント方式ならば、一時預かり扱いにした品物が売れれば利益の一部を持ち込んだ人に支払います。

チャリティでは現金のやり取りが無く、代わりに税金控除のチケットを発行してもらいます。

ただ、自分から見てあまりにも価値の無いものだと「引き取ってもらえれば、それだけでありがたい」と思ってしまうんですね。

どんどん新製品が出るコンピューター関係は、データを消去したり面倒な事も多いので、チャリティでは引き取ってくれないところが多いです。このおばあさんも、とにかく家から無くなって欲しい、こんなホコリばっかり吸い付けるようなもの、という気持ちがあったのではないでしょうか。

おばあさんが持ち込んだ箱も、こんな風に「とにかく放り込んだ」という雑然感がハンパなかったようです

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ああ、ウチにもこういう箱があります…

しばらく放置していた箱の中身を出してみたら、伝説のアップル・ワンそっくりの品物が出て来ました

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「最初は自分の目が信じられずに、偽物だろうって思ったんです。でも本物だった」と、副社長のヴィクター・ギチューンさんは、いまだに驚きを隠せません。

この型のアップル・ワンは、世界中に200機ほどしか現存しないのだそうです

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こちらはシリコンバレー、マウンテン・ビューにあるコンピューター歴史博物館に展示されているもので、持ち込まれたものと同じものだそうです。

博物館では、故スティーブ・ジョブズ氏とスティーブ・ウォズニアック氏が作成した最初のコンピュータとして紹介されています

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これがあの、自宅ガレージで制作された最初のPCなんですね!

そして、おばあさんの持ち込んだアップル・ワンは競売で20万ドルの値がつき買い取られたのです

CleanBayArea社のポリシーでは、売却利益を元の持ち主と折半、つまり売値の50%を持ち込んだ人に返金することになっています。

つまり10万ドル分(今日のレート換算で約1,240万円)の小切手が、おばあさんに支払われるべく宙に浮いているのです。

おばあさんを捜しあぐね、ローカル局に取材してもらうことにしたヴィクターさん

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「彼女のことはハッキリ覚えていますが、名前も住所も分かりません。このニュースを見ていたら、ただ来てくれれば小切手をお渡しします」

おばあさんがどうしても名前や身分を明かしたくなければ、振り出した小切手の支払先の箇所に自分で名前を書いてもらえばいいわけです。

ポリシーだから着服は出来ないからと探し始めたけれど、見つからないということならば経理上それなりに計上の仕様もあるのに、ここまでやってくれるのは他人事ながら何だか嬉しいですよね。

10万ドルは、お金持ちが多く何でも一桁以上違うシリコンバレーでは大した額ではないのかもしれませんが、それでもご主人を亡くした未亡人にとっては少なくない額のはず。このニュースを見ていて、名乗り出てくれるといいと思います。

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