今もコトバの中に生きている日本の音楽

千年以上の歴史のある日本の雅楽、奈良の正倉院にははるばるシルクロードを渡って日本にやってきた楽器なども遺されています。そんな日本の音楽や楽器にまつわるエピソードをご紹介。

野暮(ヤボ)の語源は天の声から

風流を解さない、人情の機微がわからない人を野暮な人、とか言いますね。この野暮、最近ではあまり耳にしなくなりましたが、実は雅楽で使われる楽器の名前からきているとも。

雅楽の管楽器は笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)と呼ばれる三管で構成されています。笙は天の声、篳篥は地の声、龍笛はその天と地をつなく龍の声と言われています。

天の声とされる笙は17本の竹管を組み合わせた構造でなんとも雅な和音を奏でます。この17管にはそれぞれ音階が割り当てられ、1管ずつ名前がつけられています。その中で也(や)と毛(もう)という2管は長い年月の間に音的に省かれてしまったようで管として存在はしていても何と音が出ません。そう、ただそこにあるだけなんです。

ここから「や・もう」は無駄なことを意味するようになり、「やもう」が「やぼ」になり、「野暮」になったと言われています。

宴席で先輩がすすめるお酒を「やもうけっこうです」とか野暮な事はいわないように・・・。

お調子者は演奏の基本?

雅楽は数々の楽曲が今に伝えられ、宮中や神社の式典での演奏が続けられています。雅楽の楽曲は「楽」(がく・らく)と言われ、有名なものは越天楽(えてんらく、越殿楽とも書く)でしょう。

また調子(ちょうし)という楽もあります。この調子という楽を演奏している間に糸ものと言われる絃楽器は管楽器の音に合わせて調絃を行っていたと、まさに調子を合わせる、ですね。

ここから調子をあわせるというコトバが相手に話を合わせ同調する行為を指すようになったと言われています。いい調子、調子が悪い、調子にのる、お調子者とかの調子はなんと雅楽の楽曲の名前から来ていたというお話。

複雑な人間関係、不協和音も発生しがちですが、時には調子を合わせる事も必要かも。

「体の調子を整える」などと使う「調子」。今では【体・考え・気分などの具合や状態】の意味で使いますが、実はこの「調子」は音楽からきたことばなのです。琵琶や三味線などでは【音の高低の具合】のことを「調子」と言ったそうです。

例えば「本調子」も三味線では【最も基本的な調弦法】のこと。そこから【物事の運びが本式なこと】という意味で使われるようになりました。

出典 http://www.nhk.or.jp

打ち合わせに抜かりはあるまいな?!

集まって相談する時に「◯◯時から打ち合わせしましょう」、とか気軽に言っていますが一体何を打つのでしょう?

この打ち合わせも実は雅楽から派生したコトバ。雅楽は世界最古のオーケストラと呼ばれていますが、楽器の配置はヨーロッパのそれとは趣を異にしています。

雅楽の指揮者は打ち物と言われる太鼓や鉦(かね)。演奏風景を観ると最前列正面に大太鼓がでんと座り、その陰に糸ものといわれる弦楽器、管楽器が並びます。雅楽では打楽器が基本の拍を刻みその拍節に合わせて演奏が進行します。このため楽を奏することを打合せると言っていました。

ここから打ち合わせるとは物事がうまく噛み合うように擦り合わせを行う、という意味で使われるようになったとか。

打ち合わせでは相づちばかり打ってないで言うべき事はきちんといいましょう。

ろれつが回らない、美しくない。

飲み過ぎちゃったりでろれつが回らない人も見かけます。
ところでこのろれつって何?

ろれつは呂律と書き、もともとは中国の音階の呼び名です。1オクターブを12音階に分け、陰(偶数番目)の音階を呂、陽の音階を律と呼んでいます。いわゆるメジャーとマイナーの違いですね。

雅楽でこの呂と律の二つの音階を奏する時、音階がうまくとれない事を呂律が回らなくなる、と言ったそうです。そこからコトバがうまく言えない時にろれつが回らない、との表現が生まれたとか。

音楽も飲み方も美しくありたいもの、です。

出典 http://www.o-gagaku.com

雅楽の12音階表記。

やたらなコトは言わないこと。

みだりにとか、むやみになどの意味に、「やたらに多い」「やたらめったら」などの言葉が使われます。このやたら(雅楽では夜多羅拍子、八多良拍子などと書く。

「矢鱈」は当て字)は雅楽の拍子を表す言葉の一つです。2拍・3拍・2拍・3拍と続く拍子で、騎馬民族に見られる3拍子を農耕民族である日本人は苦手だったようで、なかなかうまくいかなかった。そこで、めちゃくちゃになってしまうことを「やたら」というようになったともいいます。

出典 http://www.nihongagakukai.gr.jp

やたらめったら、とも使いますが実は滅多やたらというのが正しいようです。それでもコトバは生き物、その時代、時々に応じて変化して行くものです。今はそういう言い方も全然あるよ、という言い回しも否定されません。全然・・・ない、という否定形で言うのが本来の用法、その辺は全然OKとなっちゃってます。

出典 http://oyabindaze.blog121.fc2.com

めったやたらに検索してたらこんなのがありました。山形の名産だそうです。

いかがでしたか?雅楽は身近な音楽ではなくなってしまいましたが、雅楽の用語からは知らずに使っている身近なことばが意外と多いもの。このほかにも音頭をとる、頭取、楽屋、二の舞を演じるなど、まだまだありますが機会があれば紹介したいと思います。

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happyrabbit7979 このユーザーの他の記事を見る

向上心と好奇心旺盛。年に一度は海外に行っています。
和太鼓をやっています。

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