8人の麻薬犯を処刑したインドネシア政府

4月29日、各国からの反対を押し切ってかねてから予定されていた麻薬犯罪者の死刑がインドネシア政府によって執行されました。当初フィリピン人の女性も含む9人の処刑が発表されていた為、この死刑囚達は「バリ・ナイン」と呼ばれ世界各国のメディアから注目されていました。

人権保護団体やそれぞれの国の外交官達が死刑執行中止をインドネシア政府に呼びかけていましたが嘆願は聞き入れられず、女性を除く8人の死刑が執行されました。1名のインドネシア人を除き、全員外国人だった死刑囚達は目隠しを拒み、銃によって処刑されたのです。

この「バリ・ナイン」の主犯格として最も注目されていたのは、オーストラリア国籍である31歳のアンドリュー・チャンでした。彼と仲間のスクマラン元死刑囚は2005年にインドネシアからオーストラリアへ麻薬を密輸しようとしたところ逮捕され、処刑されるまで十年間刑務所に収容されていました。

チャン元死刑囚は生前、オーストラリアやイギリスの子供達向け学校教材の作成に協力し、自身の人生についての手紙を書くことで麻薬や犯罪に身を染めることの恐ろしさを伝えています。

出典 http://www.news.com.au

(チャン元死刑囚とスクマラン元死刑囚)

死刑囚から子供達への手紙

「僕にも15、16歳だった子供時代があり、君達の様に学校で授業を受けていたのもそんなに昔のことではありません。僕はごく普通の子供でしたが、先生達は僕のことが好きではありませんでしたし、僕も先生に気に入られたいなんて思っていませんでした。

簡潔に言うと、僕はかなり幼い頃から麻薬に手を出し、15歳になる頃には麻薬犯罪にも参加していました。僕も君達の様に、お父さんやお母さんに隠し事をしていました。しかし最終的には、僕の秘密は手の付けられない問題になってしまったのです。

僕は自分の人生に誇りを持つことはできません。愚か過ぎる間違った道を選択してしまいました。

出典 http://www.capitalbay.com

「僕の生涯は、人生の無駄遣いの完璧なお手本です。罪を犯して刑務所にいることで、僕は結婚式やお葬式、そして家族とただ一緒に過ごす時間全てを失いました。僕自身でなく、僕の家族が受けた痛みや悲しみは苦しいものです。

ハグの様な小さな触れ合いすらも、僕の様な犯罪者には夢のまた夢です。愛おしい、大切な人々の代わりに、僕が抱きしめることができるのは鉄格子だけです。

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(チャン元死刑囚の遺族)

「君たちの今日の選択が明日を作り出します。もし君がチンピラになって悪の道を歩みたいのなら、塀の中で会いましょう。けれどもし君が意義のある人生を求めているのなら、真面目に勉学に勤しむことの大切さを知って下さい。

僕の言葉が君達の心に届き、君達全員が、人生において僕よりもずっと大きな成果を出すことを願っています。」

出典 http://www.capitalbay.com

社会問題の被害者でもある犯罪者達

チャン元死刑囚は子供時代に人種差別といじめに苦しみ、武装手段としてギャングの仲間入りをしました。20人いた子供時代からの友人達のうち9人は既にこの世を去り、残りは皆刑務所の中にいるそうです。

もちろん難しい逆境の中でも正しく生きた人々は大勢いますが、未熟な若者が道を誤るのはごく簡単なことでしょう。麻薬によって人生の三分の一を塀の中で過ごし、改心しても法を覆すことはできずに若くして処刑されたチャン元死刑囚。彼の言葉が子供達の心を動かすことができたなら、決して彼の人生は無駄では無かったと言えるでしょう。

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