歌手の絢香さんや岩崎宏美さんも苦しんだバセドウ病。目が飛び出す症状がよく知られていますが、じつは下痢を繰り返す人にもバセドウ病の可能性があるんです。

バセドウ病は自己免疫疾患

本来、自分の体に入り込んだ異物から身を守ってくれるはずの免疫システムが正常な細胞を攻撃してしまうことを自己免疫疾患といいます。バセドウ病もこの自己免疫疾患の1つです。

甲状腺を異物とみなした抗体が甲状腺を刺激し続けることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうのです。

新陳代謝を促進するホルモンを分泌する甲状腺

甲状腺は身体活動に大きく関与しています。甲状腺の働きが強すぎると体は消耗状態になり、甲状腺の働きが弱すぎると体の機能も低下してしまいます。「バセドウ病」は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで不調をもたらす病気です。逆に甲状腺ホルモンが不足してしまう病気を「橋本病」といいます。

「バセドウ病」「橋本病」が甲状腺疾患のなかで最も多い病気です。まったく逆の病気のように見えるのですが、体調によってはどちらかが優勢になってしまうことがあり、岩崎宏美さんのように併発することも珍しくはありません。

若年から中年の女性に多く見られる病気で、日本人女性の30人に1人が何らかの甲状腺のトラブルを抱えているとも言われています。

バセドウ病の症状

・甲状腺浮腫(甲状腺の腫れ)

・動悸・息切れ・疲れやすい

・多汗

・体重の減少

・眼球突出

・手足の震え

・下痢

・月経異常

なかでも代表的な症状が動悸です。新陳代謝が異常に活発になり、エネルギーが無駄に消費されてしまいます。いつもマラソンをしているような状態なので、動悸がして眠れないという人もいます。暑がりになったり、よく汗をかくようにもなります。

女性の場合は更年期の症状と似ているので見過ごしてしまう場合があります。

外見の変化

【甲状腺浮腫】バセドウ病では首の前面が全体的に腫れ、首が太くなったように見えます。これを甲状腺浮腫といいます。喉仏の下にある甲状腺は、正常な状態では筋肉に覆われて触れることができませんが、腫れやしこりが生じると触れられるようになります。

一般的に若い人のほうが腫れが大きくなりやすい傾向があります。高齢者になると腫れが出にくいため、病気を見逃してしまわないよう注意してください。

【眼球突出】眼球突出をきたす場合は3割程度でけして多くはありません。喫煙をしている人に多く現れる症状です。こちらも若い人ほど眼球突出が強く現れますが、日本人の場合は全体的に程度は軽いと言われています。

ただし、目の症状は甲状腺機能が正常に戻っても出てくることがあるので、異変を感じたらすぐに眼科を受診しましょう。目の症状には眼球突出の他に上まぶたが腫れる「眼瞼腫脹」、上まぶたが吊られたようになり、目が大きく見える「眼瞼後退」もあります。

下痢が続く

バセドウ病と関係がないように思えますが、腸のぜん動運動が活発になりすぎて下痢をすることあります。下痢の症状が和らいでも動悸や多汗が続く場合は、病院で検査を受けることをおすすめします。

筆者の身内は高齢のため甲状腺の腫れが見られませんでしたが、動悸や多汗、下痢がありました。同じような症状で悩んでいる方はぜひ一度病院へ。

遺伝因子と発症の関係

バセドウ病を起こしやすい体質は遺伝しますが、病気そのものが遺伝するわけではありません。発症のメカニズムは不明です。遺伝と関わりが強い糖尿病と比べると、バセドウ病の発症率は低いと言われています。

検査と治療


バセドウ病、橋本病の検査は「血液検査」「超音波検査」の2つが主流です。検査結果に1週間から10日ほどかかりますが、検査自体は概ね1日で終わります。痛みもありません。

治療は薬物療法が中心になります。定期的に行われる血液検査をもとに処方された薬を服用して、血液中の甲状腺ホルモンの量を調整していきます。甲状腺浮腫が大きい場合は手術や放射線治療が必要になる場合が多いようです。

日常生活に制限はほとんどない

甲状腺の機能亢進状態が続いている間は、激しい運動やお酒を控える必要がありますが、甲状腺ホルモンの濃度が正常になれば普通の人とまったく変わらない生活ができます。妊娠や出産も可能です。

医師の診断を受け、適切な治療を受ければ怖い病気ではありません。根気強く治療を続けていれば以前と変わらない日常生活を送ることができるのです。

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華蓮 このユーザーの他の記事を見る

子供の頃から不思議なものを見つけたら調べずにはいられない性格。ちょっと恥ずかしがり屋なのはご愛嬌。一般の人が知らない「面白い」を探すのが私の喜びです。

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