日本にとって台湾は、香港やアメリカと並ぶ、日本の農産物や食品の主な輸出先です。青森県産りんごの95%は台湾向けと言われるように、食品別で見ると最大の輸出先にもなっています。いわば最重要取引先です。その台湾で「食品の産地偽装問題」が起こり、日本からの食品輸入について、規制が強化されることとなりました。

台湾の衛生福利部食品薬物管理署(FDA)基隆弁事処は3月24日、10社の台湾企業が、東京電力福島第1原子力発電所事故の発生で輸入禁止地域としてい る福島など5県の食品の産地を偽装して申告している事例を発見したと発表した。FDAは産地偽装の疑いのある食品283件のリストを公表し、輸入企業に対し卸し先の企業に市場から商品を撤去するよう通知した。

出典 http://www.jetro.go.jp

食品偽装が発覚したのは先月末ですが、台湾からは昨年度10月に、日本から輸入する食品に対して追加書類を求める通知を受けていました。台湾では現在、お酒をのぞく福島・茨城・栃木・群馬・千葉県産の全ての食品が輸入停止となっています。

厳しい注文は期待の裏返し

台湾では福島・茨城・栃木・群馬・千葉県産の全ての食品が輸入停止。中国や香港も同様の措置を取っている

台湾サイドより、日本から食品を輸入する際には規制を強化(実務的には書類の追加)したいとの申し出あり。

日本政府、関係しそうな日本の事業者に、安全への取り組みについて意見があったらお願いねとパブリックコメントを募集。

台湾で食品の産地偽装が発覚。輸入禁止地域産の食品が台湾国内に流通していたことが明るみになり、産地偽装された食品は店頭より撤収された。

台湾サイド、通告通り輸入規制を強化することに決定。来月5月中旬より実施すると、日本政府へ通知。

日本政府、輸入規制の緩和を狙っていたものの、結果は規制強化に繋がり「遺憾」と表明。

つまり、輸入お断りな態度をもうちょっと軟化、できれば撤廃なんてしてくれたら嬉しいなーと日本サイドは口説いていたものの、以前よりもツレナイ態度になってしまった。地理的にも近く、取引量も多い台湾を陥落することができずに終わりました。

原発事故後、世界50か国で同様の輸入禁止措置が取られました。オーストラリアやカナダなどではすでに撤廃されて、徐々に規制はゆるくなりつつありますが、近隣諸国からの信頼は得られないという残念な結果となりました。

台湾から日本への観光客は絶好調なのに、うまくいかないものですね。そして、その台湾人観光客の多くが日本での「食」を楽しみにしているというのに、皮肉です。

産地証明を発行してもらうのは大変なの?

産地偽装を防ぐために台湾政府は、原産地証明の添付と野菜・果物・乳製品などの特定食品について、公的機関が発行する放射能検査済み証明を希望しています。

これらの書類は商工会議所などで発行されるもので、定型のフォーマットがあります。特に産地証明については、貿易、特に食品の輸出入ではよく使われるごくありふれた書類で、決してペナルティ的に使われるような性質の書類ではありません。

過去には日本も輸入食品の全面禁止を行ったことも

今から15年ほど前、欧州を中心に狂牛病(BSE)が大きな問題となった時、日本はBSE発生国から牛肉の全面輸入禁止措置を取りました。輸入禁止から再開まで数年かかり、現在も輸入禁止措置が取られたままの地域もあります。

狂牛病の全容がなかなか明らかにならず、不安にかられた日本国内の消費者が過剰反応ともとれる反応を示し、社会問題となりました。あら、なんだか今回の台湾の騒動と似ていますね。正体がわからず、被害がどこまで拡大するかわからない、しかもそれが食べ物となると、神経質になるのはいずこも同じなようです。

日本の厚生労働省はその時どんな対策を取ったのか?

”「輸入条件を守れる」ところからのみ輸出することができる”

出典 http://www.mhlw.go.jp

今回の台湾政府がとった規制強化策と同じく、実に明確な方針ですね。かつて日本政府が他国に求めた措置を、今度は求められる番となりました。

顧客の注文に応えるのはいつだって大変なことですが、相手が最重要取引先ともなれば、そこは最大限努力すべきところではないでしょうか。顧客目線に立って厳しい注文にも応え続けることで、強固になっていく信頼関係もあります。注文に応え続けるのは、ほんと大変なんですけどね。

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とある地方都市在住の暇な人です。おかたいところとばっかり縁があった反動で、すっかりゆるふわ好きになりました。リラックスして楽しめる、そんな情報をお届けしたいと思ってます。

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