記事提供:カラパイア

製薬会社の実験台となるため、赤ん坊の頃にアフリカのジャングルからヨーロッパに連れ去られたチンパンジーたち。中には研究所で生まれてきたものもいる。彼等は太陽の光を見ることなく、30年間ずっと実験室の金属の檻に閉じ込められていた。

多くのチンパンジーたちは死んでしまったが、生き残った38頭のチンパンジーが、30年ぶりに解放されることとなった。柵と防弾ガラスで隔離されていた実験室から、日の当たる緑生い茂る世界へと放たれたのだ。それは2011年9月のことだった。

出典 YouTube

恐ろしいことに、彼らを6年間育てた母親のチンパンジーたちは、みんな殺されてしまった。チンパンジーたちを監禁していたラボは、エイズ撲滅のワクチンを見つけるためにチンパンジーを買った。

チンパンジーと人間は遺伝子の99%が同じなので、研究のためには絶好の実験台だったのだ。

チンパンジーたちは、エイズウイルスを注射されるなどの残酷な処置を受けることになり、機械につながれ、化学物質を投与され、まさに彼らは絶望の淵の囚人そのものだった。

なんの楽しみも温かな愛情も希望もなく、多くは発狂寸前まで追い込まれたり、それ以上の悲劇にみまわれる場合もあった。

しかし、ついにチンパンジーたちの苦しみは終わった。生き残った38頭のチンパンジーたちがオーストリアのザルツブルグ近くのガット・アイダービヒル動物保護区に解放されたのだ。

長年、柵と防弾ガラスで隔てられていたが、仲間のチンパンジーたちと接触することができた。

スシ、デイヴィッド、クライド、リンゴア、モーリッツとほかの生き延びた仲間たちは自由になり、これからは一緒に生活できるだろう。これは自然保護活動家のマイケル・アウフハウザー(59)の惜しみない努力の成果だった。

ヨーロッパの4か国で運営されている、動物のための慈善団体の創設者であるアウフハウザーは、ウィーン郊外の今は使われていないサファリパークにある保護施設建設の監督をした。

「彼らがラボで負った傷がどんなものか、誰にもわかるまい」とアウフハウザーは言う。

30年ぶりに太陽のもとに足を踏み出すチンパンジーたち。笑顔で手を振っているように見える。

勇気を出して外の世界を覗き込むチンパンジーのクライド(左)。身を寄せ合いながら、新しい世界を覗き込む3匹のチンパンジー(右)。

自由になって初めて日光浴する37歳のスシ。スシは35年間、外に出たことがなかった。

「程度の差はあれ、どのチンパンジーもみんなトラウマを負っている。2頭は解放前に死に、生き延びたチンパンジーが体験した監禁されていたときの生活はとても考えられないようなものだったろう。エイズウイルスを注射されたチンパンジーもいた。

もちろん、彼らは、HIVウィルスに感染しているが、このオーストリアでも世界中どこでも、エイズ(後天性免疫不全症候群)が進行したチンパンジーなどいない。だから、この動物実験は無意味でなんの役にも立たないものだったのだ」。

檻に閉じ込められ実験台となっていたころのチンパンジー

数年前、アメリカの大手製薬会社バクターが、問題のオーストリアの研究所を買収して、すぐにこうした試験プログラムを続けるつもりはないことを発表した。

さらに、会社には、50~60歳まで生きられるはずのチンパンジーの人生をより良いものにしていく道徳的な義務があると決断した。チンパンジーたちはやっと残りの人生のための尊厳と楽しみをもてることになる。

出典:dailymail

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