記憶はなくとも履歴は残る。

お酒を飲んで、自分ではそんなに飲んだつもりがなくても「あれ?昨日どうやって帰ったのかな…風呂入ってるし、スーツもちゃんとハンガーにかけてるしお米も洗って炊飯器のタイマーセットしてあるし…」「ぅわ!なんかケータイにめっちゃ発信履歴が!!」なんてことはありませんか?私はあります(笑えない

お酒にまつわる話でよく出てくる「記憶をなくす」。笑い話で済むうちはまだいいですが、なくしたのは『信頼』や『家族』ひいては『自分自身』になる前にその怖さを知っておきましょう。

2つの「中毒」

「中毒」を英訳すると「poisoning」と「addiction」の2つの単語が出てきます。「poisoning」は「poison=毒」が身体に入って引き起こす中毒のこと=『中毒を起こす』時の中毒。食中毒や一酸化炭素中毒なんかが「poisoning」です。

学生が飲みすぎて救急車で運ばれる「急性アルコール中毒」はこちらですね。

「addiction」は麻薬や「-holic=本来ならば悪いものではない事柄に過度に依存し、肉体的、心理的、社会的に悪影響を及ぼしている状況」から抜け出せない状態になっていること=『中毒になる』時の中毒。

今では『依存症』という呼び方が一般的ですね。「holic」の前にはいろんな単語が入ります。「work」「shopping」そして「alcohol=アルコール」も。『alcoholic』、アルコール依存症です。

単純に『アル中』といっても「急性アルコール中毒」と「アルコール依存症」があるのです。まれに「熱狂的アルフィーファン」を指すこともあります(古いw

出典 YouTube

『Addicted to you』

詩的に言うと「キミにくびったけ」みたいな感じになりますが(古いw←2度目

酒に酔う、ということ

出典 http://free-photos.gatag.net

「酒を飲む」ということは「アルコールを摂取する」ことです。アルコールの摂取量=血中濃度に準じて大脳皮質の前頭葉、小脳、海馬、そして脳全体とそれぞれの機能をじわじわと抑制していく行為です。「酒に酔う」とはそうして脳を麻痺させていることに他なりません。

出典 http://www.arukenkyo.or.jp

公益社団法人アルコール健康医学協会のサイトからの引用です。酒量とアルコールの血中濃度、酔いの状態そして脳への影響が一目でわかります。こういうことなんです。

ほろ酔い程度までは脳の外側、大脳皮質の活動が低下するにとどまりますが、酩酊期では小脳まで麻痺(まひ)が広がり、同じことを何度も言ったり千鳥足になったりします。泥酔状態では記憶の中枢海馬まで麻痺するので、記憶を失う「ブラックアウト」が起きてきます。昏睡状態ではいよいよ麻痺が脳全体に及び、呼吸中枢も麻痺して最終的には死に至ります。

出典 http://health.goo.ne.jp

記憶をなくす、ということは急性アルコール中毒で搬送される一歩手前、ということになります。危なかったんです。本当は。あなたも私も。

アルコール依存症への扉

出典 http://free-photo.net

ブラックアウトを起こしたからといって必ずしも「アルコール依存症」になるとは限りませんが、頻繁に記憶をなくすことが多くなってきている、となると話が変わってきます。

それはそれだけ酒量が増えている、酩酊状態が頻繁、依存度が高まっている、ということになっているのです。またそれだけ脳の機能障害を引き起こしている、とも言えます。

そして記憶をなくしている間の行動…記憶をなくしているんですよ?何したか覚えていますか?聞くのも怖いですよね。

アルコール依存症は、軽症のうちほど回復しやすい病気です。ところが病気の症状や治療について、また、重症化したときのおそろしさなど、一般的な知識や理解が十分だとは言えません。

出典 http://www.amazon.co.jp

夫、鴨志田譲さんをアルコール依存症から来た病で亡くした西原さんの想いのつまった『西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気』(小学館)の内容紹介からの引用です。

厚生労働省の全国調査によれば、現在日本における治療の必要なアルコール依存症者は推計80万人。成人男性の50人に1人(2%)、成人女性の1000人に1人(0.1%)の割合。依存症の疑いのある人は、実に440万人。

平均寿命は52歳。ある専門病院の統計によると、退院患者は年平均4~5%死亡し、10年後の生存率は約50%とのことです。主な死因は、肝硬変などの肝臓障害、急性心不全(多くは急性アルコール中毒)、脳血管障害(脳梗塞・脳出血)、自殺、事故などです。

出典『西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気』小学館

「記憶なくしちゃったー☆」
踏みとどまれるかどうかはあなたと私次第です。え?自分だけは大丈夫?

…この「アルコール依存症」という『病気』の一番やっかいな症例が「依存症であることの否定」なんです。

記憶をなくしたその影でもっと大切なものをたくさん失くして無くしているかもしれません。だって記憶がないんです。だから失っていることにも気がつかないんです。気がついた時はもう遅いかもしれません。だからその前に。自壊を止めて。自戒を込めて。

まずは試してみませんか?

先人たちに学ぶ

故中川昭一氏やSMAPの草彅くん。急性なのか依存なのかはわかりませんがアルコールが原因で大きなものを失ってしまった有名人もいます。

なにか事件があった時の「酒を飲んでいて覚えていない」「酔いの為、気が大きくなっていた」なんて言葉も目にしたくないのに目に入る機会も増えてきたような気もします。

とは言いつつ。私はまだ飲んでます。ただ。酒を飲み続けた先になにがあるのか、知っておいても損はないと思います。

美味しいお酒、飲んでますか?

出典 http://tetujin201.exblog.jp

最近、行ってないなあ…

突然ですが、みなさんは“おいしいお酒”を楽しんでいますか?いえいえ、決して、高級なお酒を飲んでいますか?…という意味ではありません(笑)。

仕事の仲間や家族、パートナーと美味しい食事を楽しみながらゆっくり飲むお酒は、心身の疲れを癒してくれるもの。「今日のお酒は美味しかったな」と思えたら、それは正しいお酒との付き合い方ができているということです。

出典 http://www.stopsake.com

アルコール依存症になると、「一口だけ」のつもりで飲み始めたアルコールを止めることができなくなり、必ず飲み過ぎてしまうようになってしまいます。

この症状は「コントロール障害」とも呼ばれますが、切りが良いところで止めることができないわけですから、必ず酔っ払って周囲に迷惑をかけるなどの問題行動が目立つようになってくるでしょう。

出典 http://www.stopsake.com

「記憶をなくす」こともその一つです。最近多いな、と感じたら。周りの大事な人たちがいつもと接し方が違うかな、と感じたら。まずは振り返ってみませんか?

もちろん、依存症に陥るリスクだけではなく、内蔵疾患のリスクだって高まりますし、認知症への悪影響も注目されています。

適度な量でさえいれば酒は百薬の長であることは科学的にも証明されています(詳しくは厚生労働省のサイトへ)。だからきっと、必ず、酒とうまくつき合っていけるはずだとまだ思っています。

酒の正体

酒には人格がない。人によってはアルコールのことを性悪女のように言う者もおり、無二の親友のように言う者もいるけれど、もちろんのことに酒そのものに人格はない。

それらはすべて自分の中に棲みついている性悪女であり親友であり、酒というものはそれら自分の中の他者と対話するための「言葉」のようなものだろう。

出典中島らも「愛をひっかけるための釘」集英社文庫

飲む機会が少ないのでその時間を大切にするようになった。いいことのあった日に、一番好きな人と一緒に飲む。それ以外はお断りする。そうして少しだけ心ほころびるように飲む酒はとても「うまい」。甘露の味がする。

今だから自信をもって言えるが酒というのは決して「性悪女」ではない。断じてそうではない。

出典中島らも、同。

酒と泪と男と女。酒は飲んでも飲まれるな。酒を媒介にしてできた大切な時間を忘れないように。

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酒と泪と家族とコネタをこよなく愛する40代半ばの週末料理人、たまに公式ライター。兵庫県生まれ兵庫県育ち。東京在住。主に飲み屋街に出没。人生はプロレス。生きものばんざい。涙腺弱い。胆石持ち。豆腐メンタル。アイドル好き。同級生の嫁、大学生の息子と中3の娘、そしてカメ3匹と暮らしています。BABYMETALが遠くに行ってしまい子離れに耐える親気分w (twitter: @makidekazu )

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