須藤暁子です。今年に入り、姉妹2人が殺害され母親が逮捕されるという事件が立て続けに2件起こりました。このニュースに衝撃を受ける一方、『ありえない』とは思えない自分がいます。1人と2人では子育ての大変さは別格で『育児ノイローゼ』は他人事ではなくなってきてしまうのです。

世間では『ありえない』という反応が多く見られたようですが、そう思える他人のあなたにぜひとって欲しい行動があります。母親なら誰もが感じる心の負担であり、他人からするとほんの些細なことなのです。

母親が子供2人を自分の手で殺してしまった2つの事件

千葉県柏市酒井根の住宅で4歳の女児と1歳の女児が殺害された殺人事件で、30代の母親が逮捕された。朝から仕事に行っていた夫に「子供を死なせてしまった」と連絡し事件が発覚。

母親は「育児で悩んで疲れていた。首を絞めて殺した」「自分も死ぬつもりだったが、死ねなかった」と供述。日常的に虐待されていたような痕は残っていない。

出典 http://breaking-news.jp

神奈川・厚木市のマンションで、6歳と3歳の姉妹が布団の上であおむけの状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。警察は、その場にいた母親が、「手で2人の首を絞めた」と、容疑を認めたため逮捕した。

母親の知人は「すごく、一生懸命育ててましたよ。」と話した。事件当日、「おかえり」と、優しく娘を出迎えていたという母親。しかし、「家事や育児をこのまま続けられるのか、将来が不安になった」と供述している。容疑者は「全部、わたしが悪いんです。娘たちに罪はないです」と供述している。

出典 http://www.fnn-news.com

世間の反応は『ありえない』。『ありえない』以外のTwitterの反応は少数だった。

2人目の子供を出産し、崩れる理想

『好きで産んだんでしょ』という声が聞こえてきそうですが…。そうなんです。1人目の子は3歳になり、家事も時間作りもできていました。特に不安もなく、満を持して2人目を産んだはずが…。筆者も次男が4ヶ月になるいま、理想や予想と大きくかけ離れる現実を痛感中です。

・自分ってこんなにイライラするの?/家事育児マシーンと化し、充電(寝ること)、放電(気を抜くこと)を許されない日々。毎日眉間にしわを寄せ動き回り、話が一応通じる上の子を無駄に怒ってしまい寝顔をみて『ごめんね』。イライラしないと決めた翌日には同じ事を繰り返す。

・恐怖の夜がやってくる/真夜中には一瞬の隙をつきポテトチップスやアイスをやけ食い。せっかく寝かせた次男は長男により起こされ、長男は次男の泣き声に起こされ、20時に寝かしつけ始めたハズなのに2人とも日を超えるまで眠れないことも。

・お風呂に入りたいだけなのに…/お風呂はとにかく子供たちに集中するが、赤ん坊のギャン泣きは風呂場スピーカーで100dBを超える。自分は素っ裸で身体も拭けずに着替えをさせる。臭い髪はひっつめ団子でごまかし、かさかさの肌には触らないようになった。汚い自分を悲観しつつも、夫は働き盛り、ほぼ1人育児のため形振りかまっていられない。

・頑張っても人知れず元通り/さらにこの1ヶ月間は、長男、次男ともに風邪をひいたり良くなったりを繰り返し、毎日のようにだっこにおんぶで小児科へ行き、長男の体力を消耗させきれずに帰ってくる。家で大暴れし、せっかく片付けたのに、前よりひどく散らかった…。の繰り返し。

私の場合は家族も友人も近くにいるからヘルプはしてもらえるのですが、考えていたよりもずっと体力と根性が必要だし、時間もお金もぶっ飛んでいきます。事件の母親とは子供の年齢も違いますが、どんどん新たな悩みが出てくるのだと思うと、悲観してしまうのもわかります。

なぜ子供を『2人とも』殺し、自分は死にきれないのか

最初は、決して子供を殺したいのではなく、自分が死にたい。でもその気持ちを形にするときに、子供2人を愛しすぎているからこそ、自分が死んだことで2人を悲しませられないと考えてしまう。

2人を同じようにかわいがってまじめに頑張ってきた証拠です。もちろん犯人を擁護したいわけではありません、ただ、自殺をしたかった母親の気持ちを考えてみると、本当に子供を愛していたんだろうなと想像できるのです。

『子供を殺す』のは簡単、でもいざ『自分を殺す』ときには、いったん痛みを伴うとその先は自分の意志だけでは困難です。痛みの後には、死ぬ意志を継続させることは難しい。切腹なんて、痛みが伝わる前の一瞬で終わらせなければ不可能です。もしくは偶然的に、自分を殺す作業が継続するようなやり方でなければ。

『自分が死にきれなかった』のは当然です。心中を図るなら、まず子供を殺す前に裸足で外に出てみたり、思いっきり自分の顔をひっぱたいてみるといい。

足底にガラスが刺さって痛い事に恐怖を感じたり、少しでも頬を打つのに手加減をする自分がいるならば、きっと死にきれないですから。

うちの妻は大丈夫!?自己犠牲精神をもつ良妻こそ危ない。

『ウチの妻は良妻だから大丈夫』いやいやいや!答えは『NO』です!あなたにとって良妻であるならば、無意識にであっても自分を押さえているということなんです。

もし『私は全然大丈夫だよ』といってくれる奥さんだったら、その人はあなたを気遣ってくれる優しい人なんです。そしてその良妻ほど、じわじわと育児ノイローゼに陥っていく可能性が高いのです。


・主人は頑張って働いてくれている。家族のためにいつもありがとう。

・迷惑かけちゃってごめんね。

・夜中の授乳や夜泣きはパパを起こさないように別の部屋へ。明日も仕事だもんね。

・せっかくの休みには好きなことをさせてあげたいな。飲み会も行ってきていいよ。

こんな奥さんは要注意!昔の時代はこうだったはずの日本の女性ですが、この慎ましき感覚を備えたあなたの奥様は、現代社会においてきっと育児で苦しんでいます。SNS、ネットの育児情報、お稽古事、華やかなキャラ弁や美魔女。

自分だけが何もできないような気になり、さらに旦那さんや子供に尽くす。自分なんかと結婚して良かったのかな、私は何もできないのにありがたいな、と。本当に感謝をしているし愛しているので、友人に愚痴なども言わない。はけ口がまるでなく八方ふさがりになっていってしまいます。

『育メン』とか、『残念な夫 』とかいって、女の理想を旦那さんに押しつけてストレスをちゃんとはき出す事のできる奥さんの方が、かえって心配いらないのかも。

『ありえない』と思う他人のあなただからできること

電車の中で

・舌打ちしない。

・子供がさわいでいても、眉間にしわを寄せない。

・『かまわんよ』という顔をしてくれる。



これだけでいいんです。これだけで私たちは救われます。もし子供をみて、ふっとほほえんでくれようもんなら、お母さんたちはそれだけで涙が出るほどうれしいのです。迷惑なのもわかっているし、電車やバスでけむたがられているのも知ってます。でも子供って、コントロールができないんです。

ただでさえ子供が走り回ったり迷子にならないかを神経とがらせてみているので、2人以上の子供を1人で連れ出す場合は、さらに外出に恐怖を感じるようになります。

ネットでの表面的なやりとりはあるのに、他人の温もりや、近所の人からの声かけは確実に減っています。

だからこそ『他人』のあなたがみせる少しの優しさが、皆さんへの迷惑を気にする『まじめなお母さん』を救ってくれるのです。自分のお母さんを思い出して、少しだけ口角を挙げてみて下さい。

母親が本当に『しなければいけないこと』はただ一つ

『子供と一緒に生きること』。

子供を殺さないこと。自分も生きること。生きてさえいればいいんです。周りと比較したら、教育や生活をもっともっと充実させなければならない気がしてしまうかもしれないけれど、それは誰もが感じていること。子供に『勉強』『英語』『音楽』『スポーツ』など、何かを求めるのではなく、まず生きることを目標に。

こんな時代だから、身の丈にあった苦しすぎない生活をおくれるようにしたいものです。だって、私たちが完璧じゃあないんですもの。『生きてさえいればいい』という芯を一本通して、お母さん頑張りましょう!

この記事を書いたユーザー

須藤 暁子 このユーザーの他の記事を見る

医師、コラムニスト。Spotlightプラチナ公式ライター。
大学病院に勤務する二児の母。総合格闘技、プロレス興行でリングドクターを務める。
http://ameblo.jp/akko-1005/
『Dr.須藤暁子の読むおくすり』
Twitter/@akicost
Instagram/AKIKO_SUTO

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス