流通ジャーナリストの金子哲雄さん。生前、フジテレビ系列の『ホンマでっか!?TV』にコメンテーターとしてよくご出演されていたのでご存知の方も多いと思います。

個性的な喋り方と、とことん「お得情報」を提供してくれる味のあるキャラクターで親しまれていましたが、肺カルチノイドという肺がんの一種を患い、2012年10月2日に永眠されました。

病気で痩せたことを隠し「ダイエットに成功した」

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闘病生活に入った時期につじつまを合わせるように、「昨年(2011年)5月ごろから」「昨年夏から」食事療法によるダイエットを開始したと説明。テレビ出演した際には、具体的に「毎朝、手作りのにんじんジュースを飲む」「昼食は玄米と野菜中心の手作り弁当」などと健康的なダイエットの方法を解説していた。

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2011年6月に病気が発覚すると、家族とごく一部の関係者にしか病名は明かしませんでした。奥様である稚子さんは病気を告知し、仕事を休み闘病するべきだと説得するも「仕事をしないと精神的に落ち込んで闘病するモチベーションが下がるから」と、金子さんは仕事を続けました。

目に見えて痩せた金子さんを見て、インターネット上では彼の激やせぶりを心配する声もあがっていましたが、「睡眠時無呼吸症候群を改善するため」ダイエットし、「13キロの減量に成功した」と話し、病魔に侵されていても死ぬ間際(亡くなる前日)まで働き続け、視聴者のために「お得情報」を発信し続けたプロ根性には頭が下がる思いです。

そしてその「プロ根性」は最期の最期まで発揮されました。

自分のお葬式まで自分自身でプロデュースしたのです。

「東京タワーを見たら僕のことを思い出して」

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墓は、東京タワーの目と鼻の先にある場所に決めていた。その理由として礼状に、「東京タワーを見て自分の姿を思い出してもらえればうれしい」との思いを込めた。戒名まで既に手配済みで、家族や周囲の人に対する細やかな心遣いが、テレビの情報番組で絶賛されていた。

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東京タワーが大好きだった金子さんは葬儀場を東京タワーに隣接している『心光院』で行うことに決めると、お墓、戒名、さらには葬儀の進行、司会者、会葬者へのおもてなしまですべて金子さんご自身で決めたそうです。

亡くなる数時間前に仕出しの相談

会葬者にふるまわれた仕出し料理も、寿司からオードブル、煮物といった内容まで全て金子さんが決めていました。

控室には50インチのモニターテレビが置かれ、これまで自身が出演したバラエティー番組をエンドレスで流していました。会葬者には賑やかにしていてほしいという金子さんなりの気遣いだったようです。

会葬者に配られた礼状も自らが用意

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会葬者全員に配られた礼状も、金子哲雄さん本人が生前に自ら用意したものでした。(以下、全文)

このたびは、お忙しい中、私、金子哲雄の葬儀にご列席たまわり、ありがとうございました。今回、41歳で人生における早期リタイア制度を利用させていただいたことに対し、感謝申し上げると同時に、現在、お仕事などにて、お世話になっている関係者のみなさまに、ご迷惑おかけしましたこと、心よりおわび申し上げます。申し訳ございません。

もちろん、早期リタイアしたからといって、ゆっくりと休むつもりは毛頭ございません!第二の現場では、全国どこでも、すぐに行くことができる「魔法のドア」があるとうかがっております。

そこで、札幌、東京、名古屋、大阪、松山、福岡など、お世話になったみなさまがいらっしゃる地域におじゃまし、心あたたまるハッピーな話題、おトクなネタを探して、歩き回り、情報発信を継続したい所存です。

今回、ご縁がありまして東京タワーの足元、心光院さまが次の拠点となりました。「何か、面白いネタがないかな?」と思われましたら、チャンネルや周波数を東京タワー方面に合わせ、金子の姿を思い出していただけましたら幸いです。

このたび、葬儀を執り行うにあたりまして葬儀社のセレモニーみやざき宮崎美津子さまには生前より真摯(しんし)に相談にのって頂きました。

また、自分の歩んできた道とゆかりのある港区東麻布を終(つい)の住処とすることをお許しいただきました、浄土宗心光院御住職、戸松義晴先生には公私にわたり、死生観などのアドバイスをちょうだいしました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

最後になりますが、本日、ご列席下さいました、みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈りしております。41年間、お世話になり、ありがとうございました。

急ぎ、書面にて御礼まで。

平成24年10月1日
流通ジャーナリスト金子哲雄

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彼らしい言葉のチョイスに会葬者は笑いと涙に包まれたそうです。

文末の日付を見ると亡くなる前日に書かれていたことがわかります。このお礼状の中にも名前がある宮崎美津子さんは、金子さんが生前、自身の葬儀について相談をしていた人物でした。

「私の人生に悔いはありません。さよならです。」

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金子さんが亡くなる前日に、宮崎さんは金子さんにお会いしていたそうです。

10月1日(月)の午後9時頃、携帯電話に着信が入っていたので、金子様に折り返しの電話を入れました。すると「宮崎さん、もうお別れです。これでさよならです。」とおっしゃられました。私はいても立ってもおられず急遽ご自宅へ伺いました。

「宮崎さんお忙しい中ありがとうございます。もうお別れです。一ヶ月半、命をいただきました。ありがとうございました。」無言の私に「私の人生に悔いはありません。さよならです。あとはよろしくお願いいたします。」金子様の温かい手で、私の手を包んでくださいました。

『奇跡はないのか、神様どうかこの方を助けてください。』

私は思わず心の中で叫びました。そしてその時が近いことを悟りました。臨終を迎える時まで、ご自身の成すべきことをきちっとこなし、旅立ちの支度を奥様とご一緒にされる気持ちを考えると、涙が止まらなくなり言葉が出ませんでした。

そして、日付が変わった翌10月2日(火)金子哲雄様は旅立たれました。

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「あとはよろしくお願いいたします」

最期を察して準備してきた自身の葬儀を宮崎さんに託し、「悔いのない人生だったと」言い切れる人生の幕引き…本当に見事です。

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