旧正月だけじゃない!2月は島がアートに包まれる月です。

2月に入ると、バリ島は空港からショッピングモールに至るまで赤や桃色の旧正月飾りで覆われます。

中旬にもなると、多くの中華系旅行客がこの小さな島にどっと押しかけてきます。

でも地元バリ人はというと、そんなことそっちのけで"アート"に夢中…。

島のローカルエリアでは、老いも若きも不思議な作品作りに勤しんでいます。

出典Masayuki Oka

移動中に外の景色を見ていると、ドキっとしたり、クスっとしたりすることがあって、実に楽しい2月のバリ。

「天井に裸の女性が突き刺さってるよ!」

なんて突っ込みながらドライブするのも楽しいかもしれません。

出典Masayuki Oka

こちらは牛に跳ね飛ばされる人々を作っています。

バリはヒンドゥーだから牛が聖なる動物…かと思いきや、こちらでは様々な動物を聖なるものとして崇めており、集落や家ごとに守り神みたいな動物を門の外に飾ってあったりします。

まるで大型駐車場のフロアごとの動物のマークみたいな感じです。

出典Masayuki Oka

バリ人たちは、執拗なくらい細部にこだわります。

特にこだわるのは、股間とおっぱい(笑)。

日本が誇る世界的アーティスト村上隆のMy Lonesome Cow Boyもびっくりの表現力です。

出典 http://bali.navi.com

バリ島観光旅行ガイドBALI navi より

こちらのものなどは、もうこのまま手を加えないでほしいくらいの出来栄え。

躍動感あふれるキュビズムの名作のようです。

そのまま近代美術館に持っていっても違和感ありません。

バリの新年ニュピとその前夜祭

さて、これらの巨大フィギュア群は、バリの新年を迎えるためのお祭り"ニュピ"のために制作されます。

バリヒンドゥーは、サカ暦とウク暦という2つの暦によって成り立っています。

サカ暦は月の満ち欠けに沿って1か月が20日~30日、12の月で1年となります。

ウク暦は1か月が35日、6か月で210日を1年のサイクルとしています。

そしてサカ暦の新年にあたる日がニュピで、バリ・ヒンドゥーでは1年の中でとても重要な日となっています。

出典 http://d.hatena.ne.jp

バリ島ウブド便り より

そして一年の最後の新月の夜、大晦日の夜にあたるニュピ前夜は、月明かりの無い夜の暗闇の中を、町内ごとに作った巨大フィギュア"オゴオゴ(オゴホゴ)"が町を練り歩くというわけです。

以前は本当に真っ暗闇の中で松明片手に行っていたそうですが、最近ではライトアップされたり、DJが音楽をガンガン鳴らしたりとショーアップされてきたようですね。


出典 http://www.wendytour.com

Wendy TOURより

古来から日本でも「垂乳根の」が「母」にかかる枕詞だったように、おっぱい(特に垂れたもの)はここバリでも聖なるものとして扱われています。

つい数十年前までは、バリの女性は上半身裸で生活していました。(今でも高齢のおばあちゃんは、上半身裸で近所をうろうろしていることがあります)

大きく垂れた乳の女性というのは、多くの子供たちを産み育てた"多産・幸福"のシンボルとして考えられたのでしょう。

またバリでは19世紀ころまでサティーというヒンドゥーの慣習がありました。

これは、夫に先立たれた女性が、後を追って自殺することが好しとされる因習。

そして現世や子供に未練がある女性は死んだのちも墓場をさまよい、魔女ランダとなり人々を苦しめる・・・と考えられてきました。

仏教でいうところの鬼子母神ですね。

だからバリ人は、ここまでおっぱいに執着するのでしょう。


出典 http://balikutours.blog38.fc2.com

バリ島旅行 バリクツアーズ より

ちなみにバリ・ヒンドゥーでは、正邪は常に表裏一体。

天界の大掃除の日に追い出された鬼たち(邪もまた天空の住人です)がバリの家々に降りてきてしまったので、それを家族で鍋釜叩いて外に追い出します。

そして巨大フィギュア"オゴオゴ"で町を練り歩くのですが、外に追い出された鬼たちはこれを仲間だと思い、ぞろぞろと集まってきます。

そうして最後はお寺でオゴオゴを燃やして、一網打尽にした邪のものたちを天に帰してあげます。

しかし、最近では"中古市場"も活性化しており、パレードを終えたオゴオゴは売買の対象になるとのこと。

もちろん取引されるのは、かなり作り込んだものに限られ、遠いエリアの村に買われるそうです。

近所の村が買ったら、中古だとバレてしまうかもしれませんからね。

また、ホテルやお金持ちが趣味で買ったりすることもあるとのこと。

出典 http://www.malaika.co.jp

MALAIKA BLOG より

邪も聖なるものの仲間で、世界には必要とされています。

正邪があってはじめて世界が調和する、というのがバリ・ヒンドゥーの極意。

それにしても、強烈な乳首です…。

村上隆のHIROPONなんて、こちらの貫禄に比べたら小便臭いですね。(失礼)

出典 http://balitabit.com

バリ旅人 NANDINIさん現地レポート より

作られるオゴオゴの題材は様々。

多くはバリの神話やヒンドゥーの神々です。

垂乳根の鬼女ランダ、ガネーシャ、ハヌマーン、ガルーダ…。

出典 http://tripping.jp

写真:本田あずさ (TRIPPING!より)

クリシュナ(シヴァ?)もクールに誕生。

バリでは多くの場所に、青い人物像が飾られています。

聖なるものは青白いそうです。

出典 http://ketut.blog.fc2.com

クトゥ ツアーズ バリ より

さて、青森のねぶたも真っ青なくらいド派手に祝う前夜祭ですが、日付が変わりニュピ当日になると、全く違った様相を呈してきます。

バリの正月は、なにもしない日。

みんな家に籠って、一日静かにしている日となっています。

特に厳しく禁じられているのは、

1、外出
2、労働
3、火・電灯の使用
4、殺生

の4項目で、これでは文字通り家に籠らざるを得ません。

普段は自動車やオートバイの音で騒々しいバリですが、この日だけは静かな島となります。

出典 http://blog.kura2bus.com

KURA KURA BUSより

そしてこれはバリ人のみならず、島を訪れている観光客にも適用されるのですから、注意が必要でしょう。

この日、空港も港も完全に封鎖されます。

年間1000万人もの観光客が訪れる世界的観光地バリ島ですが、この日は人っ子一人入ってくることも出ていくこともできません。(乗り継ぎ便のみは運航されますが、バリ島内には入ることはできません)

また、前夜祭当日なども朝から島の各所で交通規制が始まるので、移動する際は注意が必要です。

想像を絶する交通渋滞が巻き起こりますから・・・。

この時期にバリ島を訪れるなら、のんびり過ごすのが一番かもしれません。


この記事を書いたユーザー

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父子で世界を旅するライター。インドネシア・バリ島在住。すべてが竹で作られている究極のエコ学校"グリーンスクール"内のファミリービレッジにて息子と生活し、執筆活動中。
http://nge.jp/author/oka

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