いま日本人がすべき6つのこと

フリーアナウンサーの長谷川豊です。

後藤さんの件は残念だ。さすがに覚悟はしていたが…予想通りの最悪の結末だった。だが、動揺し、悲しみ、国内で非難合戦を繰り返し、あいつが悪い、いや、あの対応が悪い!と罵り合うことが後藤さんが喜ぶ日本の姿とも思えない。

心をしっかりと持ち、後藤さんの遺志を継ぎ、今、何をすべきか、考えてみた方がいいと思う。

筆者は今の日本人が心にとどめることを次のように考える。

1. 動揺し、非難合戦を辞めること

後藤さんは言ったはずだ。「何があっても僕の責任だ」と。今こそその言葉をもう一度思い出すべきだ。政府もきっと頑張っていたと思う。深夜にも会見は行われていた。

政府は昼夜を問わずに通常国会が始まったばかりにもかかわらず、懸命に対応していたのではないか?今政府を責めても後藤さんは帰らない。彼はきっとそんなこと、望んでいないと思う。政府を、少なくとも筆者は非難したくない。

フリーのジャーナリストたちも懸命な声を上げていた。一般の人も懸命にネットを通じて、解放を呼び掛けていた。責められるべきはテロリストたちだ。今、後藤さんを守ろうとした全ての人は責められるべきじゃあない。

後藤さんがああなったのに、それを「利用」する形で日本国内で非難合戦はしない方がいい。多分、それは後藤さんが一番いやがる状態のはずだ。

2. ヨルダン政府に感謝を伝えること

ヨルダンの、ある議員さんが自分たちを責めたそうだ。「後藤さんの死にはヨルダンにも一定の責任がある」と。それは違う。ヨルダン政府もきっと懸命に交渉しただろう。イスラム国を名乗るテロリストのペースに流されてはいけない。

今、日本人として、ヨルダン政府には感謝を伝えたい。自分たちを責めるヨルダン人もいるだろうが、それは間違いだ。日本人とヨルダンとの信頼関係はきっとこれからも変わらないことを伝えたい。

3. メディアは早めにこの報道を切り上げ、次の話題に行くこと

視聴率が取れるニュースなことはよく分かる。だが、センセーショナルに、盛り上げるだけ盛り上げる演出はすべきじゃない。こんな時だからこそ、粛々と、淡々と伝えておくべきだと思う。テロリスト集団の狙いは日本の動揺と混乱だ。逆を行った方がいい。

奴らの狙い通りに動いては、結局、公共の電波を使ってテロリストを利する行為となってしまう。難しいことは筆者自身、よく理解しているが、今は踏ん張って、別のニュースもちゃんと流していくべきだ。

4. 日本国内のイスラム教徒を守ってあげること

こうなると、悲しいことだが「イスラム教は危険だ!」「イスラム教徒が日本人を殺したんだ!」とか馬鹿なことをぬかし始めるダメな日本人が必ず現れることが予想される。

アメリカNYでも同時多発テロの直後、そのような悲しい現象が起きたと聞く。もちろん、今の日本ではそんなバカはほとんどいないのだが、少しでもいれば、日本国内のイスラム教徒の方々が迫害される可能性がある。

日本は自由な信仰と宗教が憲法で守られている国である。テロリストと敬虔なイスラム教徒の方々が全く別であることをしっかりと理解し、彼らが謂れなき迫害を受けないように守ってあげるべきだ。後藤さんがもし生きていたら、間違いなくそうしているはずだ。

5. フリーのジャーナリストという存在をもう少しリスペクトすること

哀しいことに「自己責任」「危険な地域に行ってバカなやつ!」といった、聞いているだけで哀しくなるようなことを平気で言う日本人も一定数はいる。残念だが、そういう人間にはもはや何を言ってもしょうがない。正常な思考力がある我々日本人は

「世界には危険な地域があり」

「その危険な地域で苦しんでいる人がいる」

という事実を、身の危険を承知で取材し、我々に伝えてくれているフリーのジャーナリストたちという存在のことを、今回を契機にもっとリスペクトすべきだ。彼らがいなければ、私たちは「知る」ということすらできないのだと思う。

残念だが世界に悲劇はある。悲しみはある。世界の中に生きる人間として、それを「知る」ことは本当に大切なことだ。「伝え手」がいてくれるので、危険な地域があることも、素晴らしい景色が広がっていることも分かるのである。

6. これを受けて行動を変えてはいけない

最後に、一番大切なことだが、テロリストの行動は「恐怖させる」ことを目的としている。テロリストの行動原理は、昔のヤンキーが突っ張り、目つきの悪い目で睨みつけ、うるさい音を立てる車で走り、少しでも自分の体を大きく見せるためにだぶついたズボンで歩いているのと全く同じだ。

要は自分をビビってほしいだけだ。

要は自分をかまってほしいだけだ。

要は自分を認めてほしいだけだ。

相手にする必要はない。単なる本当は寂しい暴力集団なだけだ。が、ここであるデータを紹介したい。下記URLは外務省が作成したデータである。こちらの6ページに「2012年に海外で殺人事件に巻き込まれた日本人」のデータ一覧が記載されているのでご紹介する。

3月パラオ・コロール市において、邦人が殺害された。

3月フィリピン・セブ州において、邦人が刺殺された。

5月アラブ首長国連合ドバイ首長国において、邦人が絞殺された。

5月ロシア・ザバイカル地方において、邦人が殺害された。

5月チリ・サンティアゴ市において、自宅へ帰宅途中の邦人が強盗により殺害された。

6月フィリピン・カビテ市において、邦人が殺害された。

7月中国・上海市において、自宅への押し入り強盗により邦人が殺害された。

8月ルーマニア・ヘンリ・コアンダ国際空港近郊において、邦人が殺害された。

9月ジャマイカ・キングストン市郊外の自宅において、邦人が殺害された。

12月フィリピン・パンガシナン州において、邦人が殺害された。

出典 http://www.anzen.mofa.go.jp

ご覧いただいて分かる通り、2012年のデータだけで、分かっているだけで10人の日本人が海外で殺害されている。

実は2011年にも同様の数の日本人が殺害されている。海外はもともと十分に危険を伴う地域があることは日本人はみんな知っている。イスラム国を名乗るテロリストが配信したVTRの中でうそぶいていた。

「これからテロリストが日本人を狙う」

断っておくが、日本人はもともと、海外では狙われやすい国民だ。お前らなんぞに言われなくても、十分危険はあるし警戒もしている。そして、日本人は元から世界的に他の国民よりも警戒心の強い国民性だ。狙いたければ狙えばいいが、勝手にやらせておけばいい。言わせておけばいい。

賢明な日本人は、そんな脅しにビビって行動を変えたりする必要はない。今まで通り安全に配慮し、旅行に行きたければ行き、取材したければ取材したらいいのだ。

ビビッて欲しい、かまってほしい、自分を必要以上に大きく見せたい、そういう連中の行動パターンは、はるか神話の時代から変わらない。日本人は行動を必要以上に変える必要なんてない。そんな連中、何をやっても所詮…

絶対幸せになんてなれないからだ。

後藤健二さんのご冥福を祈る。

(見出し画像引用元/http://mainichi.jp

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